星の方向性
星の方向性
離れた海辺では星と恵美が浮き輪に乗り恋愛話をしている。
「え~お姉ちゃんもコウさん狙いなんですか?」
「厳密にいえば違うけど、最初はね・・」
「コウさんモテモテですね~」
「まああの2人がそばにいれば、横からかっさらうことも難しいでしょ」
「まあそれは確かに」
「それより星ちゃん彼氏いるんでしょ」
「彼氏というより友達ですね」
「いやいや決まった男子がいる時点でそれは彼氏というでしょう」
「そうなんですかね~」
「それより、あのコウさんという人はどういう人なんです?」
「あらアキラ君から聞いてないの?」
「そりゃ少しは聞いてますが、あまり詳しく教えてくれないんですよね~」
「彼はBISのリーダーで今一番世の中を騒がせている東大生の一人ね」
「まあそれは知ってますが、どんだけすごいかは知らないんですよ~」
「コウちゃんはすでに資産10億超えるって話よ」
「何ですかそれ?企業の社長クラスじゃないですか?」
「そうよ」
「なぜに?そうなったんですか?」
「BIWって知ってる?」
「脳内何とかって機械の話ですよね」
「脳みそをパソコンのハードディスクみたいに使うって話よ、そうすれば勉強する必要がなくなる」
「コピーしてしまえばいいってことですか?」
「そう、その装置の生みの親なのよ彼は」
「あ~それは確かに億だわ~~~」
「じゃあそれを目当てに皆さんサークルに入っているんですか?」
「そうじゃなかったんだけど・・」
「違うならどぅして?」
「コウちゃんが手掛けてる研究はほかにもあるのよ」
「それってどんな?」
「例えば論文を簡単に作成してくれるとか」
「じゃあ皆さん自分の研究論文をずるして出しちゃえるってことですか?」
「いやいや別にずるしてるわけじゃないんだけど・・」
「でもまあそれに近いかな」
「じゃあBISのサークルに入れば卒業が楽になるってことですね」
「まあね」
「それじゃ兄が離れられないわけだわ・・」
「でもそんなにおいしいサークルなのに、人数が少なく感じますが」
「それはね今年春のサークル勧誘の時、若干名おバカな行動をしてサークルがなくなるような宣伝をしちゃったのよ」
「あ~そうなんですね~」
論文の作成は学生なら絶対楽をしたいと思う避けては通れないものの一つ。
それが少しでも楽にできるのなら、誰しもが手に入れたいだろう、それなのにサークルのメンバーは20人に満たない。
門外不出というならばメンバーを厳選するのだが、そういうわけでもないのにこの人数。
逆になぜ?という考えが生まれてくる。
まあこの時代のあり方にも原因はあるのだが、コウはすでにいろんな特許で収益も社長並みというところにもサークルに参加する人が少ない原因がある。
要はプライドだ、コウがあまりにも有名になりすぎて敵視する学生の方が多いといった方がよい。
人より上を目指したいのに人の下に着くのはごめんだという考えが東大生というプライドの足枷になっている。
ほかにもBISにはそこそこ有名な学生が多い、アキラもマーサも、町田さえもそのうちの一人だ。
後から入れば彼らの下になるという考えが大きく壁になる、新入生ならまだしも1年以上先輩な学生なら、そんなサークルに入るより自分でサークルを作った方がよいと考えるだろう。
それにもう一つサークルメンバーが増えない原因がある、それはメンバーが増えると自分の論文が進まなくなるというデメリット。
例のAI論文作成ソフト、入れてあるpⅭは同時に使える端末が3つなわけで、メンバーが増えれば自分が使える時間が減ることになる。
そうなれば卒業時はおろか年次提出の論文を仕上げるのに待たなければならないというデメリットが発生する。
どう考えても今のメンバー数が一番快適だという話、来年3名が卒業しても追加で増やせるメンバーはせいぜい5人どまりにしておかなければ自分たちの仕事に差し障るのだ。
まあそれも卒業までの辛抱なのだが、メンバー全員はこの人数が一番快適だと思っている節もある。
多すぎれば管理も難しくなるし少なければそれはそれで寂しいものだ。
それに男女比率も半々という形は、男性にとっても女性にとっても居心地が良いものだ。
「じゃあ私が入学したら絶対入ろ~っと」
「狙うんだ~でも星ちゃん何学部にするの?」
「理工学部かな~、恵美さんから見て簡単な学部ってどこになります?」
「簡単かどうかは自分で決めるんだよね、研究課題が大変なほど時間も労力も増えるから」
「あ~そうなんですね・・」
星はそれほど将来的に何になるかは考えてはいなかった、兄は科学者か医師になるであろう。
父や母は医療関係の官僚だったり気功術協会の医療部門の責任者だったりする医師系の家系だから、幼いころからそちらへ進むのが順当と思っていたが、最近は兄が所属するグループを見て聞いて、自分も何か物つくりをしてみたいと思うようになっている。
まあそれが医学系ならばそれでも良いが別にそうでなくても良いのではという考えに傾いている。




