格闘女子
格闘女子
翠は頭を洗いながら明日のことを考えていた、今回水着は気功術協会吉城寺支部のジャグジーで着た真っ赤なビキニと先日皆で行ったフェアーにて買い求めた花柄のビキニ、パレオとのセットでお嬢様風を演出する。
昨日も何度と無く鏡の前でっチェックしたが、それでも心はドキドキしっぱなし。
自分で臨んだ初めて好きな男の子との旅行、もちろん親にもこのことは告げてありあまり快くは思われていないが、すでに20歳となり外見も大人になったわけで。
親もあまり干渉することを望んでいないようだ。
大学に行きながらタレントとしても活動を始めている、そしてこれから始まる初めての歌手活動。
現在は格闘少女としてデビューして、徐々にファンもつきつつある。
本来ならば今回の旅行もできれば行ってほしくないと言われている、まあ翠はタレント活動をする見返りというか、芸能活動で恋愛を制限されるならノーというだろう。
昔よりはタレントや歌手であっても、そのあたりは個人の自由が優先されるようになったが。
人気商売というのはいつの時代もなかなか面倒なものだ。
「そういえばグリーはシンガーになるの?」
「歌手になるけど特に歌手を目指すわけじゃないわ」
「コウも大変ね」
「どうして?」
「歌の練習に付き合ってあげるなんてなかなかできないわよ」
「そう?」
「まあそれで私もコウといられる時間が増えるから良いんだけどね」
シャワーを浴びゆっくりと湯船につかる、なんとも言えない解放感。
浴場の広さは20メートル以上はあり20人近くが一辺に入ってもまだ余裕がある。
今のところほかのお客はいない状態だ。
「マーサは歌もうまそうね」
「一応ね、私の母はシンガーだったから」
マーサの父は元ボクサーであり今はコロラド州知事で製薬会社の理事ですでに110歳、母は元シンガーで86歳という少し異色な肩書を持つ。
母は18代目獣人犬族の血が10%ウサギ族の血が9%、かなり美しい女性で主にカントリーソングを中心に歌っていた。
すでに引退して今は獣人保護区で暮らしているという。
マーサには兄弟が5人いる、上の二人は50歳を超え製薬会社勤務、真ん中の40歳の兄弟はUSA気功術協会、すぐ上の30歳の姉妹は大学の研究生。
父親は彼女が末娘のためかなり過保護だが、同時に彼女の言うことに反対することができず。
日本行きを許してしまった。
まさかそこで将来の伴侶を見つけてしまうとは思いもしなかっただろう。
「そうなんだ・・・」
「でも私はシンガーになることよりコウの隣にいたいのよね」
「そこは私も同じよ」
2人は一言二言話すと少しの間黙り込む、お互いの言いたいことは分かっている。
恋敵なのだけれどお互いにリスペクトしているのだ、アメリカ人が日本人をどう思っているのかは普段よくわからないが、日本人がアメリカ人にあこがれるのとほぼ同じようにアメリカ人も日本人にあこがれていたりする。
それはバービー人形と日本人形の違いのように。
だからこそフェアでいたい、マーサも翠も恋敵であり友人でありたいと思っている。




