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まっち~はスピード恐怖症

まっち~はスピード恐怖症


【品川駅発リニアモーターカー9時10分、間もなく発車いたしま~す】


一駅だけなので席は自由席にしたが、割と中は空いていた。


「とりあえずみんな空いてる席にすわりましょう」

「何びくついてるの?」

「俺リニア初めて・・」

「え~まっち~もしかして怖いの?」

「おれ飛行機ダメなんだよね」

「飛行機じゃないし」

「町田君あなた私の隣に座りなさい」


「きょうじゅ~~~♡」

「まさか先輩が高所恐怖症かまたは閉所恐怖症だとは・・・」

「でも普通の電車は大丈夫なんでしょ?」

「じゃあスピード恐怖症?」

「そのようですね」

「あらら・・」


「道理で東海道本線でなんて言うわけだ」

「じゃあ克服しちゃいましょう」


リニアモーターカーには窓が極端に少ない、まあ当然のことながら換気は天井になる空調システムとの連動なので窓は小さく開けることはできない、この時代のリニアは時速400k平均で走行、最高時速776k。

結果として航空機より早く目的地に着くが、この国の特徴である地震や天候などによる不具合発生時に対しての構造的な対応には限界があり、安全のため時速には制限がかかっている。


新幹線ならばそこそこ揺れたりするのだがリニアモーターはほとんど揺れたりはしない。

まるで地面にへばりついたまま移動している感じだ、スピードを出した時の身体的不具合はこの揺れを三半規管が大きく感じるかどうかで大体が決まる。

よく車酔いする人もこの度合いが大部分、だから乗用車なら平気でもバスだとかなり酔う人がいたりする。


今回町田先輩の場合はスピード、この場合耳よりは目の変化、視覚の変化に対する精神的恐怖だと考察することができる。

たぶんその場合町田先輩は車でもたまに酔うことがありそうだ。


「町田先輩、車には酔わないんですか?」

「街中だと酔わないけど高速乗ると我慢できなくなるよ」

「じゃあやっぱり視覚で酔うタイプだ」

「それだと映像でもダメっぽいね」

「自慢じゃないけどジェットコースターは完全拒否るよ・・」

「そっちもダメなんだね」


「町田先輩は窓を見ない方がいいね、見ても遠くなら大丈夫じゃないかな」

「そうなのかな~」


そんなことを話している間にリニアは発車しいつの間にか目的地に到着。


【小田原~小田原~お忘れ物ございませんようにお願いいたします】


「町田君大丈夫?」

「何とか耐えました」

「まっち~がスピードだめだとは・・」

「どんな人にも苦手はあるからね」

「コウちゃんは?」

「俺は饅頭かな」

「あっうそでしょ」

「正解!うそでした~」


駅の通路を歩きながら、バカ話で盛り上がる。

リニアの駅から在来線の駅までは通路で5分ぐらい小田原から今度は在来線で熱海まで、熱海からは伊豆急行伊東線に乗り換えれば終点下田までは寝てても着く予定。


「次の電車は?」

「次は熱海まで、熱海で伊東線に乗り換えまーす」

「了解!」


乗り換えて10分待ち、次の電車に乗り、伊豆半島の付け根である熱海に到着。

言わずと知れた伊豆半島の湯治場の一つ、昔はたくさんの人が訪れたが今は昔のような活気はそれほどない。

到着してすぐに伊東線のホームへと少し歩く。


「ここからは伊豆急行に乗れば終点下田までは寝てても大丈夫のようだね」

「どっちのホーム?」

「2つあるぞ」

「下田行きの方、伊東行きは途中で又乗り換えになる」

「じゃあこっちだ」


電光掲示板の南ア意に従い伊豆急行下田行きのホームへとぞろぞろ歩き出す。

この電車に乗れば約1時間半で目的地に到着する。

下田駅からはホテルのお迎えバスがありそれに乗りさえすればよい。


本日の予定は下田の海中水族館へ行き見学、ホテルからはAIマイクロバスが使えるのでこの人数でも心配することはなさそうだ。


【京浜急行下田行き発車いたしま~す】


全員が乗り込むと、ゆっくりと車両は走り出す、伊豆半島の形に添って海側を進んでいく。

時折トンネルもあるが概ね左側には海が見えており、景色はなかなかのものだ。


「まっち~このスピードならだいじょうぶなの?」

「ああこんぐらいなら全然平気なんだけど、やっぱ目が追い付かないとぐるぐるすんだよね」

「町田先輩気功術はどのくらい使えます?」

「ああおれ5級ぐらいしか訓練してないかも」

「気功術等級上げると船酔いや乗り物酔いに耐性できますよ」

「そうなんだ・・」


「あ~そういえば私も昔酔う人だったけど気功術で等級上げたら酔わなくなったな~」

「恵美ちゃんも?私もそうだよ」


「私はまだ酔っちゃう」

「多少個人差はあるみたいだね」


「どう外の景色は」

「素晴らしいわ、USAじゃこんなに海のそばを電車が走るところないもの」


マーサは窓際に座り海を見て感動している、いやほぼ女子は全員そんな感じだ。


マーチンは外よりも電車の中に興味がありそうだ。


「この列車の形は他の列車と規格が違いますね」

「そうだよ、熱海までがJRでこの電車は京浜急行だから」

「京急って109よね」

「親会社は同じだよ」


「おにいちゃん海綺麗だね」

「星は伊豆には来てないんだっけ」

「車でなら来たけど、電車は初めて」

「俺も初めてなんだけど、ずっと海が見えるとは思わなかった」

「じゃあ兄弟して初めての体験だね」


京急伊豆下田までは1時間40分という話だが、当然のことながら5分ぐらいの誤差はあり得る、ましてやこの電車の路線は半分山すそを走るみたいに片側が崖の所が多く。

夏前の雨季に崖崩れなどで補修工事が行われている場合もあり、ところどころかなりスピードを落としながら通るからだ。

それでも予定とほぼ変わらず到着するのだから、日本の時間に対する考えは世界でも稀だというしかない。


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