夏旅行
夏旅行
7月最後の月曜日、天候にも恵まれ朝からかなり強い日差しが照り返す。
朝食を早めに済ませ、本日我が家へ訪れるはずの美女2名を待っている。
時刻はすでに7時半を過ぎて、落ち着かない自分の胸の高鳴りを抑えるために。
今は念仏を唱えている。
(色即是空宇空即是色)
(ピンポーン)
リビングにとりつけられたモニターに一昨日買いそろえた夏服に身を包んだお嬢様が2名、玄関先の門の前にてお互いの外見を見ながら話し合っている。
「おまたせ」
「おはよう」
「グッモーニン」
「おはよう2人とも」母
そう2人の美女だけではなく本日の旅行はわが母上もいっしょに同行するのだ。
そのせいなのか母は朝からそわそわしっぱなし、おれの準備が終わった後で「これでいい?この上着でいいかしら?」と何度もしつこく聞いてくる。
結局、翠とは少し色形の違うゆったり目のワンピースを着ることにしたみたいだ。
「お母さまおはようございます」
「はーいママおはよう」
2人の持ち物はキャリー付きの旅行ケース、色も形も違うが大きさはそこそこ大きい。
「うん、この感じで電車は無いね、ワンボックスのタクシー呼んじゃうね」
家のカギを閉め、スマホを操作しワンボックスか、または多人数用のタクシーを呼ぶことにした。
4人だけなら普通のタクシーでもよいが、荷物が5つ以上しかもケースの大きさはそこそこ大きい。
女子はなんだかんだ言って結構荷物を持ってくる、ドライヤー然り化粧品然り。
これらを入れたバッグをガラガラと何百メートルの道のりを歩くとなると周りに対する騒音が結構気になる。
それに俺の荷物はそれ以上大きい。
肝試し用の荷物が大きめのハードケース1個に満載されている、俺が買ったのではなく曾爺さんが買っておいたものだ。
大きさは小型の冷蔵庫ぐらいはある、まさかこれもガラガラと引きずっていくわけにはいかない。
一人ならばそれも構わないが4人全員がとなると結構絵面がうっとうしくなる。
「あ~確かに電車でもきつそうね」
時刻は午前8時過ぎ満員に近い電車に乗るのも迷惑がられること請け合いだ。
スマホで呼んだ大き目のタクシーは約5分で目の前に到着した。
「さ、のっちゃて」
「品川駅まで」
「了解いたしました」
ドライバーレスのタクシーは音もなく走り出す、自家用車がほとんど走っていないので割とスムーズに道路を目的地へと走っていく。
車内モニターには目的地までのナビゲーションと、到着時間が表示される。
品川までなら40分もあればこの時間でも余裕でつくだろう。
このタイプのタクシーは予約してから出てくるのではなく常にどこかを走っているかまたはタクシー専門の駐車場にて駐車していて、その中から一番近い場所にいる車へと指令が送られる。
たぶんこの車も駅のロータリーあたりから配車されてきたのだろう。
通常のお客さんはこのタイプのタクシーは割高なので使用しない。
その分予約してからすぐ来る可能性が高いというわけだ。
モニターを見るとやはり到着までの時間は42分とニアピンだった。
「いよいよ今日が来ちゃったね」
「うふふ楽しみ」
「もうみんな品川に行ってるのかな?」
「早い子は来てるかもね」
「でも品川発9時10分のリニアだよね」
「余裕をもって集合時間を伝えてあるし、目的地決まってるから、遅れたとしてもあまり問題は無いよ」
「確かに」
「こういうところ日本は良いわね」
「USAはどんな感じ?」
「NYの地下鉄はかなり時間に厳しいけど、アムトラックの地方便は結構ルーズよ」
「そうなんだ」
「向こうは遠い都市へ行く時は飛行機が普通だから」
品川の駅に着くとすでに9時を回っていた、タクシーから降りると荷物を携え、駅のエレベーターに乗りこむ。
荷物もあるので4人乗るといっぱいだった。
「いやー荷物はやはりきつかったな~」
「まあ途中からは町田君も持ってくれるんでしょ」
「一応ね」
エレベータで2階へ、改札を出るとすでに11人が待っていた。
「おはよ~」
「おはようございます」
「おっは~」
「コウちゃんもうすぐ来るよ」
「わかった」
そこへ後ろから町田先輩が顔を出す。
「おれ間に合った?」
「先輩セーフです」
「きっちー」はあはあ
そこへ始発駅である品川へリニアモーターカーが到着する。
【品川~品川~お荷物お忘れ物ございませんようにご注意ください、品川~終点品川で~す】
終点で始発のため搭乗客は全員この駅で降り新たに乗客が乗り込む。
「さ 乗りましょう」
そこへ山根兄弟が到着。
「間に合ったー」
「おにいちゃんおそいんだもーん」
「お前のせいだろー」
「言い合いは中でしちゃおうね~」
コウが促すと2人は車両の中へ。
三簾 香
三簾 花
早坂 翠
横山 恵美
木下 勇次
マーサ・オースティン
倉田 真純
所 敦
吉平 徹
琴平 聖音
山根 陽
山根 星
白石 千秋
田村 草
町田 海人
マーチン・ロドリゲス
明実・ジョンソン
セルリア・ヌルソーン
「明実ちゃんたちも来てるし、後は来てないのは誰だ?」
「こちら空いてます?」
「うお!教授」
「生徒と一緒だとなんかおばさんに見られる感じがして、向こうの方で待ってたのよね~」
「せんせ、そんなことないです~」
町田が教授にすり寄っていく。
如月卯月 教授
これで全員がそろった。




