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昼食はシースー

昼食はシースー


マーサが腕を組むと吉城寺の商店街を歩きだす、次は回らない寿司屋。

当然のことながら、前回翠と訪れた店へと向かう。

すでに予約は入れており、店に入ると今日も俺たちが座った席で満員だった。

マーサと寿司デートは今回初めてらしい、曾爺さんもすし店へのハードルを感じていたのかもしれない。

翠とであれば慣れてはいるがマーサはお箸の使い方は知っているのだろうか?


「マーサはすし店初めて?」

「USAでは何回か行ったわ」

「もしかして箸の使い方?」

「それもあるけど」

「大丈夫よ、すしは手で食べてもいいんでしょ」

「うん 正式には手で食べるんだけどね」

「お箸を使っても食べられるわよ、明実はお箸派だから、アパルトメントでは和食も作っているし」

「そうなんだ」


「今度うちのアパートにもご招待したいわ」

「あははそれは少し勇気がいりそうだね」

「あら、別に3人で襲ったりしないわよ♡」


予約した席に座るとメニューを手に取り考える。


「私は大トロ2貫で」

「じゃあまずは大トロ4貫だね」


注文するとすぐに運ばれてきた。

すぐさま追加の注文をする、今回は単品だけでなく盛り合わせ、特上の鶴を2つ頼むことにした。


「次に出てくるコースは残してもいいからね」

「アラカルトね、向こうでも注文したことあるわ、内容はかなり違いそうだけどね」


特上=9千円+税またはアスク=時価というやつ、大トロはもちろんのこと天然サーモンそしてバカでかいアナゴが乗っている。

他のすし店なら3貫はとれる大きさ、身は柔らかくタレはうっすらと上品に塗ってある。

通常のすしは食べなれているがアナゴの出来はその店の意気込みを現している。

それはアナゴだけが生ではないからだ、まあこはだも生ではないがアナゴは別格。

丁寧に骨を取り去りドカンと木皿に乗せられた様は、この一品だけ別物だと主張する。

長さ20センチ、シャリを大きく包み込んだ姿は圧巻だ。


「コウ、これは何?」

「アナゴだよ」

「これはどうやって食べるの?」

「みてて」


この大きさは、当然のことながら箸でも無理だ、よって手でもって食べるのだが、一口では食べることができないだろう。

でもそこを一口でもっていくのが通だという。


(ぱくっもぐもぐもぐ)


「ほんなかんじでたべうんだよ」

「ジーザス、アh、えーと少し工夫がいるわね」


そういうと身の部分を2つに割り重ねてから口に入れた。


「ん~~ん~~ん」


小さな口を大きく開くと2段に折り重ねたアナゴとシャリをうまい具合に口へ入れ、手を口に当てると一心不乱に顎を動かす。

そうしないと話をすることもかなわない。

1分以上が過ぎようやくアナゴを食べ終わると一言。


「ソーグー」


「柔らかい、これ何?」

「アナゴっていう魚だよ」

「食感はまるでケーキだわ」

「そうだねたれも甘いから知らない人が食べるとそう感じるかも」

「これは何故生じゃないの?」

「この魚は細長く調理するのに手間がかかるんだ、それに腐るのが早いから通常、捌いたらすぐに焼くか煮るかしないと臭みが出やすくなるみたいだよ」

「へ~だからこんな形なのね」

「まあ普通はこれを2つか3つに切って出すんだけどね」


「日本のすしもいろいろあるのね」

「海が近いからと言って全部の魚が生で食べられるわけじゃないからね」

「そうね」


アナゴも回転ずしの場合はネタの大きさが5センチあれば普通で10センチを超えれば、かなり盛った作り方と言えるだろう。

その倍ともなれば見た目もそうだが、ほぼ高級店でなければお目にかかれない。

誰かに聞いたことがある、その店の優劣を見るとき生の魚ばかりで判断するなと。

もちろん食べてうまけりゃそれに越したことはない。

だが調理の仕方や手間暇をかければ掛けるだけ料理として昇華していくのが日本料理。

コウは食通ではないが、だからと言って味音痴というわけでもないので、この店はかなりの上位に入ると判断している。


そしてその割には入りやすいのだ、若者の町にあって高級店というのはかなり経営も難しいと思うのだが、毎回来るたびに満席なのだから。

木皿の上に乗った色とりどりのすしを味わいながらもきれいに平らげおまけの大トロを2貫ずつ追加で注文するとすでに1時を回っていた。


「おいしかった、ご馳走様」

「どういたしまして、それじゃ次に行こうか時間もあと少しだし」


支払いを終え外に出ると、人通りは少し空き始めていた。

これから食事という人たちもいるだろう、残された時間は50分ぐらいか。


「さてあと少しあるから買い物でもしようか?」

「イェス」


すし店を出て又駅の方へ、今度はデパートへと入っていく。


「この間は夏服だったけど、ほかにほしいアイテムはない?」

「そうね、帽子とサンダルがあればパーフェクトだわ」

「じゃあそれを買いに行こう」

「はい」


最初に入った帽子屋さんでいくつかの帽子をかぶってみて、先日買った夏服と照らし合わせてみる。

少し鍔の長い麦わら帽子とテンガロンハットのような帽子をチョイス、次に靴屋を訪れサンダルを選んでいるところで次のデート相手である翠が現れた。


「お楽しみの所申し訳ないんだけど・・」

「グリーもう少し待っててもらえるかしら?」

「OKその分私も時間追加するから良いわよ」

「サンクス」


その後10分で紐タイプの4センチヒール付きサンダルを買い、翠とバトンタッチする。


「ありがとう、じゃあコウまたね」

「うんまたね」


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