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カフェにて

カフェにて


今のところその魔法は検証にしか使う予定はないが、それには気功術の等級も少し上げる必要があると感じている。


「もうお昼ね、皆食事は済ませたの?」

「まだで~す」

「じゃあ外に出ようか?」


東京大学には学食もあるのだが、都心近くに校舎がある大学にはその周りにおしゃれなレストランやカフェが利用できるという利点が含まれる。

このサークルの参加者は高額所得者ばかりなので最近は全員が近隣のカフェやレストランを利用している。


6人はPCやサーバーの電源を落とし大事なチップを各自鞄にしまうと、鍵を閉めサークル棟を後にする。

現在部室のカギは横山さんと俺と白石さんが管理している、間違っても町田には任せられない。

まあ彼はそういうことはしないとは思うが女の尻を追いかける人は女性の甘い誘惑に引っかかって大事なデータを取られてしまう可能性は捨てきれないからだ。

まあサークル参加者はそういうことを重々承知しているはずなので最初に誓約書も書いてもらっているのだが、コウの持つ特許だけでも年間1億からの収益だ、何があるかわからない。

気功術により悪いことをする人間は減っているが、犯罪がなくなったわけではないのだから。


大学近くのカフェに入り6人が腰掛けられるテーブルを探すと、奥の方にそれらしき場所を見つけた。

この店はそれほど広い店ではないので6人が座れる場所が空いていたのは奇跡的だった。


「おおマジ空いてる~」

「この店で6人かけが空いてるのは奇跡に近いね」


それぞれに席に座ると6人だったはずがさらに2名増えていた。


倉田 真純  19歳  理工学部AI情報科1年 

吉平 徹   20歳  理工学部AI工業科2年  


「あれ?いつ来たの?」

「先輩たちがサークル棟を出るのが見えたので付けてきました」

「自分たちも今から部室行こうかと思ったんですよ」


店の奥の席はどう詰めても7名までしか座れない、コウはウェイターに断りを入れ椅子を1脚借りてきた。


「これで座れそうかな」

「OKだいじょうぶみたい」

「コウはここね」


マーサが自分の隣に座れと席を立つ、いつものお決まりだがそれを見て町田がいやそうな顔をする。


「俺の隣はいつでもあいてますって~」

「あなたの隣に座る人はいないわよ」


横山さんがとどめを刺す、うなだれる町田 いつもの光景だが俺には初めての経験。

曾爺さんはなかなか若者の心をつかむのが上手かったようだ。

結局持ってきた椅子には町田が座るような形になり、彼は俺とは真逆な端に座ることに、当然その隣は先ほど加わった徹が座って真純ちゃんのガードをする。


どうやら徹と真純ちゃんは仲が良さそうだ。


「それじゃ何食べる?」

「俺チーズたっぷりピザトースト」1300円

「あたしナポリタン」1000円


それぞれが昼食のメニューから一つずつ注文をする。

飲み物はコーヒーか紅茶(600円)、この店はどちらも飲み放題にすることができる。

+500円となるが学生が多いこの町、コーヒー1杯で数時間粘るより常に挽き立てのコーヒーを入れてもらえるならプラスしても安上がりと考える人もいる。

そういうコウも5時間いたことがある、当然曾爺さんが憑依中の時だが。


届いた順にいただきますと言って食べ始める。


「先輩、今度の論文はすでに出しちゃったんですか?」

「ああ今朝、二子川教授に渡してきたよ」

「ふ~ん、どうでした教授」

「相変わらずだよ、データを受け取ったらそっけないもんだ」

「でもすごいですよね、医学部の研究データの一つでしょう?」

「まあそうだけど基本的には気功術のデータだから、そんなに難しいことは書いてないよ」

「そういえば先輩院生になるんですよね?」

「ああ如月先生からすでに上に行く推薦ももらったからね、そのための論文も出してあるし」

「すげーなー2年で卒業で来年から院生か~・・」


先輩といわれているが歳は変わらないのでなんかこそばゆい、曾爺さんがあまりにも大人な対応を続けていたために同級生でさえ敬語を使おうとする。

まあ例のAI論文作成はみんながお世話になっているのでどうしてもコウではなくコウ様という雰囲気になってしまうらしい。

まったくなんつーソフトを開発してんだろう、これも曾爺さんのおかげなのだが。

通常こういうソフト(アプリ)はどの論文も同じような書き方になってしまい、他人の論文を丸写しみたいになる可能性が高いのだが。


曾爺さんの開発したAI論文作成は、そういうことにならないように初期の数ページに書かれた本人の癖を取り入れ全文に反映させるため同じような論文でさえ、かなり違う書き方になっていく。

ちなみにAI論文作成はこのソフトだけで10個以上のパテントが含まれる、文章の癖をランダムに自動収集するとか。

何ページの間に完結させるとか、漢字やカタカナそしてひらがなの使用率までAIで指定できる。

中に使われるシステムはほかの文章作成ソフトでも利用できるためすでに数社で特許は使用され、このソフトの特許料だけでも年数千万円の印税が入ってきている。


先ほど教授に渡した論文がもし教授の論文と併用されそこでの特許が認められれば医学全体。

人を治療するだけでなく予防する分野でも数百のAIソフトのベースになる可能性がある。

近いうちにコウは高額所得者になるだけでなく、財団を設立してそちらに印税を収める形にしていこうかというところまで来ている。

曾爺さんの書き込みにもそれらしき未来を見据えた書き込みが有ったりして。

むかつくのはコウが思いつく先々で曾爺さんの書置きが見つかるのだ。


この数日タブレットPCの中をくまなく探してみた、実に数百もの書置きがいたるところで見つかったのだ。


頭にくるかって?いやいやそれよりも自分と同じような性格のやつがいること自体が驚いた。

たぶん俺も曾爺さんのように、忘れないようにいたるところにヒントや書き込みを残すタイプ。

すでに頭の中身は曾爺さんが去った後もまるで自分が曾爺さんと同じ双子のような状態で行動しているみたいに感じる。


「いただきまーす」


ちょうどピザトーストが運ばれてきた、この店のピザトーストはチーズの量が半端ない。

パンの厚みも5センチはあるフカフカブレッド。

そのせいか俺だけじゃなくほかにも2名同じものを注文している。


「コウそっちもおいしそうねシェアしない?」


そうマーサに言われOKした、だがチーズピザトーストを2つ3つに分けるのは結構難しい。


「わざわざ分けなくてもいいわよ、こっちはパスタなんだし」


そういわれれば是非もなし、通常 人が口を付けたものを嫌がる人が多いがアメリカンなマーサにはそんなことお構いなし。

まあ相手が俺だからなのはわかっていてもみんなの前でそう宣言されると何となく恥ずかしい。

またもや町田から厳しいまなざしが・・・


「コウばかりずるいゾ」

「いやそんなこと言われても・・・」

「私はコウと結婚の約束しているんだから当然よ」


皆知ってはいるがそれを聞いて若干数人は驚く。


「え~先輩そうなんですか?」

「あれ?真純ちゃん知らなかったっけ?」

「私聞いてないです~」

「俺言ったよ」


横から徹が口をはさむ。


「付き合ってるとしか聞いてませんよ~」

「コウちゃんにはもう一人いるんだよね~」


「え!まじっ!」


横山さんがさらに追い打ちをかける、それを聞き町田が驚く。

実は前に横山さんはコウに連れ添って吉城寺の気功術協会に来ている。

その時一緒にいたのは早坂翠、その場で翠が恋人宣言したために横山さんのコウへの思いは即砕かれた。

翠の容姿は美少女コンテストに出ても不思議じゃないくらい綺麗だったからだ。

横山さんもそれほど引けを取らないが、彼女はどちらかというと活動的では無いし眼鏡着用の少し暗めという研究系女子。


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