ショッピング
ショッピング
「おなか減ってない?」
「ううんそんなに減ってないよ、でもコウが食事したいなら一緒に行くよ」
「それじゃ少しショッピングでもしようか?」
「うん」
ラウンドテンからまた駅の方へと2人で歩いてくるとデパートが立ち並ぶ地区がある。
2人でその中に入って行く、アパレル物のショップが何社も並ぶフロアーに行くと、マーサは目の色が変わったようにマネキンに近付いては笑顔で話し出す。
「すごいすごいわ、こんなにたくさんの洋服があるのね」
「LAはデパートはあまりないの?」
「LAはデパートじゃなく、ショッピングモールがメインね、でもこんなにたくさんの種類はないわ」
マーサは日本に来てすでに1年以上経つのだが、あまり外へ遊びに行くことはない。
それは、遊びに行くときはいつもSPが付く、超お嬢様だから。
日本ではそういう不自由な暮らしとさよならしたいという思いもあるのだが。
それにはいくつかの問題をクリアする必要があった。
まずは親を説得すること、そして日本での安全を親にちゃんと見せること。
つまり日本の一番頭のいい人が集まるところに留学するというのと日本でもボディガードを付けなさいということ。
もちろん、マーサには気功術協会USA支部もかかわっている、それは彼女がUSA気功術協会のトップの曾孫に当たるから。
そして大学内でのボディガード役として日本の気功術協会から三簾香に白羽の矢が立った。
だがUSA側としてはまさかマーサがコウに惚れてしまうとは思いもしなかった。
マーサの親は現在USA気功術協会の理事でありトライン製薬の会長でもある。
ちなみにマーサもUSA気功術協会の講師で等級は10級、もちろん若返りの魔法3種はレクチャーされており。
USAの大学にいた頃は気功術の教授として講座も受け持っていたりした、その講座は常に満員で立ち見まで出るほど盛況だったという。
マーサが日本へ来たのはUSAでは常に男性に付きまとわれたり不埒な輩が近寄ってきたりするのも一つの理由だ。
実際の話その状況下で恋愛などまともにできそうになかった、しかも彼女と付き合うには誰もが二の足を踏んだから。
「どう?試着してみる」
「いいの?」
「もちろん」
「日本のものはデザインも色も素敵ね」
「向こうにはないの?」
「はっきり言うと、かわいいのがないのよ」
「あ~確かにシンプルとゴージャスの2択が多いね」
「かわいいのがあってもキッズ用のみで、私が着られるようなかわいいのがないの」
確かに日本人は大人になってもというか、そこそこの年代でもかわいい洋服を着ている人が多い。
特にこの時代は、外見が実年齢より若いせいで、昔なら敬遠されるほど若向きの洋服でも違和感なく着こなすことが可能になった。
マーサははっきり言うとUSAでもかなりのスタイルを持つ、まだ19歳という年齢だが男性ならマーサを一目見れば釘付けになるだろう。
俺にはなぜか免疫があるのかそこまでエロい目では見ていない、まあ慣れかもしくは曾爺さんの記憶が少し残ったからなのか。
「これかわいい、試着してみたい」
「ああこっちに試着室があるね」
「それとこれも」
「待ってるから試着してきて」
そういうと店員さんを呼んで試着させてもらうことに。
待つこと数分
「どう?」
「かわいい・・・・いいね」
「イェス!」(やった!)
「それじゃ次着てみるね」
そういうとまた試着室へ向かっていく、このブランドは日本の若者向けで原宿より渋谷系に近い色使い。
カラフルとまではいかないがデザインがかわいい。
マーサの下手をするとエロに傾くボディがこのブランドの服ならスポーティでかわいく見せることができる。
「今度はどう?」
「色使いが絶妙だね、これもかわいいね」
彼女の今日の洋服はトップスはへその出るカットソー、その上からチュニックを羽織っているだけなので、この季節でなければ少し寒く感じるだろう。
下着の代わりに水着を使うという発想がいい、普通のブラではかわいさの出せるものはたぶんないだろう。
彼女の若さでFカップ以上はありそうなバストをかわいく包み込むブラなどないのだから。
ちなみにボウリング中何度か水着の位置を直しているのも知っている、補正下着ならそんなことはないけど、下着として着ているのは水着のため運動すれば当然ずれてくる、補正用の下着ももっとかわいいものを作ってくれればね。
「どう?」
「かわいいよ」
「それじゃこの2着を買うわ」
「ありがとうございます」
店員は嬉しそうにレジへ行くと丁寧にたたんで店のロゴが付いた紙袋を用意する。
「ああ~僕が払うよ今日のお礼と待たせてしまった謝罪を込めてね」
「いいの?」
「全然大丈夫だよ、自分の彼女にはいつもかわいい服を着ててほしいし」
「ありがと~」(チュッ!)
下手をすると援交の親父のような設定だがコウはまだ20歳、この年でこういう買い物の仕方はなかなか難しい。
俺も曾爺さんの記憶が残っていなければビビッて買ってあげるという選択肢もすぐには出なかっただろう。
デザイナーズローブランド物の服を上下2着、〆て5万3千円。
若者の町のおかげか2着買ってもまだこの金額で収まってくれる、渋谷や青山あたりのブティックに行けば同じようなものでも2倍3倍の価格になってしまう。
後で翠にもおねだりされそうだが、その時はその時だ。
2人で楽しく買い物を済ませ外へ出るとあたりはすでに暗く、約束の時間まではあと数分となってしまった。
「もう時間みたいね、楽しい時間は早く過ぎるっていうけどその通りだわ」
「送っていくよ」
「大丈夫よ、タクシーで帰ればすぐだし」
この時代タクシーは無人で呼べばすぐ来る仕様、彼女は来るときもタクシーを利用したらしい。
「いやちゃんと送らないとね」
彼女の住む家は現在目黒区の一等地に立つマンション、住んでいるのは彼女だけではなくUSA気功術協会のメイドアサシン(そうよばれている)の女性2名と一緒に暮らしている。
まあ直訳するとBG(護衛)なわけだが2人共に女性で、一人は今も背後を尾行している。
まったく気付かないわけでもないが、かなり周りに溶け込むのがうまい。
見た目はかわいい女性で普通の学生かOLぐらいにしか見えない。
聞いた話だが少しだけ普通と違うところがある、それは彼女たちが獣人だと言うこと。
獣人、600年前USAの遺伝子研究所で事件が起きた、その研究所では人と動物の遺伝子を使い獣人を作る研究をしていた。
科学力とは人の思いを善悪に関係なくぶち抜いていく。
その研究所で何種類かの獣人が生まれた、猫・犬・ウサギそして馬の獣人。
彼らはある組織によって作られたがそれを当時の動物保護協会の働きにより事件が明るみに出た。
当時動物保護協会にいた理事の一人がシルビア・オースティン、マーサの曾曾婆ちゃんだという。
彼女がUSA気功術協会を発足させ気功術を全米に広めていくきっかけを作った。
USA気功術協会が気功の操作に優れた獣人達を引き入れ、気功術を獣人と共にアメリカ全土へ広げていったという経緯がある。
USAの獣人割合は現在20%にも伸びている、多産で従順な犬系の獣人たちは。
その毛並みだけではなく、頭脳の良さもあり全米で受け入れられた。
マーサにも7%ぐらい獣人の血が混じっていると本人が言っていた。




