3/4
花と拡声器余談:「冬のある日」
「あ¨?誰がついて行くっつった?」
君は、猫みたいなその目を細めて、悪態を吐く。私も君がそう言うだろうって、先に言っておいたんだけど。だって、『人が多い所は大嫌いだ』ってよく言ってるし。
「え、マジで来ないんですか」
酷く悪い目付きの五色くんは、意外そうに目を見開いた。
「ヒーローショーとかありますよ」
「そりゃあ三流のクソヒーローショーだから見ねぇんだよ」
君は更に不機嫌になった。これは何かで誘っても、もう絶対に行かないやつだ。
「ね、じゃあほっとこ?」
陸奥くんが私と枝垂くんの袖を引っ張る。さっさと外に出て遊びたいのかもしれない。
「しかたないわよねぇ」
枝垂くんも、陸奥くんの意見に同意してるみたいで、玄関に向かっていった。
「なんでお前が残るんだ」
だって、君と一緒に居たかったんだもの。
「……チ、」
小さく舌打ちをしても、君はそれ以上には邪険にしない。本人の意思を尊重してくれる君のそういうとこ、好きだなぁ。
「は!?」
あれ、声に出てた?
「出てるも何も、そんなにやけた顔すんな。気持ちわりぃだろ」
すっごく恥ずかしいな……。