《1話「愛した彼女はもう、いない。」》
雨の日、墓帰りの男「天道 終」は
涙を流しながら自分の住むマンションへと
帰っていった。彼が涙を流しながら帰って行った
理由とは・・・?
――――― 世界が、黒に咲いた。
《1話「彼女は死んだ」》
今日は、雨が降っている。肌に滴る1つ1つの水の粒は、
悲しい僕の肌を、慰めるかのように撫でているようだった。
そして、雨は僕の涙さえも拭ってくれた。
彼女の命日だ。あれから、1年がたった。
今でも忘れられない。だから、僕は泣いたのだ。
マンションに辿り着く。今日も僕はお酒を飲む。
何もなかった。全てを忘れられる。
僕は彼女のお墓に今日、行った。花も供えた。
信じたくない。彼女が死んだことを。
狂ってるかのように酒を飲み続ける。
雨が拭ってくれた涙を、また流しながら。
"忘れられる"なんて、嘘だった。
電気もつけず、スマートフォンをいじり続ける。
何について検索してたか?というと
"死者の復活だ"非現実的かも知れない。
でも、あるんだ。きっと、ある。
不確定な妄想だけを信じている。
失った僕には、それしかないんだ。
結局、酒を飲んだって悲しみは、消えなかったのだ。
調べ続けた僕の結果は結局、虚無へと消え去った。
涙も乾いた。泣きすぎた。
大人になったら涙を流さないって決めたんだけどな。
彼女が不老不死の存在だったらよかったのに。
・・・いや、それだと涙を流していたのは僕じゃなかったのかも知れないな。
彼女が亡くなった主人公「天道 終」
これは、彼の物語だ。
彼が、これから見ることになる光景。
それに、後悔はないはずだ。
物語は、ここから始まったのだ。