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壊れかける日常?②

 三人の男が会話をしていた…

 楽しそうにアハハ!と笑いながら。

 だが、目は誰も笑っていない、口で笑っているだけだ。


「アハハ!………覚悟はいいか?後悔しても遅いからな?」


「アハハ!………先輩こそやっぱり止めたとかは無しですよ?」


「アハハ!………限、自分の事も心配しなくていいのか?」


 皆、覚悟を決め勝負をするようだ…

 勝負とは互いの名誉、誇り、その他もろもろを賭けた、男にとっては大事なものだ。

 そんな勝負に挑む者達。愚か者か勇者かは誰にも分からない…いや、分かったらダメなんだ!


「じゃあ…いくぞ!準備はいいか!」


「当たり前だ!ここで戦わず何が男だ!」


「俺も限と同じだ!」


「いくぞー!!!………」


 場が静まり返りシンとなる、まるで別の空間に入ったのではと思えてしまうほどに…

 その場にいる誰もが緊張し、そして高まっていた。

 これから起こる戦いがどんなことになろうと戦いを止めるつもりなど無いのだ!


「最初は…………グー、じゃんけん、ポーン!!」


「「じゃんけんポン!」」


「よっしゅぅぅああ~!!」


「「クソったれ!!山中なんかに負けたー!!」」


「山中なんかにって、流石に傷つきますよ…」


 そう、古来より(そんなに昔では無いが)伝わる勝負を決めるための手段、じゃんけんである!

 たかがじゃんけんとバカにする人もいるだろ、だがその人はじゃんけんによる友情、恋、物語を知らないだけである。

 じゃんけんにのおかげで結婚した(諸説あり)や、じゃんけんのおかげで反抗期の息子と仲直り出来た(個人差があります)等々…実に多くのドラマが繰り広げられているのだ!

 そして今、この場所でも一つのドラマが生まれたのだ、仕事仲間との友情が…


「「覚えてろよ山中!次こそはお前にトイレ掃除をさせてやる!」」


 まるで、ひと昔前のチンピラが言いそうなセリフを言い放ちながらトイレに、ブラシやらの掃除類を持って行く二人の姿を見ながら山中は言い放った。


「結局、俺は仲間外れかよ…」


 山中はトボトボと自分が掃除するエリアへと歩み出した。

 その後ろ姿は勝者には相応しくない姿であった…





「クソ~!また山中の一人勝ちか~!」


「先輩、山中はもしかして…トイレの神様の知り合い的な人ですかね?」


「もしかしたらそうかもな~、あいつはトイレ掃除のときは負けたこと無いよな」


 俺達は負けたのがよほど悔しいのか、愚痴をこぼしながらそうじをしていた。

 キュッ!キュッ!ガシガシ…キュッ!キュッ!

 しばらくの間、二人とも無言になり便器を磨く音が響いていた…


「「…………」」


 今日は早く帰れるといいな…アリアをあんまり待たせるとかわいそうだしね。

 アリアは寂しいなんて口には出さないけど、不安だろうな…

 こんな全く知らない異世界に一人迷い込んだのだからな、俺だったら寂しすぎて頼れる人を頼りまくるな。

 そんなことを考えていると…


「おーい、そっちは終わったか?俺は終わったぞ?今回はあんまり汚れていなかったからすぐに終わったが……お前はまだか、頑張れよ」


「先輩やっぱりおかしいですね…いつもなら邪魔してくるのに」


「アハハ…恵美、恵美…何でなんだよ!俺が何をしたんだよー!」


 前言撤回、いつもよりさらにおかしくなってた…

 なんで別れたのかは分からないけど、ここまで来ると笑えないよ本当に…

 そろそろこの人と関わるのやめようかな?


「はっ!また俺は変なことを口走っていたな…すまんな限、今日は合コン行こうぜ?」


「だから、行かないって言いましたよね?話聞いてましたか先輩?別れたから合コン行くなんて心入れ替える早すぎませんか?」


「違うんだよ…山中がさどうしても人数足りないからさ来てくれって言われてよ、男なら部下の頼み断れないだろ?」


「本当はどうですか?」


「本当のは恵美じゃない女の子とも飲んでみたくてな~、恵美も可愛くていい子なんだけど最近冷たくて…」


「先輩、今すぐ仕事終えたら恵美さんに謝りに行きましょう。俺も必要なら付いていきますんで…」



「無理だよ、先週ゲームを一緒にしてる時に言われたんだよ…「ここから先は分かれて進むべきだと思うの!君はどう思う?」って言われたんだよ…」


「先輩、それってもしかして協力プレイしてませんでしたか?」


「あ?してたような気もするけど、それがどうしたんだよ?」


「たぶん先輩の勘違いですよ、それ…ゲームの中の話じゃないですか?」


「え…まさか、いや、ありえない、それはさすがに無い…」


 先輩は何かを考えるかのような険しい表情をしていた…

 やがて、何かに思い至ったかのように手を叩いた。


「そうかもな!でもよ、一週間連絡つかないんだぞ?明らかに避けられてるんじゃないか?」


「何か用事でもあるのではないですか?直接聞いてみませんか先輩?」


「だな、電話するから片付けて置けよ!」


「ヘイヘイーイ、片付け、片付け楽しいな~」


「お前は黙って片付けも出来ないのか…まぁいいや、今回はお前のおかげで希望が見えてきたしな~」


 先輩は携帯を取り出し、神妙な面持ちで電話をかける…

 携帯のコールが、一回、二回、そして三回目に突入する前に相手と繋がったようだ。


「もしもし!恵美か!?何かあったのか!」


『どうしたの~?私は特に健康だよ~』


「いや、先週さ~、別れようみたいな話しなかったかな?」


『どうしたの急に!?もしかして私のこと嫌いになっちゃったの!?』


「いやいや!嫌いじゃないよ!むしろ大好きだよ!」


『う…改めて言われると恥ずかしいな!』


「でもなんで連絡付かなかったんだ?心配したんだぞ…」


『あれ~、言って無かったかな?ちょっと海外に視察に行くから一週間ほど連絡出来ないよ~って言わなかった私?』


「あ~、言ってたような気もするな、正直それどころじゃなかったからな…」


『今さ~、丁度空港に着いたからさ~、九時から飲みに行かない~?』


「マジか!行くわ!恵美ありがとな俺のことを見捨てないでくれて!」


『私だって君みたいな、いい男を他の女に盗らせるわけ無いよ~!』


 何やらイチャイチャと携帯越しでしていた。

 非リアの俺への見せつけなのだろうか?いや、見せつけよりもっと酷い嫌がらせだこれは!

 クソー!先輩のくせに彼女がいるなんて!世の中理不尽だよな全く…

 俺も彼女欲しいな…来世は優しそうな顔に産んでください神様!

 すると、いつの間にか通話を終わらせていた先輩がこちらに駆け寄り…


「今回はマジで感謝するぜ限!おかげで恵美と仲直りみたいなの出来たしな!俺が出来る範囲ならお礼するぜ?」


 お礼?そんなの一つしかない…

 俺は口を開き言い放った。


「爆発しろよ先輩…」


 先輩はしばらくの間思案をして、顔を意地悪くニヤーと笑って言ってきた。


「お前彼女出来たこと無かったんだな~!」


 いつもの先輩に戻って安心したよ…

 ただ、殴りたくなる衝動はとても抑えきれなくなったがな。

 その後、互いをバカにする罵詈雑言がトイレの中で響いたのは言うまでもない…



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 心身共に疲れ切った体で会社に戻り、着替え帰宅する途中に声をかけられた。

 後ろを振り向くと、少女好きのヘンタ…じゃなくて社長が立っていた。

 嫌な予感しかしない。誤魔化して帰ろうかな~…

 だが、俺のそんな考えなど読めていると言いたそうな、鋭い目線を向けてきた。


「おい、いつになったらアリアちゃんを連れてくるんだ!一か月ほど会ってないぞ!」


「ま、待ってくださいよ社長!アリアは日本に慣れるので精一杯なんですよ!社長が悪影響を与えるとかいう訳じゃないんですよ?」


「そうか…それなら仕方ないな!その内連れてきてくれよ?カフェなんかにも一緒に行きたいな~」


「その内連れてきますんで…だから今日は帰りますね~!それでは~また来週来ますね~!」


 そそくさと逃げるようにその場を立ち去った…

 長引かなくて良かったと心の底から思っている。


「外はまだ寒いな…早く帰ってアリアの手料理食いたいな~」


 外はまだまだ寒いが俺には温かいご飯と、愚痴を聞いてくれる話し相手アリアがいるから心は温かい。

 結構俺って幸せなのかな?

 こんな生活もいつまで続けられるのかな…

 アリアが元の世界に戻ったらこの生活も終わっちまうしな~…

 今、この時を大切にして生きていこう!


 それから、バイクに跨り家まで真っすぐ飛ばしていった…

 ただひたすらに舗装された道路を進んで行く。


「やっぱり…俺はまだまだダメなのかねー、一人で暮らせていると思ってたけどまだまだだな~」


 そんなことを考えながら運転しているといつの間にか我が家に着いていた。

 お世辞にも立派とは言えない簡素な駐車場にバイクを停め、階段を駆け上がり鍵を開けて室内に入った。

 だが、室内には誰もおらず、代わりにコタツに手紙みたいな物が置いてあった、そこにはこう書かれていた…


()()()()()」と簡素な別れの文字が一言だけ書かれていた。


「アリアは優しいな…俺を巻き込まない為にこんな手紙を書いたんだろな」


 俺は携帯を開きあることを確認するとよしっ!と言い、ある人物へと電話を掛ける。

 そいつが今暇ならいいのだがな…

 勿論、暇じゃ無くても連れてくけどな!


「あ、もしもし?俺、俺だよ?今からお前を迎えに行くから今どこにいるか教えてくれない?………あ、まだ仕事中?いいだろどうせ仕事なんてしてないだろ?……ハイハイ、今度なにか奢るからよろしく。今から向かうから切るわ、じゃあーな」


 一方的に決めつけ、電話を切る。

 今は手段を選んではいられないかもしれないのだから仕方ない、あいつも納得してくれるだろ…たぶん。

 あいつは後から埋め合わせはいくらでも出来るからいいけど、アリアは既に手遅れになってるかもしれない…

 そんな事にはなってはいないと信じるしか無いな今回ばかりは…


「さて、俺も出来るだけ使えそうな物を運び出しとくか…」


 今から使うものをゴソゴソと探しに行った。最も、何が使えるかも分からないけど準備しておいて損は無いだろう!

 しばらくの間使えそうな物を見つけてはリュックサックに放り込んだ、やがてリュックサックが限界に達したのかパンパンに膨れていた。


「アリア…俺は約束は守る男だからな?何が何でも約束は果たす!」


 気合を入れて独り言を言いつつ、急いで階段を駆け下りバイクを停めてある駐車場に向かって全力で走り去った…

 空に雪がチラホラと舞っていた…

 何か嫌な予感がするが、バイクに跨りエンジンをかけて、雪の降る夜道を真っすぐに赤いランプが突っ切って行った…


次から少しはファンタジー要素を出していこうと思います!

でも主人公が普通の人間だからファンタジー要素って難しいな…

とりあえず…頑張ります!

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