アリアは癒したい2
「うーん……どうしたらいいのでしょうか」
「どうしたんだアリアよ?さきほどから苦い薬草でも飲まされたような顔をしているが」
すっかり現代の文明に毒されたのか、お菓子を片手にテレビを見ながらゴロゴロしているもはや英雄とは思えない姿のペンタがしかめっ面でうなっているアリアが気になったのか声をかけると、
「ペンタ様はサプライズ演出とかって嬉しいですか?」
「さぷらいず?それは確か……何も知らさせてない者を驚かせることだったか?」
「はい、それであってます!」
「まぁ、我は急に物事を進められるのはあまり好きでは無いな、だが酒が飲めれば別だ」
「お酒が飲めればいいのですか……限さんはお酒は好きみたいなので大丈夫ですかね」
「もし、酒が足りないなら我が出してやるぞ?あちらの世界の美味い酒は一通り揃えてあるからな」
ペンタは楽しそうに笑いながら何もない場所から高そうな装飾を施してあるワインボトルをちらつかせる。
「それって……かなりお高い物じゃありませんか?お父様がたまの贅沢に飲んでいました」
「何も我も生きていた頃……まぁ、我は今も一応生きてるけどな。我も別に毎日飲んでたわけじゃないからな?この酒はある奴に貰ったものだ。奴は酒が飲めないくせに貯め込んでいたからな」
「酒が飲めないのに貯めていたのですか?」
「あぁ、その時に奴が言ったことは面白すぎて忘れられないな」
いつの間にかワインボトルを一本開けて飲んでいるペンタは昔を思い出しているのか遠い目をしていた。
「どんなことを言ったのですか?」
「奴は我が来るのを待っていたと言ったんだ。そして、酒でも飲んでゆっくりと話をしようって言ってきたんだ」
「お酒が飲めないのにですか?」
「しかも、奴は我と敵対関係にあった奴だからなおさら笑ってしまったな」
「えぇ!?敵対関係にあった人とお酒飲んだのですか!?」
「まぁ、奴はいいやつだったよ。顔は普通だが優しくて面白い奴でな……今頃どこで何をしてるのだろうな」
「もしかして、ペンタ様はその方に恋してたのですか?」
「うーむ……どうなんだろうな。我は恋をしていたのだろうか……まぁ、何百年も昔だから奴が生きてるかどうかも分からないしな」
ワインを飲み干したのかもう一本取り出しながら眉をひそめる。
「なんだかお会いしてみたいです。ペンタ様が恋をしていたかもしれないお方に」
「まぁ、使命を終えることが出来たら会いに行ってみるかな……」
「使命ですか?使命っていったい……」
ピンポーン
会話を遮るかのようにインターホンが鳴った。
「タイミングの読めないな……全く誰だ」
「ペンタ様は座っててください!私が出ますので!」
ペンタより先に立ち上がり客人を待たせることのないように急いでドアへと向かう。
「はーい、どちら様でしょ……雅さんと海さん?」
「アリアちゃん久しぶりだね~!元気にしてた?」
「あ、あひょ……頬をしゃわられるとしゃへれふぁいのですが」
「雅ちゃんの方が元気なかったじゃん。アリアちゃんと会いたい~!って言ってたよね~」
アリアの頬をの感覚を楽しむのかのように横や縦に軽く弄んでいたが海が余計な一言を発してしまった。
「そ、そんなこと言ってない!もし、これ以上余計なこと言うと口を縫い合わせるからね!」
「ご、ごめんね~。これ以上は何も言わないからさ~……」
「なんだか騒がしいな……一体何をしているんだ?」
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「そう言えばお主らは何をしに来たんだ?」
「実はですね~、お隣に引っ越すことになったのでご挨拶に来ました~」
「上の方からあなた達を見張るために派遣されました。でも、アリアちゃんを信用してないわけじゃないんだよ?ただ、あのオッサンだけじゃ不安だって会長が言ってたから」
「我と限がいれば問題ないのだがな。まぁ、味方が多いに越したことは無い」
「ペンタ様がそんなこと言うなんて珍しいですね。てっきり私は「我がいれば大丈夫だから去れ!」って言うと思ってました」
「アリアは我をそう思っているのか……まぁ、あながち間違えでは無いな。本来なら我一人の方が戦いやすいが限は周りのことを気にし過ぎるから我はあまり暴れられないからな」
渋い顔を浮かべながらアリアの問いに答える。
「ペンタさんの戦い方ってそんなに周りに迷惑をかけるの?」
「この前は確か道路を抉り取りましたよね?」
「あの時は初めて限の体を使ったから力加減が出来なくてな。今ならもう少し抑え気味で戦えるかもな」
子供のように手をブンブン振り回しながらそんなことを言っていた。
「戦わないこと方が本当はいいんですけどね……そうはいかないですよね」
「まだ、教えるには早いかもな……」
争いごとがあまり好きではないアリアは微笑を浮かべる。
それを見ていたペンタは誰の耳にも入らないほどの小さな声で呟いた。
「何か言いませんでしたかペンタ様?」
「何も言っておらんぞ?準備に疲れすぎておるのではないのか?」
「準備?もし、大変なら私も手伝おうか?もちろん、海も暇だから大丈夫よ!」
「え、ちょっと待って!僕まだ荷ほどき終わって無いんだけど~……」
「荷ほどきなんて明日でも大丈夫でしょ!アリアちゃんの手伝いは今しか出来ないの!」
「わ、分かったよ……手伝うよ~」
海が押しに弱いのを雅は分かっているので反論をさせる隙も無く強引に従わせた。
どこまでも可哀そうな扱いをされている海だった。
「あ、夕食の準備はもう終わりました。あとは限さんが何をすれば喜んでくれるかを考えてました」
「おっさんが喜ぶことね……おっさんはアリアちゃんがなんかすれば喜んでくれると思うけどな」
「僕も雅ちゃんと同じ考えかな~、限さんはアリアちゃんを溺愛してるからね~」
「限さん確かに優しいですけど……そうじゃないんですよ!痛っ!」
思いっきり立ち上がったせいで机の角に足の指をぶつけてしまっい、痛さのせいでその場でうずくまってしまった。
それを見ていたアリア以外はアハハと笑っていたが本人はそれどころじゃないのかただじっとうずくまっている。
「そうだアリアちゃん!ちょっと私の部屋に来てよ!もしかしたら、おっさんが喜ばすことが出来るかもしれないかも!」
「本当ですか!?ありがとうございます雅さん!」
「何をするか知らないけど~、危ないことはしないでよ~?」
「私がそんな危ないことさせる人に見えるの?」
「前にそんなこと言いながらペットボトルロケットで打ち上げられたんだけどね~」
「それは海だけにしかしないから安心して。アリアちゃんにそんなことさせるわけないじゃない!」
「アリアちゃんに危害を加える気が無いのはいいけど~、僕にももう少し優しくしてくれてもいいんだよ~?」
「それは今後の海の行動によるわね」
「お主らも仲が良いな……」




