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面倒ごとは突然に!②

 

「縛る物、縛る物…金属チェーンしか落ちて無いからこれでいいか」


「何だか廃品回収の業者みたいですね~」


「こいつが全身鎧で助かったよ。人の顔なんかが見えたら人攫いと勘違いされそうだしな」


「でも、鎧を担いで歩くだけで目立ちそうですけどね」


「だな…さっさとアイス買って帰ろう」


「アイスは諦めないんですね…」


「当たり前だ」


 即答した限に呆れつつもアリアはアイスを買いに行くのを許してあげた。

 なんだかんだ言ってアリアも限には甘いようだ。


「分かりました、私が見ておくので買ってきてください。その代わりに私にもアイス買ってきてくださいね!」


「おう、見ててもらうお礼にいつものより少し高いアイス買ってやるよ」


「本当ですか!?なら抹茶プレミアがいいです!」


「抹茶が好きなんだ…渋いな」


「抹茶大好きです!いつか本物の抹茶も飲んでみたいですね~」


「いつか飲ませてやるよ。高校の文化祭とか行けばどっかでやってるだろう」


「約束ですからね限さん!」


「約束破ったら抹茶アイス買ってやるよ」


 二人は手を差し出して握手を交わした。

 そんなことをしている余裕などない気がするのだが、生憎この場にはアリアと限の二人しかいないので誰もツッコんでくれない。


「なるべく早く戻るから痴漢や不審者には気を付けろよ?」


「限さん変な所で心配性ですね」


 コンビニまで歩いて行ったかと思えば途中で歩みを止めてアリアの元に戻ってきた。


「いや待てよ…夜中にアリアみたいな可愛い女の子は何されるか分かったものじゃない…やっぱりアイスは明日買うか。アリアを一人夜道に置いておくのも不安だしな」


「じゃあ、帰りますか?」


「そうしよう。また、俺のせいで失っても困るしな」


「はい、帰りましょう!」


「どうしたんだ手を出してきて?」


 限はアリアが差し出してきた意味を理解出来ずにいた。

 勇気を出した行動を理解してもらえず、アリアはプルプルとしながら顔を赤くしてしまった…


「限さん酷いです!私が勇気を出したのに…」


「あ、すまん…手を繋ぎたかったんだな。これでいいか?迷子にならないように手を繋ぐのは大事だよな」


「そんな理由ではないのですが…手を繋げたのでよしとしましょう」


「ブツブツ呟いてどうしたんだ?」


「い、いえ!何でもありませんよ!」


 満面の笑みを浮かべるアリアに若干不思議に思ったが、本人が何でもないと言っていたので特に追及することはしなかった。


「限さんの手は大きくて温かいですね…」


「どうしたんだアリア?恋愛ドラマでも見たのか?」


「ち、違いますよ!?」


「ハハハ!まぁ、女の子だから恋愛ドラマに憧れるのは分かるけど俺で試さなくてもいいだろ?国に帰ればいい男なんて腐るほどいるだろ?」


「うー…やっぱり限さんは意地悪です!」


「えぇ…なんかまずいこと言ったのか俺」


「言いました!私はちゃんと聞きました!」


 その後、限は家に帰りつくまでアリアに口を一切聞いて貰えなかった。

 恋をしている女の子を弄んだのだから当然の仕打ちなのだが限はいまいち納得出来ていなかった。





「はぁ…はぁ…やっと家に着いた」


「どうしたのだそんな息を荒げ…おい限!悪いことは言わないその肩に背負っている鎧を今すぐ捨ててきてくれ!」


「口を開くなり…何だよいきなり、こいつがいればお前らのいる世界に戻れるかもしれないんだぞ?」


「仮に戻れたとしても我は断固拒否する!」


「なに揉めてんだおっさん?…なんだその不気味な鎧」


「どうしたのですか~限さん?…なんですかその不気味な鎧」


 重さ推定八十キロほどの鎧を引きずり回して帰って来て汗だくの限に向かって捨ててこいと無慈悲な言葉をペンタは言い放った。

 そのやり取りを聞いて駆け付けてきた雅と海は玄関に置いてあった鎧を怪しむように後ずさりしながら見ていた。


「二人揃って不気味な鎧って言うのは止めてやれ…こいつがかわいそうだ」


「こいつ?その鎧生きてるの?もしかして…付喪神なの?」


「さぁな、たぶん敵であろうことは間違いない」


「ふーん…そう言えばおっさん達は何者なんだ?全身鎧の化け物を相手にするなんて私でもそうそうしない」


「俺はただの清掃員だよ。どこにでもいるただの一般人だよ」


「ただの清掃員が鎧を引きずってくるのか?」


 全く信用しておらず、疑いの目を向けていた。

 雅が限を疑うのは当然である。むしろ、ただの清掃員が鎧を引きずり回せると思わないのが普通の

 人の反応だ。


「そ、それは…ゴミ()が落ちてたら掃除するのが清掃員魂ってものだろ?」


「おっさんの方がこの鎧の扱い酷いじゃないか!」


「ナンノコトデショウカ…」


「(うるさいな…何を喚いておる)」


「げっ!限がさっさと捨てて来ないから起きたではないか!どうしてくれるんだ!」


「(お前は…ペンタではないか?なぜお前が生きているのだ?人間が五百年もの間生きていけるとは思えないのだが?)」


「(あなたはペンタ様とお知り合いなのですか?)」


「(知り合いも何も、こいつはワシの弟子だ)」


「(えぇ~!?ペンタ様のお師匠さんなんですか!?)」


「(そうだ、アリア・アルトリアよ。なのにお主ときたら…アルトリア国を見捨てただけではなく、ワシにまで襲い掛かるとは!)」


「(私だって見捨てたくて見捨てたわけではありません!)」


「(王ならば民のために戦うのが普通ではないのか?ワシの弟子のペンタは王として戦っておったぞ?)」


「(そうです…私はペンタ様のように強い力を持っていません。それどころか、自分を慕ってくれた人でさえ守れなかったダメな王です)」


「(そうか…それが分かっているのならお前はよき王になれるはずだ!やはり、お前を始末するのは止めておこう)」


 アリア、ペンタ、黒い鎧の三人が異世界の言語を用いて会話をしているので、日本出身の限達は全く話に付いて行けずにアリア達のやり取りをボー…っと眺めることしか出来なかった。


「話が全く理解できないんだが…アリア説明頼んでいいか?」


 話が気になって仕方がない限はアリアを話の輪から連れ出して、解説を頼んでいた。

 アリアは気があまり進まないものの、限から頼まれたことは極力断らないと決めているようなので通訳をし始めた。


「簡単にまとめるとですね…この方はペンタ様のお師匠様で、国を見捨てた私を始末しに来たみたいです」


「なんじゃそりゃ…つまりこいつは、ペンタの師匠にしてアルトリア家のお目付け役みたいな奴なのか?」


「たぶん、そんな感じですね。私はやっぱりダメな王様何でしょうか…」


「何おかしなことを言ってんだよアリアは…まず、お前みたいに小さい女の子に国を任せる時点でおかしな話なんだよ。普通は責任の取れる大人が上に立つんだよ」


「なんだか慰められてるようで嬉しいような…私を異性として認めてくれてないので悲しいような…複雑な気分です」


「これでも慰めてるつもりなんだぜ?俺は慰めるの苦手だからこれ以上は言えないから勘弁してくれ」


「フフ…ありがとうございます限さん。やっぱり限さんは優しくてカッコいいです」


「褒めても何も出さないからな?」




どうも、最近は微妙な路線を攻めて行っているよしおです

最後まで読んでくださった方ありがとうございます!

誤字や脱字を見つけたら教えてくれると助かります!

これからもどうぞよろしくお願いします


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