面倒ごとは突然に!
「(なわけあるかい!お前はアリア・アルトリアだろ!)」
「(やっぱり誤魔化しきれませんでしたか…)」
「なぁ、なんてあの爺さん言ってんだ?」
「えっとですね…私をアリア・アルトリアと分かったらしいです」
「うわー、メンドクサイ爺さんだな。帰るふりして帰らないとか新手の嫌がらせかよ」
「(何を訳の分からないことを言っている!そいつはお前の仲間か!だが、目つきが悪くてどう見ても我らよりの見た目の人間だな。悪魔とのハーフか?)」
「何言ってるか全然分からないけどバカにされてることだけは分かる気がする」
「限さんかなりバカにされてますよ。悪魔とのハーフとまで言われてますし…」
「確かそこら辺に鉄パイプ落ちてたはずだから殴り飛ばしてやろうかな」
悪魔とのハーフとまで疑われさすがに限も怒ったのか鉄パイプを探していた。
それを見ていたアリアは「鉄パイプを限さんが持つとどっちが悪者か分からなくなるので止めた方がいいと思います…」と限は言われたので納得してない様子をしていたがアリアには甘いのか鉄パイプをその場に置いた。
「(お主ら!ワシを無視するな!)」
「うるせい爺さん!俺は面倒ごとは嫌いなんだよ!分かったならさっさと帰ってくれ!」
「日本語で言っても通じませんよ?(えーっとですね…私の隣にいる人がメンドクサイから帰ってくださいって言ってるんですよ、よかったら帰ってくださいませんか?)」
「(断る!敵を見つけて帰る兵がいると思うか?散っていった同法の為にもワシはお前を倒さなければならないのだ!)」
「(そうですか…なら、私も覚悟を決めますね。手加減は一切しないので覚悟してください!)」
二人の体から魔力の渦のようなものがユラユラと立ち上がっていた。
両者既に戦闘態勢に入っているようだ…
「炎の聖霊よ私に力を貸してください…“火炎球”!」
「(そんなもの効かぬわ!)」
魔力により作りだされた火炎球が老兵士に向かって弾丸のような速さで飛んで行ったが、それを何の躊躇いもなく拳で払いのけただけで消してしまったのだ。
魔法とは本来ならば高い殺傷能力を持っており、ただの拳で払いのけることなど不可能に近い。
それほど、この老兵士は戦い慣れているのだろう…
「(素手で魔法を消すなんて…やっぱり只者では無いようですね)」
「(ワシは若い世代を立派な兵士に育て上げる教官をしていたからな、このくらいのことは出来て当然だ)」
「俺っていつも空気だな…今ならコンビニでアイス買ってきてもバレない気がする」
さすがに戦いに参加するわけには行かずに離れた場所で見ながら一人悲しそうに呟いていた。
アリアを守れない悔しさか、ただ単に自分だけが異世界の言語を理解出来て無いので寂しいのかは分からない。
「(私はもう誰も傷つくのを見たくありません…だから、守るためにこの力を振るわせてもらいます)」
「(面白い…お主の力を見せてみろ!)」
「炎の聖霊、風の妖精よ…私に力を貸してください!炎と風が合わされば全てを焼き払う業火とならん!“爆炎の暴風”」
「(グッ…ヌォォ~!!これほどまでの力を持っているとはぁ!!)」
アリアの背後から薄緑の女と上半身裸の赤黒い肌をした筋骨隆々な男が現れたかと思えば、突如として少し離れた位置からでも吸い寄せれそうになる暴風と耐えがたい熱を発する炎の竜巻が現れた。
これにはさすがの老兵士も地面に体を固定しきれずに爆炎の暴風に吸い込まれて全身を焼かれていた。
「おいおい、これ目立ちすぎだろ…」
「それは私も思いましたよ…でも私の最大火力この魔法なんですよ」
「それなら仕方ないね。でも、この火を見た人が消防に通報してそうだからこの場をとりあえず離れようか」
「そうですね…私なんて逮捕されたら身分を証明するものが無いのでどうなるのでしょうか?」
「そこも問題だよな。アリアの個人情報どうにかして作りたいけど…役所に知り合いなんていないしな」
もしもの話をを呑気していると…
ドサッ!
暴風に弄ばれていた老兵士が二人の前に落ちてき、先ほどとは打って変わったボロボロの鎧になってしまっていた…
黒く染まっていたはずの鎧は塗装が剥げたのか金属が剥き出しになっており、所々に炎の熱にやられたのか肩の装甲が左右非対称になっていた。
もう、見るも無残な姿になってしまっていた。
「いくら何でもオーバーキル過ぎだなこれは」
「ちょっとやり過ぎました…この方の名前を聞くのも忘れてました」
ブスブスと黒い狼煙を上げていた。
だが、辺りには鉄の焼ける匂いはするが肉が焼ける独特の臭いが一切しなかっのだ。
「なんでこいつこんなにこんがり焼けてるのに臭わないんだ?それとも…焼けたくらいで臭いってしないものなのか?」
「いえ、人が焼けると酷い臭いが辺りに立ち込めます。私の国も戦いによる炎で焼かれましたから…」
「あ、ごめんな嫌なこと思いださせて」
「いえ、私は限さんといれば大丈夫ですよ!」
「そうか…アリアは強いな」
「(ゲホッ、ゲホッ!中々やるではないかアリア・アルトリアよ…)」
全身すすだらけの老兵士がのっそりと壊れかけの機械のようにガタガタと体を震わせながら立ち上がって来た。
鎧の接合が悪くなってきたのかギギギ…と金属が擦れるような鈍い音が響いていた…
「なんだこの爺さん…生命力高すぎるだろ!」
「(何を喚いているか全く分からんが死んでもらうぞ人間がぁ!)」
「限さんに手出しはさせません!“風刃”!」
「(ぬぅ…小賢しい真似を!)」
アリアは威力を抑えて速さを意識した風の刃を手元から六枚ほど作りだして投げ飛ばしていた。
いくら威力を抑えていると言っても、普通の人ならば致命傷を与えられることができるほどの威力である。
だが、黒の鎧に身を包んだ老兵士は何の躊躇いもなく風の刃を手で掴み握りつぶしたのだが…
「だがな…甘いんだよ!喰らえ!フルスイングゥゥ!」
ガスっ!ミシミシ…
「アベフ!」
ドサッ…ガシャン…
アリアの放った風の刃に気を取られている隙に限がその辺に置いておいた鉄パイプを手に取り力任せに頭部を叩きつけたのだ。
完全に不意を突かれた老兵士は何のアクションも起こすことが出来ずにもろに鉄パイプで叩きつけられ沈んでしまった…
「アベフってなんだよ…せめてもっとカッコよく倒れてくれないかな」
「限さん完全に悪者ですね…武器が鉄パイプは完全にアウトですよ」
「何とでも言ってくれ…どうせ俺は悪人面なんだよ」
「いや、顔は私はカッコいいと思いますよ?ですけどね、倒し方と言い持っている武器と言い…完全に悪人なんですよ!」
「う…仕方ないだろ!ここにある物なんてこれの他にはアルミ缶くらいしかないんだよ?アルミ缶でどう戦えと?」
「それなら仕方ないですけど…せめて柔道や空手なんかで倒してほしかったです!」
アリアがヒーローに憧れている子供のようにキラキラとした瞳で限に話していた。
だが、限はその言葉に苦笑いを浮かべながらこう答えた。
「あのな…日本人みんながみんな柔道や空手してるわけじゃないんだよ?俺の場合は少しだけ剣道は出来るけど」
「剣道出来るのですか!?ぜひ今度見せてください!日本の武術はどれも素晴らしいものと聞いてますので!」
「あはは…機会があったら見せるよ。今はこいつをどうするか考えよう」
「とりあえず…縛って家に持って帰りますか?」
「そうだな…こいつには聞きたいことがかなりあるから連れて帰るか」
「よかったー!限さんがここで始末しろ!って言ってきたらどうしようかと思いましたよ~」
「さすがにそんな酷いことしないよ。それに、もしかしたらこいつがアリアの世界に帰る方法を知っているかもしれないだろ?」
「帰れる方法を知っている可能性はありそうですね!」
「だろ?だからアリア…先にコンビニ行ってきてアイス買ってくるから見張りよろしくな!」
「日本語おかしくないですか限さん?普通はこのまま急いで帰るのではないのですか?」
「実は俺…アイスたまに食べないと死んじゃう病気なんだよ」
「絶対に嘘ですね」
「あ、バレちゃった?アリアも成長したな…」
どうも、よしおです
この度は本作品を読んでくださりありがとうございました!
これからも更新していくのでよかったら読んでください!
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