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覚悟

少し過去に戻ってます

と言っても10分ほどですけど

ちなみにアリア視点です

 

 限さんと別れて十分(じゅっぷん)ほどが経過した。

 なぜ、私なんかを助けるのでしょうか?

 勿論、私は限さんには任せるつもりなど全く無かった、私の戦いだったのだから。

 なんで、人には命を大切にしろと言うくせに自分の命は大事にしてくれないのでしょうか…

 また、私は大事な人を失ってしまうかもしれないのに足が動かせなかった…


「また私が弱いばっかりに…」


「お嬢ちゃん、あいつなら心配しなくていいよ。どうせ適当な所で諦めて病院にでも逃げ込んでるだろ」


「いえ、私には分かるのです。限さんの表情は覚悟を決めた顔でした…」


「あいつは昔から変わってないよ、俺達が学生だった時によ、不良に絡まれた時にあいつが言ったんだよ「ここはおれに任せて逃げろ!」ってさ…だけどよ、俺達が逃げた五分後くらいにあいつも逃げてきたんだぜ?任せたのに逃げるってどういうことだよ」


 ワハハ!と自分でもおかしかったのか馬場さんは大声で笑っていた…


「限さん、そんなことしてたんですね…ちょっと酷いと思います」


 不思議と限さんとは生きてもう一度会える気がします…

 限さんはなんだかんだ言いながらも、私を助けてくれました。

 馬場さんが話されたことを聞く限り、限さんは無事でいるような気がします。


「まぁ、そんなわけだから…限の事は心配しなくて大丈夫だと思うぞ?」


「はい、限さんは大丈夫、限さんは大丈夫、限さんは大丈夫…」


「なんで三回も言ったんだお嬢ちゃん?」


「限さんに教えてもらったのですよ!日本では三回お願い事をすると叶うと!」


「お嬢ちゃん、それは流れ星を見たときに言うものだ…普通に言ってもそれはただの願望だ」


「えぇ!?じゃ、じゃあ…限さんの無事を叶えるにはどうすればいいんですか!?」


「普通に無事を願ってやればいいと思う。もしくは、全部終わったら美味しい飯でも作ってやりな!それが一番喜ぶと思うぞ!」


「そうですか…では全て終わったら、もう一度私から限さんのお家に泊めていただけるようにお願いしてみます!」


 もう私は大切な人を離しません…もう二度と大切な人と別れたくない。

 自分がどんなに自分勝手で、自己満足してるだけだとしても。

 そんなことを考えていると…


「やっと追いついた~!今度こそ、その肉を食らわせてもらうぞ人間よ!」


「マジかよ!あいつ諦めるの早すぎだろ!」


 もう、戦いが終わったのかオーガが追いかけてきていた。

 限さんは無事だといいのですが…

 今度こそは私が戦わなければ、馬場さんは何も関係のないのですから。


「そこの男よ、そこの娘を渡せ。素直に渡せば痛い目には遭わずに済む」


 馬場さんは、もう逃げられないかと悟ったのかバイクのエンジンを切り、道路の端に停めた。

 オーガからの質問に馬場さんは少し考えてるような表情を浮かべていた。

 そして、口を開いてよく分からない日本語を話していた。


「なぁ、お前のそれってコスプレか?コスプレして少女を誘拐するなんてどうかしてるぞ?」


「は?コスプレ?何を訳の分からないことを言っているんだ?」


「コスプレじゃないのかその角?もしかして…頭に直接埋め込んだのか?」


「貴様!我がオーガ族の角をバカにするか!」


「オーガ族?ゲームや漫画で出てくる鬼の事か?そんな設定してるのか…お前痛い奴だな」


 私の知らない日本語で質問をしていた…

 オーガはバカにされていたのでかなり怒っていた…オーガにはあの言葉が理解出来ているのでしょうか?

 もしかしたら、馬場さんは勘違いしているのかもしれません…


「あ、あの馬場さん…あれは人じゃありません、魔族と言う人類の敵です」


「え…お嬢ちゃんも中二病患ってるのか?あんな奴に合わせなくていいんだぞ?」


「何ですかそれは?私は今は何の病気でもありませんよ」


「うーん…もしかして、本当のオーガってことなのか?」


「偽物がいるかは分かりませんけど…あれは正真正銘オーガです!」


「えぇ…限からそんなこと聞いて無いぞ、もしかしてお嬢ちゃんもあっち側の人なのか?」


「はい、日本人では無いです…こことは違う別の世界から来ました、正確には迷い込んでしまったのですが」


「マジかー…道理で氷の塊をぶん投げてくるわけだ。そもそも、おかしいと思ってたんだよな」


 私からすれば、なぜ氷を投げつけられた時点で質問しなかったのだろうかと疑問に思う。

 馬場さんは細かいことを気にしない性格と言うより、大雑把な性格なのだろうか。

 ふーん…と言いつつ、あまり興味無さそうに頭をかいていた。


「そこの娘を渡したら見逃してやろうと思ったが…俺の角をバカにした貴様には死以外あり得ない!」


「元々お嬢ちゃんを渡すつもりなんてこれっぽっちも無い!限が大切にしてる女だ、親友として頼まれたからにはやるしかないだろ。それに、俺は警察官だ!市民の安全を守る責任ある仕事だ!」


「馬場さん、私が戦いますから逃げてください!これは私の世界の問題です!」


「お嬢ちゃん、いい歳したおっさんが自分より若い女の子を置いて逃げれると思うかい?俺は逃げるくらいなら死んだ方がましだ」


 馬場さんは右手を前に突き出して構えていた、見たことのない構えだ。

 ナックルと呼ばれる鉄の拳を装備して戦う戦士は何度か見たことがあるが、素手で戦う人なんてあり得ません。

 それに、独特の構えだった…


「先に言っておく、俺は空手をしていた。だから、限ほど容易く倒せると思うなよ?」


 馬場さんからはいつものふざけた雰囲気が消えた…

 これが、彼の本気なのだろうか…もしかして、いつもの行動はこれを隠すためだろうか?

 もしかして、すごい人なのかもしれない。


「限とはあの雑魚か?今頃は天国で楽しく暮らしてるころだろうな~!ぎゃはは!」


 え、限さん死んじゃったの…

 なんで、なんで、なんで!なんで皆私の前からいなくなってしまうのですか!

 やっぱり、あの時私が死ぬべきだったのです…いや、私がこの世界に迷い込まなければよかったのです。

 悔しくて涙が出てしまいます、誰も守れないのに王など笑われてしまいますね…


「いいや、お前は限のしぶとさを甘く見過ぎだ。あいつはなんか知らんけどしぶといからな…黒くてテカテカしてるGと呼ばれてる奴くらいしぶとい」


「黒くてテカテカしててGと呼ばれる…な、なんだと!?ま、まさか…屍食鬼(グール)か!あの男は屍食鬼(グール)だったのか!道理でしぶとい訳だ!」


「え?屍食鬼(グール)って黒くてテカテカしてるのか…気持ち悪いな」


私も屍食鬼(グール)かと思ってましたけど、馬場さんは思ってたのと違ったみたいです。


「さて、そろそろお喋りは終わりとするか…まず、親友の仇は取らせてもらうぞ鬼が!」


ダメ、もう他の人が傷つくなんて…これ以上人が傷つくのは見たくありません。

他の人が傷つくなら、私が私が死にます。

力を手に込めて詠唱をした。


「馬場さん、ありがとうございました…“スリープ”」


「お嬢ちゃん何をし…」


ドサッと馬場さんは力なくその場に倒れ伏せた…

少ししか魔力が残っていなかったのできちんと眠らせられるか不安だったけど、ちゃんと効いてくれた。

証拠にスー、スー…と穏やかな寝息を立てていた。


「さぁオーガ…私が目当てなのでしょう?私の命をあげるのでこの方を見逃してくれませんか?」


「フン、いいだろう…お前の潔さに免じてその男を殺すのはやめておこう」


オーガは興味を失ったようで馬場さんから目を離した。

これで、皆の所に行けます…

生まれ変わったら、普通の女の子として普通に暮らし、普通に恋をして、普通に死にたいです。

欲を言うなら限さんともう一度会いたいです…

さようなら、世界



今回は過去に戻してみました

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