壊れかける日常?④
雪がチラホラと天より降り注いでいた…
辺りは暗く、人通りの全く無い海沿いの道路。
道路の中央には赤い血だまりが広がっていた、鬼が血だまりで邪悪な笑みを浮かべて立ち、俺は地に倒れ伏せていた…
「フン、つまらぬ…所詮何の力も持たないただの人間だな。いたぶって遊ぶ価値も無い」
俺の赤く染まっている景色の中で鬼が立ち去ろうとしていた…
勿論、黙って見過ごすわわけない、足掻きに足掻き死ぬつもりだ。
立ち去ろうとしている鬼の足をガシッ!と血まみれの左腕で力なく掴む。
「なんだ…まだ生きてるのかぁぁ!おらっ!おらっ!死ねよ、死ねよー!」
「離すかよ!離してほしいならアリアを諦めな!俺はしつこいと有名な男だ、簡単に離せると思うなよ?」
「………」
ガスっ、ガスっ!
鬼は無言のまま俺の左腕を踏みつけてくる、鈍い痛みが襲ってくる…
蛇口から水を出すかのように血がダラダラと道路に流れ出してきた。
もう無理だ、自分でもよく頑張ったと褒めてもいいと思う。
あまりにも血が出過ぎているし、寒さで力が上手く入らず手がガタガタと震えていた…
これが俺の人生なのだろう、神様も意地悪だな~、俺みたいな何の力も持たない人間にこんな戦いを押し付けるなんてさ~…
俺は少年漫画の主人公のように熱いキャラではない、ラノベに出てて来る主人公のように特別な力を持っている訳でもない、だが彼らと同じ気持ちだけは持っているつもりだ…
弱くても、勝てないと分かっていても、自分が死ぬと分かっていても、それでも戦う…その気持ちだけは彼らと同じ…いや、彼ら以上に思っている!
アリアは大切な物を失い過ぎた、彼女はまだまだ若い。
そんな彼女には自分の命くらいは失ってほしくない、これが俺の勝手な自己満足だとしてもだ!
「アリア…お前だけでも、い、い…生きてくれ…」
まだだ!まだ、この足を離すわけにはいかない!
アリアが逃げ切るその時までは…
今まで俺の相手をしてくれたことへのお礼だアリア…女の子の手料理を死ぬ前に食えてよかったよ、天国で自慢できる。
震えを通り越して痙攣しだした左腕を無理に駆使してがっちり掴む。
「もうメンドクサイ、死ねよ人間」
闇のように黒く太い足が俺の左腕目掛けて振り降ろされた。
ミシミシと嫌な音が左腕を伝い、直接脳に響いてきた。
だが、痛みが走っても声はなぜか出なかった、いや…弱りすぎて声が出せないと言ったところであろう。
遂に限界が来たのか、腕が鬼の足から離れ落ちてしまう…
「ふー…中々しぶとかったな人間」
鬼は若干疲れた様子で呟き、その場を去っていった…
俺はやはり、こんなことしか出来ないのか。
意識もだんだん消え始めてきたな…これも運命か。
あ、アリアとの約束守れなかったな…
母さんにお嫁さんと孫を見せてやること出来なかったな…
社長にもアリアを会社に連れて行くって約束したな…
約束守れなかったことがあり過ぎる、やっぱり俺はまだまだダメな男だな…
今から死ぬのにこんなことしか思いつかない。
「はは…俺に力があれば、アリアを守れたのかもしれないな…」
後悔の言葉が思わず口からこぼれた…
視界が段々と暗くなってきた…
これが死にゆく者の見る景色か。
来世もアリアに会えるといいな…前世のことを謝りたいしな。
はぁー…モテモテなリア充に生まれ変われたら最高だな!
そして、ゆっくりと瞼が閉じられた…
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目が覚めると辺り一面真っ白な何も無い部屋にいた…
だが、遠くに一つの人影がぼんやりと見えた…
俺はその影に近づいて行った、本能がそうするべきだと訴えてきたのだ。
「遅いぞ、自らの命を他人に使う愚か者」
「うん?誰だお前、偉そうだな~」
「当たり前だろ、我は貴様のような庶民では無く王族の血筋を引く者ぞ!」
「ヘイヘイ、俺は死んだんでしょ?ここは…天国?地獄?」
そこには金髪、黄金色の目をしたアリアによく似た顔だちをした金髪の中世風の鎧を身に着けた美女がいた。
体はアリアと違い大きく、鎧の上からでも分かるほど胸が大きかった…
アリアは「まだ成長途中です!」と抗議していたがな。
「何を気持ちの悪い視線を向けている男よ」
「あ、すんません…知り合いに似てたもので」
「お前が言う知り合いとはアリアと言う少女だろ?あれは私の子孫だ」
「え…ちょっと似てると思ったらご先祖様かよ!やっぱり天国だここは!」
「何を言っている?我は貴様に呼び出されたのだぞ?さっさと契約するぞ」
「は?俺はお前と初対面なはずなんだが?」
アリアのご先祖様と知り合う機会など無かったし、そもそも目の前にいる人が普通の人間には見えない。
もし、アリアのご先祖様だとしたらかなりの歳になっているはずである…それなのに目の前にいるのは二十代くらいの若い女性だ。
ここが天国なら有り得ないこともないが、そもそもアリアの世界と俺らの世界が繋がっているのか分からない…
「なにやら考え事をしているようだが…我はあまり気が長い方ではない。早く決めよ!」
「いやいや、そもそも何を決めればいいわけよ?何も聞いて無いぞ俺は?」
「そうだったか?では聞こう…我と契約して我の目的の為に人生を犠牲にするか、それとも…このまま野垂れ死になるかだ。どうするか決めよ」
どうやらまだ死んではいないらしい…
なら決まってる、俺には選択肢は一つしか無い…
全く、アリアのご先祖様もバカだね…こんなことを聞くなんてさ~。
「そんなの決まってる…お前の目的を手伝うよ、それ以外は選択肢が無さそうだしな~」
「おぉ!まさか我に手伝うなど言うとは…面白いな男よ、では早速契約を交わそうぞ!」
そう言うと、ドカッと豪快に座りどこからともなく高級そうなワインボトルを取り出した。
一体、どこから取り出したのだろうか…
続けて指をパチンと鳴らすと、何もない空間から黄金の杯を取り出した。
そして、ボトルを掴み、トポトポと深い紫色をした液体を黄金の杯に注いだ…
俺がその不思議な光景に圧倒されてると、アリアのご先祖様はコイコイと俺に手招きをしてきた、その場に座ると嬉しそうに笑いながら何かを言ってきた。
「汝、我の手となり、足となり我を支えよ…我は汝の剣となり、盾とならん。我と汝は共に生き、共に死す…汝は我に忠誠を、我は汝に力を与えん!…よし、契約は終わりだ!乾杯といこうか!」
「乾杯~!さすが王様だな!」
契約?よく分からないが酒を貰えるなら別にいいか。
それにしても…いい酒だなこれ、年代物特有の深い味わいと絶妙な渋みがありとても旨い!
いやー…こんな旨い酒初めて飲んだな~、俺は普段こんな高級そうな酒飲まないからな…
そう言えば…俺はここに宴会に来たのだったかな?
「さて、我と共に運命を歩む者よ…手を出してくれないか?」
「手を出せばいいのか?ほい」
俺が左手を差し出すと、左手を握られた…なんか照れるな。
アリアのご先祖様は何か呟いていた、魔法でも使うのだろうか?
「全修復」
放たれた言葉と共に俺の体が、淡い緑色の光に包まれた…
体がポカポカと温まり、疲れが取れた気がした。
やがて、淡い光が消えていき、ご先祖様は左手から手を離した。
「ふぅー…お前の体は結構ボロボロだったな、なぜそこまでして我が子孫を助ける?」
「まぁ、成り行きかな?自分より年下の女の子を見捨てるなんて大人としてカッコ悪いだろ?」
「お前は優しいのだな…我にもその感情があれば古の悲劇を起こさなくても済んだのかもな」
「優しさなんて今からでも獲得できるさ、人間その気になれば善人にもなれるし、悪人にもなれる…」
なぜか、悲しそうな表情を浮かべていたので、不器用だが慰めておく…
自分に厳しいとこを見るとやはりアリアのご先祖様だな~、と思えてきた。
「それはそうと…終わったなら現世に戻してくれないか?まだやることが沢山あるんだよ」
「分かった、今すぐ戻すから待っておけ…」
また、なにかブツブツと呟き始め言い終わったその時…
俺の視界が黒くなった、いきなりすぎて少々ビビったが生き返れるなら何でもいいや。
うっすらと視界が戻り始めてきた、徐々に気温や音など感じられてきた。特に異常は無いみたいなので安心した…
ここでお決まりのセリフを思わず吐いてしまった…
「は!どこだここは!」
辺りを見渡すと俺の血だまりが広がっていた…こんなに出血してたのか俺。
生き返ったし、早くアリアと馬場を助けに行かないと!
バイクで追いかけるために、凍らせられたバイクに向けて蹴りを入れていると…
「待たんか男よ!我を置いていこうとはいい度胸だな!」
鈴のような美しい声が後ろから聞こえたかと思ったら、ガシッ!と肩を思いっきり掴まれた、掴まれた場所がミシミシと悲鳴を上げていた…
痛い痛い…骨が折れてしまう、冗談抜きに折れそう。
こんなバカ力を持った女性なんているのか?初めて見たよ。
金髪で胸が大きく、アリアに似てる顔だちのー…
あ、思いだした!さっき契約したアリアのご先祖様だ…なんでこんな所にいるのだろうか?
「なんでこんな場所にいるんですか?天国に戻らなくていいのですか?」
「お前はあほだな…我は目的があると言ったであろう?しかも、我は死んでおらぬわ!」
「えぇ…じゃあ何で生きているんですか?恐ろしく長寿とかですか?エルフみたいな感じですか?」
「我は生きながらにして封印された身だ…いくら年月が経とうが歳は取らぬし、死にはせぬ」
「封印?何に封印されてたんだ?そんなもの持っていた覚えは無いのだが?」
「何を言っている…お前が持ってきただろ“英剣アルトリア”が封じられし我の姿だ」
「オイオイ…アリアからは人間が出てくるなんて聞いて無いぞ?」
俺の記憶が正しければあれはアルトリア国の宝であり、最強の武器としか聞いていない。
人間が入ってる武器なんてなんじゃそりゃって感じだ…
「当たり前であろう…我が封印を解くには条件があるのからな」
何だか話がよく分からない方向に向かって行ってる気がした…
封印?条件?何それ?めっちゃファンタジーぽいな。
「そうだ!条件が合ってだな、お前はその条件を満たしていたから封印が解けたのだ!」
「ホウホウ…でその条件とはいかに?」
「まず一つ目が死にかけ、二つ目が力を欲している、三つ目が相性だ!大体これが合えば誰でも簡単に契約出来るはずだ!今回が初めてだからよく分からんがな…」
一つ目からおかしいだろ…死にかけってなんだよ。
二つ目は分かる、三つ目も分かる…
何で死にかけなのだろうか?
しかも、今回が初めてなのにどうして条件が分かるのだろうか…
モヤモヤとしたよく分からない何かが頭の中に残る…だが、今考えた所で何も分からないな。
だが、生き返った今することは一つだ!
「アリアを助けに行く、お前にも手伝ってもらうぞご先祖様」
「元々そのつもりだ、そうでなければお前など放っておくわ」
「そうだ、あんた名前は?俺は、藤井 限だよろしくな」
「我はペンタ・アルトリアだ、よろしくな限」
今回は無茶苦茶かな?
もしかしたら丸ごと修正になるかもしれませんw
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