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第十二章 忘れられた悪意

違和感はずっとしてた。無視するつもりも無かったし、相手から出て来てくれたのは都合がよかった。


「生きてたのね、サマエル。影が薄いから忘れてたわ。」


「ククク………言ってくれる。」


時間は明け方。霧が深いが、気配を感じるのに障害にはならない。美咲…………リリスにしてみれば、都合がいいのはサマエルが由利の居場所を知ってるかもしれないからだ。

このタイミングで現れるのは、ダイダロスに関与してる事を示唆している証拠だ。


「ちょうどいいわ、司令がどこにもいないんだけど、貴方達知らない?」


「フッ……まるで俺が誰かと手を組んでるような言い回しだな。」


「否定はしないでしょ?」


「お前達には関係のない話だ。」


イグジストを抜き、リリス捕獲に打って出る。


「悪いが、本気で行かせてもらうぞ。」


「本気で来て勝てるかしら?」


ロストソウルを用意して、サマエルの攻撃に備える。


「すぐにわかる事だ。」


かつて知ったるサマエルの言葉だとは思えない。自信家ではあったが、ここまで言葉に説得力を持たせられる奴じゃなかった。


「レリウーリア(お前ら)の野望もアダムによって潰えるかもな。ククッ。」


高く飛び上がり、イグジスト・カオスブレードを振り下ろしてくる。

ダイダロスと蕾斗とサマエル…………三人が手を組んでいるという事実。蕾斗はいいようにされているだけだとしても、ダイダロスとサマエルだけは何か思惑がある。理屈ではなく、肌で感じる。

動き出しているダイダロス達に対して、ヴァルゼ・アークはまだ動かない。その不安が、リリスの集中力を欠き、実力を発揮出来ない。


「顔色が悪いぞ………リリス。」


「………フフ、いつの間にこんなに強くなったのかしらね。もし、天界が存在してなら、大天使長はミカエルじゃなくて貴方だったかもね………サマエル。」


「ククク。興味はない話だ。天界という足枷が無くなった今、そんな想いは微塵もない。」


「そう…………自由人気取るのもいいけど、野望の一つくらい持てないようじゃ、男としては物足りないわ。」


オーラを全身に溜める。長引けば不利になると判断したからだ。


「さあ………選びなさい。土となりこの世にとどまるのか、それとも、魂共々消えるのか………………自然淘汰!!」


全てのオーラと魔力をサマエルに放つ。


「ぐおっ………!」


サマエルも、オーラ全開でリリスの技を防ぐ。レリウーリア副司令官だけあって、さすがに一筋縄ではいかない。

気を抜けば肉片残らず消し飛ばされる。


「はあっっ!!!!」


リリスが更に力を込めてくる。


「ククク…………仲間が一人死んだ事で、心が乱れ出したか…。脆いものだ……絆なんてものはな!」


激流のようなオーラの流れの中、リリスの隙を見つけ強行突破をする。


「お前らも運命からは逃れられんっ!!ダイナミックスラッシュ!!!」


サマエルのカオスブレードがリリスのオーラを裂き、その裂け目から飛び出して彼女の脇腹に一撃する。


「くはっ…………!」


「ククク………勝負あったな。」


「はぁ……はぁ………さ、刺しなさい………でも、覚えておく事ね………仇は必ずみんなが取ってくれるわ…………」


「麗しい信頼関係だ。」


カオスブレードを振り上げると、前屈みになっているリリスの頚椎に、柄を当て気絶させる。


「………対したタマだ。ヴァルゼ・アークが手元に置きたがるわけだ。」


長いリリスの髪の毛をわしづかみにして、ダイダロスのところへ戻る。


「始まる…………宇宙誕生以来最大の戦いが。ククク…………ハーッハハハハハッ!!!!!」


霧を消し去るように、サマエルの笑い声だけが朝方の街に響いていた。


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