序章
きっと……………いくら考えてみても答えの出ないものもある。
宇宙とは、罪の意識を持たない生命体。人々の憎しみ、悲しみ、絶望するオーラを糧にして生きていると言う。ダイダロスは確かにそう言った。
そして、インフィニティ・ドライブとは魔導の事であり、宇宙が捨てた『罪の意識』の事。
運命とは、あらかじめ決められている、あるあらゆる生命体のレール、道しるべ。人の些細な行動から思考に至るまで、全て決定付けられている。魔帝ヴァルゼ・アークが言った言葉だ。
ダイダロスは自身が宇宙になる事で、全ての運命をその手に握り操作しようとしている。
魔帝ヴァルゼ・アークは宇宙を無に還す事で運命そのものを失くし、『罪の意識』を持った新しい宇宙が生まれる事を望んでいる。
千年という長い時を超え、復活を遂げた二人の野望を見過ごすわけにはいかない。例え人の運命が最初から決められているものだとしても、それが茨の道だとわかっていても歩まねばならないのだ。
大切な人を守る為。誰かを愛する為。共に今を生きる仲間との未来の為。理由は様々。それぞれが生きる意味を見出だし、その生を終えるまで放棄する事は許されない。人がいつか終りを迎えるのが運命なら、立ち向かうのもまた運命。
無限の力に魅入られた男達は、この戦いの結末に何を見るのだろう?
輪廻転生の名を持つ赤き刃の剣を手に、少年は最後の舞台へと上がった。