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唯がお兄ちゃんの彼女になったらダメですか?  作者: えおぢ
新たなるライバル?!編
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学校の陰謀

 楽しいひと時のせいで皆すっかり忘れているようだが刻一刻と例の日は近づいているのだ。


 定期試験——テスト。


 学校にこの行事さえ無ければどんなに楽しく幸せなことだろうか。青春を謳歌する日々を思う存分送ることができるに違いない。


「ああ、憂鬱だ……」


 今まさにゾンビのような顔であろう俺に向かって唯は冷ややかな視線を送ってきた。その上何か言おうとしている。


「ちゃんと対策すれば本当はテストなんて大したことじゃないんだよ、お兄ちゃん」


 そういうのは勉強のできるやつが言うセリフだ。別に俺だって、頑張ろうという気持ちはあるが、気持ちだけで頭が追いつかない。頭のスペックが足りなさすぎるのだ。前に皆で勉強会をした時それを身に染みて感じた。あの時は俺なりにかなり頑張った方でだいぶ理解したと思ったのだが、実はいのりの解いたページ数の半分にも及んでなかったのだ。


 チートすぎるよな、いのりは……。




「ちょっと、起きなさいよ! お、起きないと……イタズラするんだからねっ」


 どこからか、いのりの声が聞こえる。今は唯と2人だけで家にいるはずなのに……。

 それになぜだか乱暴に体が揺すられている感じがする。目の前に広がる映像がだんだん薄れ——


「ねえ、空くん、起きてよーー!!」


「はっ……」


 ここは……どこなのだろう。辺りを見渡すと左には少しくぐもったガラスの窓がいくつも並び、右にはスライド式のドアが2つ。眼前には大きな横長の——推定 縦1m 横3m——黒い板があった。その前に立つ初老の男性は微動だにせずこちらをじっと睨んでいる。


 ひょっとして俺を見ているのだろうか。という俺の予想は見事に的中し、部屋中に響き渡る声で名前を呼ばれた。


 反射的に背筋をピンと伸ばし姿勢を正した。


「結崎……テストが近いというのに授業中寝るとはいい度胸だな。さぞかし自信があるのだろうな! テストの点期待しているからな」


 と、授業担当の先生から全く気持ちのこもっていない、嫌味に満ち溢れた激励を受けとってしまった。


「あーあ、空くんやっちゃったね……」


「なにが?」


「え?! まだ寝ぼけてるの?」


「いや、冗談だ」


 いのりは「もぉ」とため息まじりに言うと黒板の方に向き直った。


 この状況から判断するに夢を見ていたようだ。夢でまでテストのことを考えるなんて、病気かもしれない。一度カウンセリングを受けてみようかなんてことを思いつつ授業に参加する。



 俺は寝ぼけ眼をこすりながらもなんとか授業を受けきった。そして今は机に突っ伏し安息のひと時を堪能していた。いきなり隣の席から怒号にも似た声が飛んで来る時までは。


「ちょっと、ちょっと! 空くん不味いよ! このままじゃ補習コースまっしぐらだよ、確定演出だよ、オワコンだよ!」


「わ、わるい、睡魔に勝てなかった……」


「それに……今日はツンデレでいくつもりだったのに、空くんのせいで途切れちゃったじゃない」


「俺のせいなのか?」とは言わなかった。


 むしろツンデレというめんどくさいキャラの相手をしなくて済んでラッキーだ。だが一応表面上は申し訳なさそうな表情で償うことにした。


「まあ、それはいいんだけどね、それよりもっと重大なことがあるのよ」


 はてなんだろう、今日は特に目立った予定もないし約束もしていない。今のいのりにとってツンデレ以上に重大なことなんてあるのだろうか?


「重大なこと?」


「さっき、たまたま職員室の前を通って、これまた、たまたま聞こえちゃったんだけど……なんでも、授業態度が悪い生徒は強制的に補習行きになっちゃうみたいなの」


 俺は言葉を失った。

 なんと返答をすればいいのだろうか。というより返答をする意味を感じなかった。今ここで何を言っても何も変わらない。


 しかし、ただ一つ直感で解ったことがある。


 これは——


「学校の陰謀だ」


「陰謀?」


「ああ、俺を絶対に補習に入れるためのな」


「そ、そうなのかな?」


「そうだ! そうに違いない! なあ、いのりその……さっきの情報はもう確定なのか?」


 いのりは少し考える風にして「多分まだ確定じゃない」と答えた。


 そうと分かれば、まだ挽回の余地がある。これからの授業を寝ずに受け、テストで文句のない点を取る。おそらくこれで学校の落ちこぼれ更生(補習)プログラム(計画)を回避できるはずだ。


 しかし、障害が増えたことに変わりはない。ただ点を取るだけじゃ済まなくなった以上、いのりに全面的に協力してもらうしかない。


「なあ、協力してほしいことがあるんだけど」


「うん! もちろんなんでもするよ! 言ってみて」


「授業中俺が寝てたら起こしてほしいんだ、方法は問わない、どんな手段でもいいから起こしてくれ」


「 分かった、その任務きっちりこなしてみせる」


「ありがとう、助かるよ、多分俺だけじゃこの試練は乗り越えられない」


「試練なんて大げさに言うけど、授業中寝ないのは当たり前だからねっ」


「げっ……」


 快く引き受けてくれたいのりには感謝だが、最後の一言はなかなか心に刺さるものだった。もしかしたら先生に言われるよりダメージが大きいかもしれない。『朱に交われば赤くなる』それが叶えばいいなと思いながら残りの休憩時間を睡眠に充てることにした。

ちなみにテストは僕も嫌いです、というか楽しみなんて人いるんですかね。いたら一度会いたいですね笑 おそらく超天才なんでしょうね……。


とういうわけで、話を本編に戻しますが、あと数話で試験開始です。試験後は楽しい体育祭が待っている予定です。なんとか試験を乗り切って体育祭を楽しんでもらいたいですね。


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