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唯がお兄ちゃんの彼女になったらダメですか?  作者: えおぢ
新たなるライバル?!編
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お食事会

 勉強会を終え俺たちは月寺邸のダイニングルームに目指し歩むを進めている。

 一体全体何故こうなったか説明すると長くなるのだが、つまるところ月寺の両親が親善を兼ねて一緒に食事をしたいと提案してきたのだ。もちろん、初めは遠慮したのだが熱い誘いに押し切られ了承してしまった。



「にしても本当にいいのか?」


「はい、初めからそのつもりでしたので人数分準備していますし」


 会話を挟みつつダイニングルームまでの長い廊下を進んでいく。しかし緊張のせいか皆言葉数が減っているように思える。


 そうこうしていると落ち着いた装飾のされた扉の前で月寺が急に立ち止まった。

 どうやら到着してしまったようだ。


 月寺が扉を開けそれに続いて俺たちは固唾を飲んで入室する。



「失礼します……」


 なんだか入学早々校長室に呼び出された生徒の気分だ。

 部屋に入って先ず目に付いたのは純白のテーブルクロスが敷かれた長いテーブルだった。その上にはこれまた純白の皿や食器類が規則正しく並べられていた。


「さあ、どうぞ、席は自由に座ってもらって構わないよ」


 穏やかな低音のよく響く声で月寺の父が言った。


 月寺が父親の正面に座り俺たちはその隣に着席した。


「改めて、娘の父の 月寺 征一郎(せいいちろう)だ。娘が何かと迷惑をかけるだろうがよろしく頼むよ」


 ここまでの豪邸を築く人物だけあって得体の知れない迫力があった。


 俺たちはなるべく平常心を保ちながら自己紹介を済ませた。月寺の父親は1人1人の自己紹介を深くうなずきながら聞いていた。


「征一郎さん、後の話は食事をしながらでもしましょう」


 月寺の父親の隣でずっと黙っていた月寺の母親が言った。それを合図に奥から数人のコックが料理を運んできた。


「こちら前菜になります」


 コックはそれだけ告げるとさっと奥へ戻っていった。


 今更だが庶民の俺はてっきりテーブルに並べられた沢山の料理をみんなで少しずつ食べるのだと思っていた。しかし前菜? があるということはつまりコース料理なのだろうか。


 皆それぞれのタイミングで「いただきます」と言い食べ始めた。


 俺も皿に乗った一口サイズのそれをゆっくりと口に運び舌先で味わう。


 爽やかな風味が口いっぱいに広がり食欲を増幅させる味だ。


「おいしぃーー!」


 いのりがほっぺを押さえ身をよじりながら言った。


「そうかそうか、それは良かった。だが、メインはこれからだぞ、ここで満足してもらっては困るな」


 月寺の父親が余裕の笑みを浮かべながら言った。まるで某マンガの某料理学園の総帥みたいな感じだ。まあ、あんな長いヒゲは生えていないが。


 某総帥とは違い流石にこんな料理を毎日食べているわけではないだろうが、さっきの一皿だけで俺たち庶民の一食分の食費がかかっているのだろう。そう思えるほどに美味しかった。


 全員が食べ終わったのを見計らってか、丁度いいタイミングで再びコック達が料理を運んできた。


「こちらは季節野菜のヴルーテ トリュフ添えです」


 コックはまたもやそれだけ告げると奥へ戻っていった。


 トリュフと聞いただけで身構えてしまうのは庶民だからだろうか。そう思い月寺ファミリーを見ると、やはりと言うか当然と言うか躊躇無く食べ進めていた。


「な、なあ唯……トリュフって——」


 後の言葉を言い残したまま俺は唖然とした。これまた驚いたことに唯は普段通り美味しそうに食べているではないか。


「うぅーん! すごく美味しいね! お兄ちゃん!」


「お、おう……そうか……」


「トリュフって初めて食べたけど、すごい匂いだね。なんか新感覚だよっ、お兄ちゃんも早く食べなよぉ〜」


 唯に促されゆっくりと食す。トリュフ自体には味はほとんどないが、確かに特徴的な匂いだ。


「うん、美味しいね」


「でしょでしょ〜! うちも今度からトリュフ使おうかな〜なんちゃって……」


 唯がチラチラ目配せをして『何か』を訴えている。まあ『何か』なんて言い方しなくとも分かっているのだが。


「ダメだ、食費がバカにならないから却下だ」


「うぅー」


 しょんぼりしている唯を見て月寺がそっと唯の耳元で何かを囁いた。途端に唯の目が輝きだした。一体何を吹き込まれたのかは分からないが、俺にとってあまり都合の良い事ではないような気がした。



 その後も次々と料理が運ばれてきて俺たちは全てを美味しくいただいた。スープ、パン、魚料理、ソルベ、肉料理、チーズ、フルーツ、デザート、コーヒー、最後にプチフールといった具合だった。


 食事の合間に色々な話を聞かされたがどれも月寺胡桃の事についてだった。両親の口ぶりからして相当娘を溺愛しているようだ。そう考えると娘の為に引っ越しをしたというのも頷けた。


 食事が終わる頃には時刻は午後8:00を過ぎていた。明日の学校もあるので俺たちは自宅に戻る事にした。勉強場所だけで無く食事までご馳走してくれ当然のように俺たちをリムジンで家まで送ってくれた月寺家には感謝しても仕切れない。


 最後にリムジンに残った胡桃に手を振り別れを告げ、運転手さんにも頭を下げお礼を言った。するとリムジンは静かに走りだし再び、もとある場所へと帰っていった。



 俺と唯、いのりはそれぞれの家に帰っていく、そう思っていたのだが。


「ただいまー」という声が俺を含めて3人分聞こえた瞬間俺の予想は裏切られた。



「おい、なんでいのりがいるんだよ」


「えぇー?! もう忘れちゃったの? わ・た・し・も一緒に寝るんだよ♡」


「あ……」


 俺と唯は口を開け固まってしまった。

まず始めに更新遅くてごめんなさい!

多分これから週一更新が限界ですがお願いします。


ブックマークその他諸々もしよろしければお願いしますね!

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