10 王都
盗賊に襲われてから約半日で王都の門の近くまで移動することができた。
死にそうだぜ…orz
「ハア…ハア…着いたぞコノヤロォ…」
「お疲れさん。後はこっちで何とかするから」
ミドリさん軽すぎです。…ほらぁ!フィアだって苦笑いしてらっしゃるではありませんか!
「門まであともう少しだから歩いて行こう。カゲツに乗っているばっかりだと私達が楽している気がするからな」
「気がするからな、じゃないから。楽しすぎだから。そこんとこよろしく」
「わかったわかった」
こんな感じの会話を続けていたら、門の目の前まで来てしまっていた。
「お前ら!王都に入るのか?招待状か通行証を持っているか!持っていなければ通行料で銀貨一枚だ!」
なんか騎士団の門兵みたいなの?に声をかけられ、なんか出せと言われた。
「まあそんなところで…」
「じゃあ通行証を持っているか!」
「いや、通行証も金も持ってません」
「なら駄目だな!とっと去れ!」
しょうがないやないか…今まで魔物をミンチにしたり、なんか生成したりしてたんだから。
「フィア〜。どうしよう〜」
「何。入れないか。それじゃ私が交渉してみよう。少し待っていてくれ」
そう言ってフィアは門まで行き、その門兵に交渉しにいった。そしたらーーーーー
「すみませんでした!!!まさか、フィア様のお連れ様方だとは知らずに!!!どうぞ!通行料は無しで大丈夫です!!!」
…………
なんとかなったみたいだ。それにしても王女様の権力やらなんやらすごいな。
俺とは全然違うぜ…
「なんとかなったみたいだな。フィア、もう通っていいのか?」
「ああ。大丈夫だ。それよりすぐに行こう。早く城に行かなくては。皆が心配している筈だ」
そう言いながら俺達三人は門をくぐった。
****************
「案外賑やかだな。王都って」
俺は素直にそう思った。なんせ民の皆が苦しんでいるイメージしか無かったからな。
「それはそうだろう。なんせ王都だからな。それよりカゲツは生成で物を作り出すことができるのだろう?」
「まあそうだけど…何かするのか?…ハッ!」
俺は気付いてしまった。フィアを見たら怖い笑顔で話しを持ちかけてきた。
「カゲツの生成で物を作り、それを売り捌けば金が入るではないか…。どうだ?いい話だろう?」
「どこぞのマフィアかよ。あと顔が怖い。なぜそんな考えができるのかが不思議でならないよ」
なんか黒いぞフィアさん。
だけど考えてみれば生成で物を作り、それを道具屋などに売れば少なくとも金が入るかもしれないな。
要は試しだ。早速やってみよう。
「回復薬見たいのでも大丈夫なのか?」
「そんなものも作れるのか!?」
「まあ作ることはできるけど…」
「ならば早速作って薬屋に売ろうそうしよう」
フィアは不敵に笑い始めた。本当に怖いですよフィアさん。どこぞの魔王ですか。
「『生成:骨折ぐらいのを治す回復薬×20本 容器 ガラス』」
ボフゥン…
今回は頭痛がしなくなったぞ。魔力の量が増えているのだろうか。まあ別にそんなの知ったこっちゃないんだけど。
「相変わらずカゲツには驚かされるばかりだ。少し使わせてもらえるか?」
「いいけど?ほい」
「ありがとう。それじゃ早速使ってみるぞ」
そうフィアは自分で手の平をナイフで傷をつけ、俺が渡した回復薬を塗った。
そしたら…
「何!?普通のポーションより再生速度が高いだと!?これは中級ポーションじゃないか!?」
えっ…そうなの?中級ポーションが作れたの?
「早速薬屋に行こう!これは高く売れるぞ!」
そう言われ俺はぐいぐいフィアに引っ張られながら薬屋に行った。
「あのあたし空気なんですけど…置いて行かないで〜!!!」
聞こえない。聞こえないよー。
俺はあえて聞こえないふりをした。
****************
「おう!いらっしゃいフィア様。今回は何をお求めに?」
「いや今回は違うんだ。この子が買い取って欲しいものがあるから、連れてきただけだ」
そういう設定なんだ。無理矢理連れてきたのに…
「坊主かが!よし見せてみろ!俺が買い取ってやる!」
そう薬屋のおっちゃんが大声で言ってきた。耳が痛くなるから大声出さないでくれ…
「これを買い取るのをお願い」
そう言って出したのはフィアが使った中級ポーションと言われるものを15本だした。
「なんだ?これはポーションか?」
「そうだ。私が使ってみたら中級ポーション並の回復力だった」
「そうなのですかフィア様!?これを買い取ってよろしいので?」
「ああ。だからここに寄ったのだ。それでいくらぐらいになる?」
「中級ポーションが15本だし、最近不足気味だったから大銀貨二枚と銀貨八枚ぐらいでどうですか?」
大銀貨二枚と銀貨八枚か…どれぐらいの価値かわからん。
「フィア。大銀貨二枚で何ができるんだ?」
「どれぐらいだろうか…多分ここの宿屋で二十日は泊まれるぞ」
「そうなんか。それじゃ薬屋のおっちゃんそれでお願い」
「おう!今すぐ用意するから待っていろ!」
そう言って奥の部屋に入ってしまった。
その間俺は暇な為、薬屋にある商品を眺めてみた。
「フィア。この青い液体はなんだ?」
「それは魔力ポーションだな。普通のポーションは身体の傷を治すものだが、魔力ポーションはその名の通りに魔力を回復するものだ」
そうなんだ。いいことを知った気がする。俺が生成を使いすぎで頭が痛い時に飲めば魔力が回復する、いいサイクルじゃないか!
「おう坊主!金渡すからこっち来い!」
「はーい」
そう考えながら俺は薬屋のおっちゃんから麻袋に入った金を受け取り店から出て行った。
「もうこれって商売できるレベルにまでなれるんじゃないのか?」
「なろうと思えばできるだろう。やってみるか?」
いや遠慮しておきます…身体が持ちません。
「やっぱりあたし空気扱いなんですけど…あたしをかまってよ〜!カゲツぅ〜!」
なんかごめんな?ミドリ…
そう思いながら俺たちは城まで目指して歩いて行った。
今回はミドリさんは空気に近いです。
あとカゲツさん万能すぎです。
あと新しく、
勇者召喚された召喚士〜勇者なんてやりたくないです〜
を投稿しました。よろしければそちらも読んでくれると嬉しいです。
次も投稿は3〜5日のペースで投稿します。




