視線
キーンコーンカー(以下省略)・・・・・・
学校が終わる時刻になったとき、アイツは突然あらわれた。
アイツといわれれば新キャラを想像する方もいらっしゃると思うので結論から言うと、
悠斗が突然、現れた。教室に。やつれたような顔をして。
どだだだぁぁぁーーーーーーーん。。
悠斗は突然教室のドアに突っ込んできたのだ。
―な、なんだなんだ!?
―ん、悠斗じゃね?あれは。
―おぉー悠斗か。午前中いきなり姿けしたと思ってたら、・・・ん?な、なんだ!あの顔はぁ!!??
クラスの生徒達は口々にさまざまな反応や感想を述べた。
そんな中、おばけの様にやつれた顔をした悠斗は右手に持っていた白い袋を抱えて歩き出した。
「お、おい・・・悠、斗?」
オレの声をスルーして彼は、進む。 黒澤洸に向かって。
「・・・・・・たのまれ、てたま、まんじゅう、買って、きた。」
ゼーハーゼーハー、言いながら、悠斗は黒澤洸に白い袋をわたした。
「おぉー、サンキュ。」
悠斗に対して黒澤洸はそっけなく答え、袋を受け取った。
な、なんだなんだ?ってか、アイツ(悠斗)元気そうじゃんか。
オレ的に包帯巻いてるところイメージしてたんだけど。
悠斗は黒澤洸に袋を渡すと自分の机に直行し、気絶したように眠りだした。
((・・ミズ、悠斗どうしちゃったの?パシリにでもされたのカナ??))
春がこちらに顔を向けって来る。
((さぁ、オレにも分からない。))
オレは驚きを隠さずに答える。
春は珍しくけげんそうな顔で悠斗をみていた。
その日、オレは悠斗と帰らなかった。
とゆうか、悠斗は教室でバクスイしていて起きなかったため、置き去りにしてきたのだ。
「アイツちゃんと家に帰ったのかな?」
自分の部屋で勉強をしていたとき、フ とオレはつぶやいた。
まだ不安で心臓がバクバクしている。
もし悠斗がこれからのスクールライフで黒澤君のパシリ役をつとめることになるとしたら、と考えるとすごく嫌な気分になるんだ。
黒澤君は気に入らない。
と、ゆうか、明日悠斗に会ったらなんて言おう?
オレは学校に悠斗を置いて先に帰ったことを少し、後悔していた。
「明日絶対に気まずいじゃんか!・・・ってか、普通友達だったら置き去りにして先に帰るなんて事しないよな。オレサイテーじゃん。」
本当のことを言うと、悠斗を学校においてきたのは、ただ、彼が爆睡していたからだけではない。
彼との間に壁ができたようで、会うのが怖かったのだ。
「まぁ、とにかく明日になれば全部いつもどうりだよな。」
オレはそう自分に言い聞かせ、無理やり笑顔を作った。
――― 朝が来た ―――
彼は、悠斗はオレの家にいつものようにむかえには来なかった。
ふざけんな!!
なんなんだよ!
オレは一人、学校への通学路を歩いていた。
あっちから、一緒に通学しようぜ、って言ってきたんだろ!?
遅れるなら電話くらいしやがれ!!ってか、遅れる以前に来なかったし・・・
おかげで今日は遅刻だ!
現在時刻は8時10分だ。
ここからの距離だと学校まであと20分はかかる。
(ちなみに俺たちの高校では、8時10分登校完了になっている)
「あー、もう、何か遅刻しても良いや。」
怒りと不安とでゴチャゴチャだ。
どうして、アイツは来ないんだろう?
オレは何回もその内容について考えた。
でも、オレが出せた答えは決まって一つだけで、何度もその答えを打ち消した。
オレにとって都合が悪い答えだったから。
「ま、まさか、今日もアイツのパシリとかやってる訳ないしな。」
オレは笑った。
オレが学校に着いたのは、ちょうど一時間目が終わった時だった。
「あぁ、ミズ。どうして今日は遅かったの?心配したんだよ~」
廊下ですれちがった春に声をかけられ、オレはとりあえず笑顔をむけ、その場を後にする。
教室に入ると数人のヤツ等がオレを見て話しかけてきた。
その中に悠斗はいなかった。
「水都~おはよう!」
とりあえず、という感じで伊藤 華也{男}が笑った。
「あ、ぇと、おはよう。」
オレは笑顔を向けつつ教室を見渡す。
教室では黒澤君を囲む数人の男達と黒澤君しかいなかった。
なんとその中に悠斗の姿もあた。
・・・が、
オレは驚きを隠し、平然をよそおった。
「なぁ、ところでさぁ、水都なんで今日遅かったの?」
草木 匠の問いにオレは顔をひきつらせる。
「いや、ちょっと学行く途中でお腹痛くなっちゃってさ!
近くの公園のトイレに行ってたんだ。」
オレはハハハー! と笑って見せた。
周りのヤツ等も疑っている様子はなかったので一安心だ。
どうしておくれたのかというと本当は、近くの公園のベンチで考え事をしていたからだ。
考え事の内容はこれからの黒澤君への態度について~だ。
最終的に相手の思いどうりにならない様にする、という考えでまとまった。
ってか、悠斗は何をやっているんだよ!
本当に黒澤君のいいなりになったんじゃないよな?
あぁーちくしょう!!気になるじゃんか!
オレは歯軋りしつつ、その他もろもろの質問に適当に笑顔で返した。
やっと、質問地獄から開放されたと思ったとき、学校のチャイムがなった。
二時間目が始まる。
「まぁ、悠斗には二時間目の後の休み時間に聞くか。」
オレはそうつぶやくと同時に頭を勉強モードに切り替える。
授業中、フ 二つの視線に気づく。
一つは前に座る春の視線だ。
あぁー、どうせ今日はどうして遅かったの? とか聞いてくるんだろうな。 本当におせっかい、つぅーかメンドクサイヤツ。
ってか、授業中に聞かなくてもいいと思うんだよね。
二つ目の視線は黒澤洸のものだ。
こちらの反応を面白がるような目で観察している。
あぁ、どいつもこいつも。
オレの近くのやつはウザいヤツが多いんだな。
オレは内心あきれつつ ジィーとウザいほどにガン見してくる春に話しかけた。
((春君どうしたの?))
((あのさ、今日どうして遅刻したの?))
春はいきなり顔を近づけてきた。
そしてのぞき込むような、探るような目でオレの瞳をのぞき込む。
そんな春にオレはあきれた様に返す。
((学校に行く途中でお腹が痛くなったんだよ。公園のトイレでベン出してただけ。))
オレが理由を言ってもまだ、彼は探るような目をしている。
いたいコイツは何を探ってるんだ?
オレは内心ハラハラしつつ平然をよそおう。
((なに?他になにか用でもあるの?))
ヤバイ、コイツもしかしたらオレが嘘をついてるの分かったのか?
そんな!あの鈍感そうな春に嘘を見破られるなんて、そんなのいやだよ!!
昔、嘘をつく練習していたことがあった。
だから、少なくともオレは初心者よりは嘘のつきかたが上手いはず・・・
なのに、どうしてコイツは―。
((ねぇ、ミズさぁ。何か隠してるよね?))
あれこれと思考回路を働かせているオレを探るように、春はオレの目をじっと見ていた。
フと春の目線から逃げるように教室を見渡す。
あぁ、黒澤君が面白そうにオレのほう見てるよ。
アイツの思いどうりになるのだけはさけたい!!
よし!ここは無表情で春との会話を続けよう。 そうすれば、反応が無くてつまんない、って彼も授業に集中するだろう。
オレは再び春へと視線をもどした。
((何も隠してない。ってゆうか、何か隠してたとしても春君には関係ないよね。))