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スキル【ズル】は貴族に相応しくないと家を追い出されました~もう貴族じゃないので自重しません。使い放題だ!~  作者: まんじ(榊与一)


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第43話 勘違い

ポワンさん依頼を終えた俺は、ギルドマスターの執務室で(クエスト)の顛末を説明する。

その際、何故彼が狙われる事になったのかちょっと気になったので、それとなくヤングさんに尋ねてみたら――


「ああ、ポワンさんは名が知れていますからね。天才として。ですから、狙われたのだと思いますよ」


――と、返って来た。


あの人って天才だったのか。

研究者とかに詳しくないから、全然知らなかった。


「天才か……て事は、彼の研究は見込みがあるって事ですか?」


死者蘇生。

荒唐無稽以外何物でもない研究だと思っていたが、天才がそれに取り組むぐらいだ。

きっと成功の芽があるのだろう。


「……それは、ちょっとなんとも言えませんね。天才と言えども、出来る事と出来ない事と言う物がありますので」


「なるほど」


ヤングさんは明確な否定こそしなかったが、望み薄と考えているのは伝わって来る。

そういや、研究費が足りないって終始ぼやいてたな。

あの人。


もし芽が大きいなら、きっともっと予算は潤沢に出てるはず。

そう考えると、周りからは期待されてなかったってわけだ。


襲撃者達は、そうは思ってなかったみたいだが……


満月花も一緒に狙ってた訳だしな。

まあ天才であるポワンさんを狙ったついでに、他の用途のために満月花を手に入れようとしてたって可能性も、0ではないけど。


「さて……まだ報告書は読んでいませんが、依頼をきちんと終えて戻ってきている以上、不合格はありません。なので、シビックさんさえよければ、早々に次の依頼を受けて頂けると助かるのですが」


「え?もう次のですか?」


テスト用の依頼はそうポンポン転がっている訳ではないそうなので、終わってすぐ次というのは明らかにハイペースだ。


余裕があると思わせといて、その実、畳みかける様に依頼を受けさせ、その状況を焦らず捌いて行くのもテストだったりするのだろうか?


「ええ、実は……シビックさんへの指定依頼でして」


「指定依頼ですか?」


指定依頼と聞き、俺は眉根を顰める。

王都で活動している有名どころなら兎も角、よそからやって来て、金級テストに挑戦しているぽっと出が指名される事など普通ありえない。


しかも俺はまだ依頼を一つ、しかもさっき終わらせたばかりなのだ。

いったいどこでどうすれば俺の名を知る事が出来ると言うのか?


「ええ、先方の方はシビックさんのお知り合いらしく、是非ともとの事です」


「知り合い?」


「ええ、貴族の方です」


貴族の知り合いで、俺を指定すると言えば……まあ、ペイレス伯爵家だな。

俺が王都に行くって話もしてるし、間違いないだろう。


「分かりました。お引き受けします」


テストになる依頼なら、きっと俺のスキルを必要とする厄介事なのだろう。

知らない仲でも無し。

俺の力が役に立つなら喜んで協力するさ。


「そうですか。では、さっそく先方の方に連絡を入れておきましょう」


「よろしくお願いします」


取りあえずもう用はないので、俺はギルドを後にした。

何だかんだで疲れてたので宿へ直行。


そしてベッドに寝転び――


「なんであの時、俺に助け舟を出したんだ?」


――ペシアスに語り掛けた。


沼地での戦いで、こいつの助言が無ければ俺は怪我を負っていた可能性が高かった。

ペシアスが善良な存在なら素直に感謝するところだが、なにせこいつは悪魔だ。

素直にその行動を善意として受け取る訳にはいかない。


「なんだ?気になるのか?」


「ああ。お前からしたら俺は厄介な客だろうから、死んだほうが好都合なんじゃないのか?」


コイツの目的は人の命——そのエネルギーを奪う事だ。

だが、俺はそれをスキル【ズル】で都合よくコントロール出来た。

なのでペシアスからしたら、厄介極まりない存在の筈である


「くくく。お前は命なら何でも平等だと思ってそうだな」


「どういう事だ?」


「お前のような強者の命は、凡人千人分以上に値する。だから最小使用でも、他の奴の命を丸々頂くより遥かに実りがあるのさ」


「同じ人間でも、悪魔からすれば価値が違うって事か」


命は平等。

そんな戯言をほざくつもりはないが、いくら何でも千人分以上は盛ってるとしか思えないんだが?

本当に俺の命にそこまでの価値があるのか?

それが疑問だ。


因みにスキル【ズル】は使用済みなので、ペシアスの言葉に嘘はない。

なので、少なくとも奴は本気で俺の命をくっそ高く見積もっている訳だ。


「そうだ。だからお前が余計な事で死ぬのは勿論の事、大怪我を負って寿命が縮んでしまうのも、俺にとっては宜しくない。だから忠告してやったのさ。俺が少しでも多く、お前の命を頂ける様にな」


「なるほどな」


悪だくみではなかった様だ。

まあだが、次からも必ず助けてくれるという保証はないので、あまりあてにはしない方がよさそうではあるが。

いつ気が変わらないとも知れないしな。


――翌日。


朝、ノックの音で俺は目を覚ます。

こんな朝早く一体誰だろうか?

そう思いつつ、俺は部屋の扉を開く。


するとそこには――


「久しいな、シビックよ。貴様の永遠のライバル、このリディック・フォンハイムが迎えに来てやったぞ」


金髪碧眼の、背後に執事を控えさせた貴公子がいた。


……顔見知りの。


「まさか貴族からの依頼って……」


「そう、この私!リディック・フォンハイムが雇用主だ!」


どうやら依頼はペイレス家からではなかった様である。

つうかこいつ、なんで俺が冒険者になってること知ってるんだ?



拙作をお読みいただきありがとうございます。


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