第41話 自爆
「死ね!」
軽装の4人が一斉にかかって来る。
一対一は能力があからさま過ぎるので止めておこうと思っていたので、一斉にかかって来てくれるのは有難い。
俺が奴らに押し付ける【ズル】。
それは――
「——っ!?」
「なにっ!?」
「なんだ!?」
「武器が!?」
――武器の使用禁止だ。
【ズル】の効果で全員の手から武器が綺麗にすっぽ抜け、驚きから4人全員の動きが止まる。
俺の目の前で。
そう、俺の目の前で。
武器ももたずに、無防備に。
まさにボーナスタイムである。
「ぐぁ!?」
「ま、まて――ぎゃあ!」
「おのれ!?ぐふっ!」
「ちぃぃ!がっ……」
リーダーっぽい奴だけが素手で抵抗しようとしたが、まあ結果は同じだ。
4人全員、剣の腹の部分で強打して気絶させる。
「ば、ばかな!貴様……一体何を……」
俺が視線を向けると、最後に残った呪術師が焦った様子で一歩後ずさる。
彼らが負ける事。
それも、あんな風に秒で制圧されるなんて夢にも思わなかっただろうからな。
そりゃびびるは。
「さて、最後は――」
『おい、こいつらから離れろ』
呪術師を制圧しようとしたら、腰の袋に入れていたデモンズハート――ペシアスが話しかけてきた。
『離れないと自爆に巻き込まれるぞ』
「なっ!?自爆!?」
俺は自爆と告げられ、慌てて制圧した4人へと目を向ける。
するとその体が異常なふくらみを見せていた。
やばい!
「くっ!」
咄嗟に離れた瞬間、奴らの体が大爆発する。
「シビックさん!?大丈夫ですか!」
「安心してください。大丈夫です」
大きな怪我はない。
爆風に煽られたからちょっと体は痛むが、これぐらいなら問題なしである。
とは言え、危なかった。
ペシアスの警告が無かったら、下手したら大怪我物だった。
まさか悪魔に救われる事になろうとはな。
『我に感謝するがいい』
しかし、今の自爆……あの呪術師がやったのか?
全員気絶させているので、自分達の意思では出来なかったはずだ。
いや、それもないか。
あいつの呪術は封じてるし。
じゃあどうやって自爆を……
っと、考え事よりまず先にすることがあったな。
「逃がしはしない」
爆発に乗じて、その場から走って逃げだそうとしていた呪術師の足に向かって、ベルトにかかっているナイフを引き抜いて投げつける。
投げナイフは得意じゃないから威嚇用でしかないが、それでも無防備に背中を見せてる相手に当てる事ぐらいはできる。
「ぎゃあっ!?」
ナイフが足に深々と刺さり、呪術師が転倒する。
「っと、迂闊に近づくのは危険か」
呪術師を捕らえようとして、だが俺は足を止める。
先程自爆されたばかりだ。
次も同じ事をされないとは限らない。
つうか……さっきの奴らはどうやって自爆したんだ?
本人達は意識を失っていたし、呪術師の呪術は封じていた。
何かマジックアイテムが仕掛けられていて、呪術師が発動した感じか?
『安心するがいい。奴からは悪魔の力を感じない』
「悪魔の力?」
『そうだ。先程の4人には、衝撃で意識を失った時に自爆する魔法がかかってあった。悪魔の扱う魔法だ』
なんちゅうエグイ魔法をかけてやがる。
流石悪魔だ。
ただまあ、確かに秘密保持にはもってこいの魔法ではあるが。
『安心しろ。あの痩せっぽっちにはその魔法はかかっていない』
どうやらあの呪術師は大丈夫な様だ。
徹底されていない中途半端な対処……いや、かけた悪魔をあいつが所持しているとかなら不思議はないか。
自分には絶対かけたくない魔法だし。
まあとにかく安全ぽいので、俺は呪術師を拘束——
できなかった。
「いや、自爆はないのに自害はするのかよ」
呪術師が自害していたからだ。
やれやれ。
思いっきりのいい奴である。
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