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スキル【ズル】は貴族に相応しくないと家を追い出されました~もう貴族じゃないので自重しません。使い放題だ!~  作者: まんじ(榊与一)


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第2話 冒険者

「ここが冒険者ギルドか」


冒険者――それは一言でざっくり言うなら、魔物の退治屋だ。

まあそれ以外の荒事系の仕事などもある様だが、その大半は魔物を狩る事で生計を立てている者が殆どである。


「覚悟はしてたけど……」


立派な門構えを抜け、解放されている扉から内部へと入った俺は少しげんなりする。

荒事専門の職業だけあって、中にいる人間は教養とは程遠そうな連中ばかりだった。


――ガラわっる。


「すいません。冒険者に登録したいのですが」


雰囲気はあれだが、気にしない事にしてカウンターの女性に声をかける。

今日俺がここに来たのは、依頼ではなく冒険者になる為だ。


生活費に関しては、余程散財しない限り尽きる心配はないので、本来働く必要は無かった。


だが……だからと言って何もせずにだらだらしていると、完全な駄目人間になってしまう。

それを避けるため、冒険者として活動する事にしたという訳だ。


家を追い出されたとはいえ、天国の両親を失望させる様な生き方は出来ないからな。


因みに、冒険者を選んだのは腕に自信があったからだ。

武門であるジョビジョバ家では強さが尊ばれ、一族の人間には魔法や戦闘術の厳しい訓練が施される。

当然俺もその教育を受けており、自分で言うのもなんだが、そこらの冒険者程度じゃ話にならない強さだと自負している。


ま、それでも兄二人には遠く及ばない訳だが……


次男であるアグライ兄さんは、王国最強と言われる程の剣の使い手だ。

長男のグンランも剣の腕ではアグライ兄さんに劣る物の、その魔法は特S級――大賢者――に届くレベルと言われている。


その上二人とも強烈なユニークスキルまで有しているので、仮に俺が【ズル】を使ったとしても、まず勝ち目はないだろう。


「賜りました。身分証をご提示頂いてよろしいでしょうか?」


「はい」


荒くれ者ばかりの仕事とはいえ、当然その身分は確認される。

俺は用意していた身分証を受付の女性に手渡した。


――身分証は、魔法で情報の刻み込まれた特殊な金属で出来たプレートである。


これは役人に袖の下を渡し、作らせた物だった。

家を追い出され、戸籍から抹消された俺には真面な身分証が無いからな。

なので、お金で解決したという訳である。

無いと色々と不便だし。


受付の女性は水晶にそれを(かざ)し、内容を確認する。


「そちらの席にかけて、少々お待ちください」


勧められ、カウンターの傍にある椅子に俺は腰掛ける。


「……」


――なんか注目されてるな。


荒くれ共が何人か、明らかに此方を見ていた。

まさか、ジョビジョバ家の出だという事に気付かれたんだろうか?


……ま、それはないか。


俺はそれ程周囲には顔を知られていないし、何よりここは領地の外だ。

政治とは無関係そうな荒くれ共が、元貴族の俺に気付くは筈もない。


「おいおい、ここは金持ちの坊ちゃんが来る様な所じゃないぜ?」


人相の悪いゴツイ大男が三人。

ニヤつきなが此方へとやって来て、俺に声をかける。


……成程。


声をかけられて、彼らが俺に注目していた理由に気付く。

どうやら身に着けている物から、この場に不釣り合いな金持ちの子息と判断されてしまっていた様だ。


「どうした?ビビッて声も出ないのか?」


受付の女性の方を見ると、我関せずといった感じだった。

まあこれから冒険者になろうとしている訳だからな。

冒険者なら、少し絡まれたぐらい自分で何とかしろという事だろう。


「済まない。余りにも不細工で直視に耐えなかった物でね。それに、息も臭くてたまらない。不快なので消えてくれないか?」


俺はポケットから銀貨を3枚取り出し、それを地面に転がしてやる。


「どうした?拾っていいぞ?」


挑発は勿論わざとだ。

ギルド内での騒ぎがどの程度までなら許容されるのか、俺はそれが知りたかった。

冒険者として活動するなら、その辺りは知っておいて損はないからな。


相手が殴りかかって来る様なら、わざと何発か殴られてやるのもいいだろう。

きっちり防御すれば問題ない。


「は……ぶわっはっはっはっはっはっは!」


絡んできた男は少し間抜け面をしてから、それから大声で笑いだした。

何故だか俺の失礼な行動がツボに嵌まった様だ。


「よし!合格だ!」


大男は笑い終えると俺の肩に手を置き、訳の分からない事を親指を立てて口にする。


何が合格なんだ?

意味が分からん。


「俺がここのギルドマスター、ボッサーだ!冒険者として君を歓迎しよう!」


「えっ!?」


驚いて受付の女性の方を見た。

彼女は少し困った様な顔をしてから「事実です」と口にする。

どうやら本当に、絡んで来たこの大男がギルドマスターの様だ。


どう見てもゴロツキにしか見えないんだが?


「試されたって事ですか?」


「うむ。大男に絡まれて、簡単に醜態を晒す様な奴に冒険者は務まらんからな」


もっともな意見ではある。

だがその役を、ギルドのマスターがやるってのはどうなんだろうか。

確かに、見た目的には適任であるけども。


「じゃあ、お前さんの活躍を期待してるぞ!」


俺の背中をバンバンと叩いてから、ギルドマスターは取り巻き二人を連れてゴロツキの輪に戻っていく。

恐ろしいまでの溶け込み方だ。

違和感が無さすぎる。


「マスターがご迷惑をおかけしました。これが冒険者証になります」


登録処理が終わり、受付の女性から身分証と銅色の冒険者証が手渡される。

冒険者には4段階のランクが存在しており、銅、銀、金、白金の順に階位が上がっていくシステムだ。


――白金まで行くとその実力を買われ、騎士として爵位を国から賜る事も出来る。


夢のある話ではあるが、残念ながら白金まで昇れたのはこの国の長い歴史でたった二人だけだ。

それも、どちらも英雄と呼ばれるレベルの人物である。


要は、普通にやっていたのでは上がれるものではないという事だ。

白金級は。


まあスキル全開の俺なら、実力的には問題ない気もするが……


英雄と呼ばれるためには、大きな功績を立てる必要がある。

そのため、どんなに実力があったとしても、活躍の場が無ければ意味はない。

つまり、実力があってもなれるかどうかは運次第という事だ。


「お仕事の方はどうされますか?初心者の方には、バットラビットの討伐をお勧めしておりますが」


「……わかりました。じゃあそれを受けておきます」


「そうですか!では――」


俺の返事を聞いて、受付の女性が嬉々として書類を広げて案内を始めた。

その反応から、ギルドでは受けてくれる人間が少ない事が分かる。


――まあバットラビット討伐は、たいして金にはならないそうだからな。


一応最低限の下調べはしているので、俺もそれぐらいは知っていた。

にも拘らず受けたのは、目的が働く事自体だからだ。

なので金銭は二の次である。


とは言え、延々誰も受けたがらない糞不味い仕事を押し付けられるカモになるのも腹立たしいので、次からは適度に断る事にするが。

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