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スキル【ズル】は貴族に相応しくないと家を追い出されました~もう貴族じゃないので自重しません。使い放題だ!~  作者: まんじ(榊与一)


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第11話 敬称不要

ペイレス家の護衛団は全部で30名程になる。

内訳は騎士が25名に、魔法専属の従者が5名だ。

警護としては、かなり大きめの規模と言っていいだろう。


移動は大型の馬車が4台。

その周囲には騎乗した騎士達が展開しており、先頭と最後尾の馬車は旅に必要な物を積んだ荷馬車兼、魔法使い達の足となっている。


警護対象である、セーヌとケイン夫婦は中央の二台に乗っていた。

どういう訳だか、そこにはグレイも乗りこんでいる。

どうやらシスコンのガキンチョは、まだ保護区に帰っていなかった様だ。


馬車の振り分けはケイン夫婦にグレイ、そこに従者が一名で一台。

もう一台にはセーヌと彼女付きの侍女が乗っており、そこに俺が護衛として乗る形で分れていた。


豪奢な馬車に同乗しているため扱いは一見客分の様にも見えるが、俺は俺でちゃんと仕事をしている。

スキル【ズル】を常時展開中だ。


効果範囲は俺を中心に約100メートル程。

常時発動させているのは、不意の襲撃を防ぐためだ。

不意打ちは卑怯な行動(ずる)にあたるので、発動しておけばスキルが勝手に止めてくれる。


我がスキルながら、便利極まりない。


唯一つ難点を上げるとすれば、周囲の騎士が俺の陰口などを叩くと――卑怯な行為とみなされ――目の前に転移して来る事だった。


事情をよく知らない騎士達からしたら、他所から呼ばれて厚遇されている俺が気に入らなかったのだろうと思う。

出発して10分程で、騎士2人がいきなり馬車の中に現れた時は流石の俺もあせった。


まさか他所の騎士相手に、俺が陰口を止めるよう要請する日が来るなんて夢にも思わなかった事だ。


「あの……シビック様。ご依頼を引き受けて下さってありがとうございます」


出発して2時間経つ。

再会時にこの前のお礼を言われてから沈黙していたセーヌが、もじもじしながら口を開いた。


「いえ、こちらこそ有意なご依頼をありがとうございました。セーヌ様」


俺は頭を下げ、礼節を持って彼女の言葉に答える。

知り合いではあるが、今は仕事中だ。

余り砕けた態度を取ると、周囲から反感を受けてしまう。


また騎士が飛んできたら嫌だしな。


「あ……そんな畏まらないでください。馬車内では他の騎士達の目もありませんから」


馬車内には侍女もいる。

彼女の口から話が漏れる可能性があるのだが……

まあそこは大丈夫か。


恐らくセーヌ専属のおつきだ。

彼女の意志に反して、侍女が周囲にペラペラ吹聴する事はないだろう。


「では、馬車内だけはそうさせて貰うよ」


そう答えると、セーヌが嬉しそうに笑う。

三か月前にあった時は呪いでやせ細っていたので気づかなかったが、数年会わないうちにずいぶん綺麗になっていた。


ペイレス家を尋ねる前、最後にあったのは確か3年ほど前だったかな?

その時はまだ子供の様なあどけなさを残していたが、今ではもう立派な淑女(レディ)だ。


「あの……シビック様。どうしてもペイレス家で働く訳にはいかないんですか?」


ペイレス家からは、良ければ騎士として働かないかと誘われていた。

気持ちは有難いのだが、それは丁寧に断らせて貰っている。


死んだ事になっている三男が他所で騎士になってしまうと、ジョビジョバ家に睨まれるのが目に見えているからだ。


当主であるケイロニア卿は気にするなと言っていたが、そう言う訳にもいかない。

他所の貴族の庇護下に入った俺が目立つ様な動きをすれば、場合によっては暗殺だって考えられるからな。

もちろん俺もそう簡単にやられるつもりはないが、実家と争う様な真似は出来れば避けたかった。


長男のグンランとの折り合いが悪く追い出されたとはいえ、生家には変わりないのだから。


「自由に生きられる冒険者が、俺にはあってるみたいでね」


「残念です。シビック様が家の騎士になって下さったら、ずっと一緒に居られるのに」


「ははは、それは無理だよ。セーヌももう16歳なんだし、じき結婚して家を出ていく事になるんだから」


セーヌは呪いを受けていたため、そう言った話がまだ上がっていないのだろう。

だが健康になった今、きっと縁談話がじゃんじゃん舞い込んで来る事になる。

家柄も良く、そのうえ美人だとくれば、間違いなく引く手数多(あまた)だ。


因みに、ジョビジョバ家は兄弟三人そろって縁談一つなかった。


別にモテない訳でも、嫌われていたわけでもない。

武門として武力で家を支えるという思想が根底にあるため、貴族的な政治を持ち込む行動である縁談を、組んだりは一切しない事になっていたからだ。


そのため、ジョビジョバ家は才能ある市井の人間を伴侶として娶る事が大半だった。


優秀な遺伝子を常に取り込み続ける。

これもまた、侯爵家が武の名門として君臨し続ける要素である事は疑いようがない。


自分でいうのもなんだが、俺はかなり優秀だし。

上二人に至っては、国内最高クラスの天才だからな。


「わ、私はそんな!まだ誰かと結婚するつもりなんてありません!」


「セーヌがそう思っていても、周りが放っておかないさ。セーヌは美人だからな」


「ししし!シビック様!?」


セーヌは俺の言葉に、顔を真っ赤にする。

大げさな反応だ。

毎朝鏡は見ているだろうから、自分でも認識している筈だろうに。


キラキラと輝く、絹の様にきめ細やかな金の髪。

肌は白く、その眼は大粒のサファイヤを思わせる大きな青い瞳をしている。

更にすっと伸びた綺麗な鼻筋に、薄い形のいい桜色の唇。


まだ少し幼さが残ってはいるが、後数年もすれば、間違いなく絶世の美女として周囲から持て囃される様になる筈だ。

彼女がペイレス家で過ごす時間も、きっとそう長くはないだろう。


「所で、シビック様は止めてくれないか?」


今の俺は雇われている身分だ。

敬称はいらない。


「え、ですがシビック様は私より二つ歳上ですし」


「年齢はこの際気にしないでくれ。そもそも雇い主側が俺だけ様呼びなんてしたら、周りの人間もいい気はしないだろ?」


敬語はともかく――セーヌは基本的に誰に対しても丁寧だ――一時雇われの身分である俺に様付けでは、騎士達もきっと面白くないだろう。

さっきの陰口も、案外その辺りが原因だと俺は思っている。


「わ、わかりました。では、えっと……シ、シビック」


言ってからセーヌは恥ずかしそうに顔を伏せた。

まあ今まで様付けしてたのを呼び捨てに変えたので、照れ臭いのだろう。


しかしなんだろう……

さっきからずっと侍女に睨まれているのだが。


やっぱセーヌが許可したとはいえ、タメ口は不味かったかな?



拙作をお読みいただきありがとうございます。


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