表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

焦る長丁場のデュエル

「キングス・カップ」準決勝、桜木花道VS河田雅史。

デュエル開始前、桜木はいつものように河田を挑発していた。

「おい、丸ゴリ! NBAをクビになって、今度はカードで飯食うのか? バスケもできねぇ、デュエルも雑魚の二流選手だな、ふん!」

河田は表情一つ変えず、静かにデュエルディスクを装着する。

「お前も、引退した元プロだろ。」とだけ呟いた。

その冷静な態度に、桜木は少し拍子抜けしたが、内心では「まあ、どうせオレの圧勝だ!」と高を括っていた。

しかし、デュエルが始まると、桜木の予想は大きく裏切られることになる。

予想外の「しぶとさ」。

河田のプレイングは、桜木の想像を遥かに超えていた。

彼のデッキは、一見すると派手さはないものの、どんな状況にも対応できるような、隙のない構成だった。

桜木の得意な速攻を、河田は堅実なモンスターとトラップカードでいなし、じわじわとライフポイントを削ってくる。

「ちっ、しぶといぜ、丸ゴリ!」

桜木は舌打ちをした。

普段ならあっという間に相手を圧倒する彼が、なかなか決定打を与えられない。

河田は常に冷静で、桜木の行動の裏をかくようなプレイを続けてくる。

「そのモンスターを出すと、次のターン、こちらの動きを封じられる…読みが深すぎる!」

桜木は焦り始めた。彼の強みである「天才的なひらめき」も、河田の計算し尽くされたデッキとプレイングの前では、なかなか通用しない。

バスケの試合で、何度となく河田に阻まれた記憶が蘇る。

あの時も、彼の予測不能な動きと、全てを支配するような存在感に、桜木は苦しめられた。

デュエルでも、同じ状況に陥っている。

デュエルは、あっという間に中盤に差し掛かった。

互いのライフポイントは、まだ大きくは減っていない。

大会会場では、長引くデュエルに、観客たちの興奮が高まっていた。

「こんなに接戦になるなんて…河田選手のデュエル、まるで壁のようだ!」

解説者がそう呟くほど、河田の防御は鉄壁だった。

桜木は、何度も攻め手を繰り出すが、その度に河田の巧妙な反撃に遭い、ライフポイントを少しずつ削られていく。

「くそっ、あと一歩が届かねぇ…!」

焦りが募る桜木は、ついにミスを犯してしまう。

不用意に繰り出したモンスターが、河田の罠カードによって破壊され、手札を消耗してしまったのだ。

「…無駄な動きだ、桜木。」

河田は淡々と言い放つ。

その言葉が、桜木のプライドをさらに刺激した。

「うるせぇ! オレは天才だ! こんなところで負けてたまるか!!」

桜木は、呼吸を整え、再び盤面を見つめ直す。このデュエルは、かつての山王戦のように、彼が自分の限界を超えなければならない状況に追い込まれていた。

長丁場のデュエルは、体力だけでなく、精神力も削っていく。

しかし、桜木は諦めなかった。

彼の瞳には、かつて「リバウンド王」としてコートを支配した時と同じ、獰猛な光が宿っていた。

「丸ゴリ…てめぇがどれだけしぶとくても、オレは必ず勝ち越す! これが、天才のやり方だ!」

果たして、桜木は河田の鉄壁の守りを打ち破り、勝利を掴むことができるのか。

そして、河田は、NBAを引退し、デュエル界に身を置くことになったその真意を明かす日は来るのだろうか。

二人の宿命の対決は、まだ終わらない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ