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1 これが彼の”リアル”

GW企画1日目

あなたはゲームに何を求めていますか。

『次世代型デバイス《ユノア》、まさにリアルを追求した新時代のデバイス。その始源にして最高峰のMMORPG、《Dreamin・World・Nomad》。さぁ、理想の世界を君が切り拓け!』


「なぁ、やってみてくれよ。絶対、ハマるからよ。」


 机のスピーカーから元気な男の声が響く。


「嫌だよ。響、まだソフト届いてないんだろ。なら、待ってるから一緒でいいだろ。」

「そんなこと言うなよ、海斗。折角、都会の一人暮らしなんだから、その特権を使えよ。それに、海斗の話から、初期設定することができるかもしれないだろ。キャラメイクだけでもしとけよ。デバイスの方はもうしてるんだし、そこまで手間じゃないだろ。」

「はぁ、響は折れないからなぁ。分かったよ、でもハマるとは限らないからな。」

「大丈夫だよ。」


 海斗は、通話を切るとデバイスを着けてゲームチェアを倒した。


「《ユノア》起動!」




〈ようこそ、あなたの世界に、マスター。何を始めますか?〉

「《Dreamin・World・Nomad》始動。」

〈OK、マスター。最高の時をお過ごしください。〉


〈ハロー、新たな冒険者。私は『始源の神』。《Dreamin・World・Nomad》では、種族、職業、信仰を選び、初期ステータスを設定、キャラメイクをしてもらいます。その後、貴方は、その知恵と努力と運を扱い、自由な世界を生きてもらいます。〉


 声が消えると画面が出てくる。


「種族、・・・まぁ、ネタでいいか、《淫魔(インキュバス)》。」

<OK。《淫魔》は、特殊クエストに特化しています。ステータスは低めですが《淫魔》にのみ許されたクエストで多くのスキルを得られるよ。>

「職業は、《銃戦士(ガンナー)》。」

<OK。《銃戦士》は、近接武闘とハンドガンによる戦闘を得意とします。>

「で、信仰って言うのは、あぁ、どの神を信仰するかで受けられるクエストが変わるのか。なら、淫魔だし、ネタっぽく《善神(セフィロス)》にしておくか。」

<OK。《善神》の信仰は、救援系クエストを中心としたサブクエストを受けられます。しかし、PvPにて戦闘後、一定時間のペナルティが課せられますので注意してください。>


 海斗は、その後キャラメイクを行うとステータス画面となった。そこには、初期ステータスのポイント振り分け画面が表示される。


「・・・よくわからん。でも、素早さは欲しいな。魔法は使う予定ないし、AGI(すばやさ)STR(こうげきりょく)の順に降って、残りには降らなくていいか。そして、下にあるこの《リアリスティック》、どういう意味だ。これだけ、初期設定でOFFなんだよな。リアルな世界が売りのはずだろ、ONっと。」

<本当に、《リアリスティック》をONにしますか。>

「あぁ。」

〈それでは、最後に貴方の名前を教えて下さい。〉

「アルセ、俺はアルセだ。」

〈では、理想の世界に。〉




 目を覚ますとアルセは大きな町の噴水の前に立っていた。まぶしさと暑さで蜃気楼が見えてしまいそうな日の光、鼻腔をくすぐる木々の香りや町の温かな匂い、耳にさえずる小鳥の声にプレイヤーの声。

 水を覗き込むと、そこには黒い巻き角と小さなコウモリのような羽、悪魔の尻尾が着いた紅い瞳の少し小柄な青年が写っていた。まさに小悪魔な特徴だが、髪は金髪で白い服を着てるため、聖職者にも見える。


「おお、視覚、聴覚、嗅覚。どれもリアルな感覚がある。やっぱり、あの設定、ONにして正解だろ。」


 五感をフルに感じる世界に喜びと期待を嫌でも受ける。


「さて、キャラメイクだけのつもりだったが、折角なら戦闘もしてみるか。このゲームチュートリアルは無いみたいだな。・・・、あの。」


 アルセは、近くを通る大剣を持った女性に声を掛ける。


「初心者にオススメのモンスターの出るフィールドってどっちに行けばいいですか。」

「ん?あぁ、初心者か。ならここから東に行けば、レベル一桁台のモンスターが出やすい森がある。そこに行くといい。」

「ありがとうございます。」

「あぁ、良い冒険を。」




 アルセは、森に来ると早速、虫型のモンスターに出会った。見た目は蜘蛛のようであり、人一人分はある。触手のすれる音、モンスターの息使いまで、リアルに感じられる・・・。


「早速か。この銃を持つ感覚もめっちゃリアルでいいな。」


 確かの重みを感じる銃、まるで命を奪うことの重みだと教えてくるようだ。

 アルセが、銃の引き金を引いたところ、大きな反動で手が揺れ、敵に当たらない。耳を覆いたくなるような発砲音が、森に響く。


「な!まさか、命中性能もリアルよりなのか。だから、ステータスにDEX(きよう)があったのか。」


 モンスターは尻もちをつくアルセに体当たりをする。アルセの脇腹にはダメージを示すエフェクトと子供の頃のドッチボールのような衝撃が走る。ゲームなのにある、確かな鈍痛。そして、襲い来る流血にも似た脱力。アルセの息使いが早くなるのを感じる。心臓の音がうるさいと感じる。


「くっ。」


 予想外の衝撃にアルセが膝をつくと再度、モンスターの攻撃を受ける。モンスターの目はとてもゲームとは思えない獰猛なものである・・・。




 気付くとアルセは元の街にデスルーラしていた。


「なんだ、このゲーム。いい、凄くいいぞ。リアル、何よりもリアルを突き詰めてくれている。」


 アルセはここに来て初めての高揚を覚えていた。体中が痛み、デスルーラ後の気怠ささえ感じる。しかし、アルセの表情は恍惚としている。


「最高だぁァァぁァぁぁァぁぁぁァぁ!!!!」


明日も続くGW企画

この作品を連載作品にしたいと思った方は

閲覧数 1P リアクション 2P 感想 5P

この作品の運命は、君が決めよう!


いつもはYouTubeで活動してます。

別投稿作品の「神々の観る世界 神々に魅せる世界」の裏話や挿絵、紹介動画なんかもしていくつもりなので、そちらも見に来てください。

https://www.youtube.com/channel/UC3wzuZXPJ0Izmji-vlTWgdg

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