〜序章〜
初めまして、あるいはこんにちは。寒雀です。
冬童話2025に作品を出してみたくて、童話チックなやつを書いてみました。ひらがな多め(当社比)なので、読みにくかったらすみません。
しばらくの間は毎日夜9時に投稿しようかなと思ってます。全部書けているわけではないので途中から毎日ではなくなりますが、なにとぞよろしくおねがいします。
童話って書くの楽しいですね。
◇◇◇
それは、今からずっと昔。
気が遠くなるような昔のこと。
人間と魔物の間で、大きな戦争が起こりました。
この地球上には、二つの世界があります。
一つは人間の世界。人間────昼に生き、魔法を使い、社会の中で暮らす人間が住む世界です。
一つは魔物の世界。夜に生き、人間の魔法ともまた違う不思議なちからを用いる魔物たちが住む世界です。
この二つは、今ではしっかりと線引きをして、互いに攻撃をしたり不利益をもたらしたりしないように、決まりが定められています。
────そう、今では。
昔は違いました。
二人の世界は常にお互いを憎み合い、二頭の虎のように牙を剥きあっていたのです。
そしてある日、痺れを切らした魔界の王様────魔王と、人間の世界の王様は、互いに剣を抜きました。
これがかの有名な、第一次魔界人界戦争です。
その戦争はあなたもご存知のように、勝者はいないまま終わりました。
この戦いはあまりに苛烈で激しくて、両方とも戦えなくなってしまったからです。
多大な被害を受けた二つは、しかし憎むことをやめませんでした。表立って戦争することはなくても、代わりにお互いに会えないような決まりをたくさん作ったのです。
向こうの世界のニュースを知ることは禁止、輸入も輸出も禁止。会うなんて以ての外。今でこそそんなことはなくて、そんなに厳しい決まりもないけれど、昔はそうだったのです。
みんなはその決まりを守りました。
魔物にとって人間は悪いやつだったし、人間にとって魔物は悪いやつだったから。自分たちの国に、世界に、これだけの被害や悲しみをもたらした向こうの人々は、きっと地獄に落ちたって仕方がないような極悪人ばかりだから。
みんなはそう、信じきって疑わなかったからです。
でもね。
そんな世界に、抗った一人の少年がいました。
今日はその話をしようかなって、思っています。
その少年の名前は、ルイ。
おおかみ男の少年、ルイです。