この世界を愛してる
プロローグ
わたしは、しろくまの人形である。
名は、うーんとうーんと…何だったかな?
そんなことより
わたしは今スゴい攻撃を受けている。
頭、つまり頭部のあたりを、がつんがっつんて…これは叩かれてる?
でもよく考えると、あれれ、わたしは、起きた??
目覚めると起きたと思うでしょう。わたしはそういった感じなんです。
ばりばりとか、なんかそういう感じの感触がして。
急に冷たい水がわたしの体温をさげる。
あ、そうだ、ここ、海の下の方だ。
そう、わたしは、沈んだ。
で、今。
抱えられてて。
ちゅぽーんて音と共に、お月様と目があったんです。これは、本当です。
そして月に照らされた、わたしを海面まで引っ張ってくださった方は、とても良い「笑顔」でわたしに「よしのぶ」と声をかけました。
わたし、そんな名前じゃなかった気がする。
でも、お月様がとても微笑んでいて、そして、わたしは色々驚いたから、なんかまた沈んでしまう。夢?
「よしのぶ、おきて!お願い」
銀色の髪の中からわたしを見つめる瞳は月に照らされていたせいかひどく悲しそうに光っていた
悲しそう? 何故わたしは、そんなことを知ってるんですか?
わたしをおんぶして、その方は泳ぐ。あっちにニンゲンがいるんだ。たどひつこうぶふ
わたしはとても切ない。
わたしをおんぶしているかたは、どうやら力が尽きてしまっている。わたしを何故海の下の方から海面まで持ってきたんだろう?
よしのぶ。よしの
ああ、わたしはよしのぶでもなんでも良いから、この方に生きていてほしい。
そしたらわたしたちは小舟の中にいた。
この方…男の子だ。ちんちんがついてるから、わかる。
急に眠気に襲われた。でも、今寝たらダメだ。全部無くしそう。
わたしは手で海面を触り、前に進もうとするんだけど、割と進む。
でもね。重大なことに気付きました。
どっちへ行けば良いんでしょう???
わたしは、寒そうにする男の子に被さって少しだけ眠ることにした。