973 ラシャル 上
朝食が終われば後片付け。ほんと、ジーヌ家の女性は徹底して教えられているのね。
「チェレミー嬢。ハリーヌ夫人の夫、ハルシェンだ」
二十歳そこらの男性を連れて来た。
「確か、レイダー様と一緒にいた方ですよね?」
そんな記憶があったりなかったり? 随分と若いのがいるな~って思ったのは覚えているわ。
「はい。レイダー様の部下です」
あ、やっぱり。単身赴任だったのね。新婚で子供が生まれたばかりなのに大変だこと。
「案内はハルシェンに任せる。湖を何周もした経験があるので迷うことはないだろう」
「騎士団は去年に入ったので?」
「はい。選抜に勝ち残れました」
ってことはかなり優秀ってことか。まあ、ルティンラル騎士団自体が優秀者の集まりなんだけどね。
「とりあえず、景色のよいところを案内してください」
「畏まりました」
片付けを終わらせたら出発準備を進める。
「ねぇ。わたしもこの馬に乗りたい。格好いい」
ロリっ娘がシューティングスターの鼻先を撫でていた。
「いい乙女じゃないか。将来有望だ」
お前は処女中か? いや、ロリコンか? 狙うのは雌馬だけにしなさいよね。
「ラグラナ。レアナの騎乗服あったかしら?」
アイテムボックスワールドに入れていたはずなんだけど見当たらないわ。どこにやったっけ?
「はい。わたしが持っております」
あれ? ラグラナに渡したっけ? 洗濯に出した覚え……もないな。まっ、いっか。レアナはもう成長しているでしょうしね。
「じゃあ、着替えさせて」
ラグラナに任せる。お着替えが大好きみたいだからね。
「ハリーヌ様。旦那様と一緒に参りますか? 疲れないよう付与魔法を施しますよ」
せっかく夫婦水入らず(?)になるのだ、一緒にいさせてあげたいわ。
「いえ、他の方の目もありますから」
確かにそれもそうね。リア充死ね、とか思う人もいそうだしね。
ロリっ娘が着替えて戻って来た。
「まるであつらえたようね」
ロリっ娘の体にジャストフィット。あなた、わたしの見えないところでなにやってんの?
「はい。こんな日が来るだろうと思って用意してました」
こんな日ってどんな日よ? あなたの目にはなにが見えているの? てか、その満面の笑み止めろ。清々しすぎんのよ。
「タリール様。この子はシューティングスター。世界一速く走れる一角馬。聖獣です。しっかりつかまっててくださいね」
「シューティングスター、よろしくね!」
「ああ。任せろ。ロンシャ、この子の名前は?」
「あなたがつけてあげなさい。あなたを気に入っている子なんだから」
「なら、ラシャルだ。ツユルの若葉をラシャルという」
「タリール様。シューティングスターが、あなたをラシャルと呼んでいいかと問うてます」
「ラシャル?」
「はい。ツユルの若葉という意味らしいです。ちなみにわたしはロンシャと呼ばれております。気高く咲く花の名前だそうです」
「ええ! 構わないわ! シューティングスター、よろしくね!」
「ああ、こちらこそ」
じゃれ合う一匹と一人。こ、これは寝取られ!?




