967 湖水浴 上
「あら、人が減ったわね?」
騎士団は護衛のために十人くらい。職人たちはいなくなっていた。
「こんな格好をするのです。極力男性は排除してもらいました」
「大変ね。わたしは見られて困るものないし」
それがいい! ってヤツがいたらエルフの国に向かうことをお勧めしてあげるわ。貧乳だらけよ。
「困ります! お嬢様は無防備すぎます!」
「だって隠すものがないんだもの」
自分の手で隠せるようなもの。紙装甲なのだから仕方がないわ。
「まあ、なんでもいいわ。さあ、湖に入りましょうか」
そのために来たんだからね。楽しまないと。
「タリール様はこれを」
浮き輪を出してロリっ娘に装着させた。似合いすぎて笑っちゃいそうだわ。
「……なにか、凄く屈辱的な気がするわ……」
「タリール様は難しい言葉を知っていますね~。でもこれは安全のためです。水を侮ってはいけません。無知は最大の敵ですよ」
「…………」
反論しようにも無知を晒すだけとわかったのでしょう。ほんと、賢い子よね。
「さあ、いきなり水に入ると危険なので体を動かしますよ」
準備運動をする。いきなり入ってはいけませんよ。よっ、ほっ、はー!
「冷た~い」
足先で湖面を触れたらとても冷たかった。でも、気持ちいい~。
何年振りの湖水浴だろう? いや、前世のことだから何年もないか。今生初の湖水浴だわ!
水温に慣れたら膝まで入ると、砂が舞った。細かい砂なのね。
バシャバシャと水を当ててさらに水温に体を慣らさせた。やっぱ冷てぇ~!
「チェレミー様。無理をしないでくださいませ」
ウォーキングで鍛えた体はこんな水温では負けないわ。
「大丈夫よ。ランはしっかり水に慣らしながら入りなさいね」
冷えたらわたしが温めてあげるから。
「タリール様もゆっくりですよ。ハリーヌ様は無理なさらず。足先くらいでよろしいですからね」
ちなみにサンダルを履いてもらっているわ。石があったら危険だからね。
さらに腰まで入り、一旦、肩まで浸かった。
カルディム家は内陸部に領地を持つのに水属性の魔法に長けている。
天能があろうと、わたしにもカルディム家の者。水属性に長けている。こうして水に体を預けるとよくわかる。水と親和性がいいんだとね……。
背を下にして湖面に浮かぶと、なんとも安らぐ。帰ったら館にプールを造ろうかしら? ナジェスとレアナにも体験させてあげたいわ。
「よく浮いてられるわね」
不思議そうな顔をするロリっ娘。あなたは浮き輪で浮いてますけどね。
「カルディム家は水属性の家系ですから」
ロリっ娘の顔に向けて指鉄砲で水を発射してやった。
 




