938 白銀のライホルフェ 下
「これをお受けください。魔王様よりチェレミー様へ友好の印だそうです」
なにかキラキラしたものが珠が空中に現れた。
「チェレミー様が魔力を欲しているとお聞きしたので、魔王様が魔力宝珠をお作りになりました」
魔力宝珠?
吸い込まれるように両手でつかむと、コノメノウ様十人分の魔力が籠められているのがわかった。
「容量は小さいですが、世界の魔を集める珠です」
これで容量が小さい? わたし二十、いや、三十人分に匹敵する魔力よ!? 魔王様の魔力ってどんだけよ?!
「……わ、わたしは、なにを魔王様にお返ししたらよろしいのでしょうか……?」
「魔王様との友好を」
友達がいないお方かしら? 聖獣とは友好はあか。
「はい。魔王様と友好を」
まあ、どんなお方か知らないけど、こうして挨拶に来てくれるんだから悪い存在ではないでしょうよ。
「では、これを」
錬金の壺で収納の指輪を作り出し、ライホルフェ様に差し出した。
「わたしが作ったお酒をこの指輪に送ります。指、があるかわかりませんけど、あるていどなら調整されます。なにが入っているかわかるようになっておりますので、お酒をお楽しみください」
「感謝します」
器用に口で指輪を受け取った。
「では、またお邪魔させていただきます──」
すっと消えるライホルフェ様。王城に出入り自由ってことか。コノメノウ様の力を持ったお方のようだわ……。
「まったく。来るなら来ると一言ください。心臓が止まるかと思いましたよ」
「そなたの心臓が止まるなら見てみたいものだ」
おっぱいにアタックされたらわたしでも心臓くらい止まっちゃいますよ。
「ハァー。本当にとんでもないものをいただきました」
「気にするな。あいつにしたら大したものではない。これで魔力を奪われる回数も減るってものだ」
奪われなくなるとは思ってないようだわ。まあ、魔力なんていくらあっても困らないもの。酒代はしっかりもらいますからね。
「しかし、この大きさだと持ち歩くのも邪魔ですね」
リンゴくらいのサイズがある。収納の指輪に入れても魔力を集めるのかしら?
「首に下げておくのも大変ね」
「胸にでも入れておけ」
あ、なるほど。宝珠はおっぱいサイズだわ。
錬金の壺でブラジャーを作り、片方にセットする。もう片方にはガラスの珠を入れておきましょう。魔力宝珠からガラスの珠に魔力を溜める。これなら魔力で魔力を溜めながらガラスの珠にも魔力を溜められる。二級から特級くらいの魔力保持になったわ。
「胸が大きくなったみたい」
D装甲と言ったところかしら? 爪先は……見えるか。ふふ。おっぱいがあるってこんな感じなのね。ある人の視界ってこうなっているのね。
「……そ、そなたは、それでよいのか? 大丈夫なのか……?」
「宝珠は軽いから大丈夫ですよ」
リンゴよりは軽い。ガラスの珠と合わせても肩に負担はないわ。
なんだか縮退炉を二つ搭載した某ロボットみたい。おもしろ!
「……ま、まあ、そなたがよいのならわたしはなにも言わんよ……」
うーん。もうちょっとブラジャーの形を変えるか。わたしはツンとしたのがいいわ。ウフフ。




