933 少女時代 上
各家から迎えが来て、皆様方が帰って行った。
一応、わたしが主催した形になっているので、皆様方を見送ることにした。
「ルーセル様。先にお帰りください。わたしは片付けをしてから帰りますので」
「お手伝いしましょうか?」
「わたしの付与魔法を解除したり出したものを仕舞うので大丈夫ですよ。今回のことを忘れないうちに書き留めておいてください」
わたしは脳内に皆様方のおっぱいを刻み込みました。目を瞑れば昨日のことがありありと思い出せるわ。
「わかりました。無理なさらないでくださいね」
「はい」
車士のルーフェンがやって来て、ルーセル様を乗せて離れに帰って行った。
ルーセル様が見えなくなると、レイフ様が現れた。
「ご協力、ありがとうございました」
先にわたしが頭を下げた。
「いえ、わたしはなにもしておりませんよ。すべてチェレミー様が執り行ったことですよ」
「レイフ様や館の方々が人知れず動いてくださったのはわかっておりますよ」
「さすがですね。こちらにも目を向けていただなんて」
「これでも館の主。下の者の動きを把握できないでは主失格ですから。レイフ様から見たわたしの評価のほうが気になりますわ」
おっぱいに意識の大半を持っていかれてたけど、レイフ様たちのおっぱい──動きもちゃんと見てました! 気にしてました!
「ただただ恐ろしいと思いました」
はぁ? 恐ろしい? パワハラ的な?
「それぞれ家の思惑があり、表面的にしか友好関係を築けない候補者をあそこまで一つに纏めることができるとは思いませんでした」
この方、そんなところまで見てたんだ。館の主ではなく選定者として妃候補者を見ていたのね……。
「生意気を言うようですけど、最初から競わせることが間違っているのです。一国の母となる存在。競わせるより育てることのほうが大切だとわたしは思うのです」
誰もが妃となりたいわけじゃない。家の思惑でやらされているにすぎない。他者の思惑の手先となって動いているしかないのよ。
「貴族の役目。そう言ってしまえばそのとおり。貴族の義務であり役目でもあります。しかし、すべての者がそうできるとは限りません。その意味では選定選別は間違っていないのでしょう。でも、それでは人は育ちません。意識は変わりません。コルディーを愛し、民を愛するなどできません。母になるのではなく、母として育つものだとわたしは思います。だからこそ、少女時代は大切にしなければいけないのです」
って、元男で、少女にしか見えないわたしが言っても説得力はないんだけどね。
「ふふ。わたしの戯れ言として聞き流してくださいませ」
どんなに立派なことを言おうと、わたしはおっぱい見たさにお泊まり会を行ったのだからね。




