910 お泊まり会開始 下
結論。なんとか生き残りました。イェーイ!
死んでも本望だけど、お風呂のことを考えたらまだ死ねないと強く思えた。目の前にあるおっぱいを捨てて死んでられっかよ! だ。
最後にルーセル様は……手伝いはいらないのでしっかり見せてもらいました。A~おっぱいや!
わたしもぱっぱと着替えて一階に下りた。
服に馴染んだようで、妃候補者たちが服の軽さ肌触りのよさを興奮気味に語り合っていた。
「チェレミー様。これは素晴らしいものですね。いつも着ていたいです」
「皆様方が着れば下も真似て着るようになるでしょう。お抱えの服飾士に作らせて流行らせてください。流行れば皆様方の地位でも普段着として着られるでしょうからね」
流行の発信は地位のある者から。この八人は渡りに船な存在なのだ。
「よろしいのですか? チェレミー様が考えたものでしょうに」
「わたしは名より利を取る主義ですので問題ありません。女性の服はきらびやかですけど、機能性は排除しております。もっと軽い服になればもっと気軽に着れるようになります。わたしはそれで満足です」
名が売れたところでわたしに利益はない。利益があったとして、それ以上に問題が降りかかるでしょう。なら、わたしは無名……は無理か。誰かの陰に隠れていたほうが断然いいわ。
「……チェレミー様は控えめなのですね……」
変わった人と言いたかったのでしょうけど、そこは配慮したようだ。
「誰も彼も名を売りたいわけではありません。だからと言って名を売ることに否定はしません。名があってこその権力ですからね。皆様方にはわたしのような者もいると知っておいてください。この中で誰かが妃となるからわかりませんけど、わたしのような存在こそが一番厄介だと知ることになるでしょう」
権力ではどうすることもできない存在がいる。それを学ぶべきなのよ。
「皆様方は妃となるべく育てられました。地位も上から数えたら早いでしょう。なのに、わたしはここにおります。名も知らぬ伯爵の娘が妃候補者と同じ屋根の下にいるのです。なぜだかわかりますか?」
妃候補者を見回した。
「……それだけの実力があったから、でしょうか?」
サーシャル様が真っ先に答えた。
「ある意味そうですね。実力がなければここに立ってはいられないでしょう。でも、問題はそこではありません。その実力がなんであるかを考えなければいけません」
「ゴズメ王国で活躍したとも聞きました」
マリン様が答えた。かなりわたしの情報を得ている感じね。ルークス侯爵。調べる必要があるわね。
「お妃様に気に入られたとも聞いたことがあります」
カルク伯爵様も王都にいる方ね。お妃様のお付きの方々にカルク伯爵夫人はいなかったから大臣かな?
やはり王都在住の方々が情報を集めやすそうだわ。
 




