908 八人の妃候補 下
カフェオレを淹れている間に、マレカ・フォーレント様、レイラン・カルク様、ナルール・ソント様がやって来た。
マレカ様は侯爵令嬢。レイラン様は上位伯爵令嬢。ナルール様も上位伯爵令嬢だ。
「どうぞ、皆様。他の方々が集まるまでお茶を飲みながらお待ちください」
この中でわたしが一番低い身分なので世話係を行った。
四人にカフェオレをお出しし、一息ついた頃にサーシャル様が入って来た。
「遅れたかしら?」
「いえ、大丈夫ですよ。午後に集まる予定ですから」
身分順と言うより屋敷が近い順に集まっているのでしょう。妃候補者とは言え、全員が全員、王城に部屋を与えられているわけではない。なにか集まりがあるときに部屋を貸し出されるそうよ。
今回はいろいろ準備があったからそれぞれの屋敷から来たのじゃないかしらね?
それから侯爵令嬢のマリン・ルークス様。辺境公令嬢のサーリス・コンポルク様。辺境公がいたとか、聞いたときは驚いたものだわ。
そして、最後に騎士伯令嬢のハルハリーナ・サイバリグ様がやって来た。
騎士伯は一代限りの爵位だけど、サイバリグ家の男子は実力で騎士伯を拝命している家で、それが三百年続いている異常な家でもあるらしい。
ハルハリーナ様自身も剣を学んでおり、かなりの剣術家とのこと。なんで妃候補に選ばれたんや? 健康な体が目的か?
ハルハリーナ様にもカフェオレを淹れてもらい、しばらくしてレイフ様が入って来た。
「皆様お集まりいただきありがとうございます。今日は妃候補者とゴズメ王国の姫、ルーセル様との親睦を兼ねたお泊まり会となります。発案者はチェレミー様となります。チェレミー様、説明をお願い致します」
まあ、レイフ様からしたらお泊まり会ってなんやねん? なにすんねん? って思いでしょう。詳しい説明もしてないしね。
「チェレミー・カルディムです。今回の目的は、ルーセル様の単なる思い出作りです」
「思い出作り、ですか?」
サーシャル様が首を傾げた。
「はい。候補者の方々から妃が選ばれます。将来、コルディーを背負うのです。ルーセル様も有力な男性と結ばれ、次の王妃を支えることになるでしょう。そのとき、両国が不仲ではよき関係は結べません。しかし、友好とは一朝一夕で築かれるものではありません。小さなことの重ねて絆が生まれるのです。その一歩がお泊まり会です。一泊ではありますけど、自分たちで夕食を作り、自分たちで作ったものを食べる。一緒にお風呂に入り、同じ部屋で眠る。そこでおしゃべりするのもよいでしょう。それになんの意味があるのか、それを知るのは十年後二十年後です。今はこの瞬間を楽しみましょう」
わたしはお風呂を楽しみたいと思います。グヘヘ。
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1、サーシャル・バンルクス 公爵令嬢
2、ロンリア・マルセア 辺境伯令嬢
3、マレカ・フォーレント 侯爵令嬢
4、レイラン・カルク 上位 伯爵令嬢
5、ナルール・ソント 上位 伯爵令嬢
6、マリン・ルークス 侯爵令嬢
7、サーリス・コンポルク 辺境公令嬢
8、ハルハリーナ・サイバリグ 騎士伯令嬢




