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令嬢ではあるけれど、悪役でもなくヒロインでもない、モブなTSお嬢様のスローライフストーリー(建前)  作者: タカハシあん


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904 しゃしゃり出ない 下

 しばらくしてルーセル様が落ち着いたと連絡があり、ルーセル様の部屋に向かった。


「お疲れのところ申し訳ありません」


「いえ、大丈夫ですよ。なにかありましたか?」


 精神的に強くなったのでしょう。表情には出さないようにしているわ。


「はい。お泊まり会の日程が決まりました。三日後の昼過ぎに白薔薇の館に向かいます。それまではお茶会は控えましょう。お妃様から許可をいただいておりますので安心してください」


「それはありがたいです。少々疲れてましたから」


「タルル様。明日の夜までルーセル様をゴズメ王国で休ませてあげてください。王妃様もルーセル様から話を聞きたいでしょうから」


「よ、よろしいのですか?」


「その間くらいどうとでもします。少しの間、ゴズメ王国の空気を吸って来てくださいませ。これは、わたしからとお伝えください」


 お土産を詰めた箱を渡した。


「よろしくお願い致しますね」


「まあ、よかろう。行くぞ──」


 少しは周りに気を使ってあげなさいよ。取り残された侍女たちが可哀想でしょうが。


「急に決めてごめんなさいね。ルーセル様の心労が溜まっていると感じたものでね。あなたたちもルーセル様が帰って来るまで休みとします。好きなように過ごしなさい。お酒も許可します。食堂を好きに利用しなさい。お風呂に入りたいなら好きなだけ入って構わないわ」


 ルーセル様だけではなく侍女やお付きの者、騎士たちも心労が溜まっているでしょう。ここで休みを与えておきましょう。


「よ、よろしいのでしょうか?」


「わたしが許可します。ただ、離れからは出ないように。この中だけにします」


「か、畏まりました」


「わたしは部屋にいるからなにかあれば連絡してちょうだい。ラグラナ。ルーセル様に届く手紙はわたしのところへ届けてちょうだい。わたしが処理するから」


 今のわたしはまだ気力がある。レイフ様のおっぱい効果がまだ続いている。そして、妃候補者たちとのお風呂が楽しみすぎて力が漲って仕方がない。仕事をして落ち着かせないと興奮して鼻血ブーになっちゃうわ。

 

 部屋に戻ったら紅茶とクッキーを出してエネルギーを補給する。


「コノメノウ様。魔力は回復しましたか?」


 忍び込んで来た酒カスに尋ねた。


「もう足りたのではなかったか?」


「ちょっと食前酒を作りたいんですよ。ちょっと甘口の葡萄酒ですね。梅酒より酒精が弱いのを作ります」


「そんなもの酒とは言わんだろう」


「まだ体ができあがっていない者にはそのくらいがちょうどいいのですよ。炭酸を混ざれば食事にも合います」


「ふーん。できたら飲ませろ」


「コノメノウ様の舌には物足りませんよ」


「構わぬ。お前が作るものに興味がある」


 まあ、魔力をいただけるならわたしに否はない。お好きにどうぞ、だ。

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