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令嬢ではあるけれど、悪役でもなくヒロインでもない、モブなTSお嬢様のスローライフストーリー(建前)  作者: タカハシあん


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902 なにを見せられている? 下

「……ひ、卑怯者め……」


 精一杯の抵抗なんでしょう。フフ。どこまで堪えられるかしらね?


「いいんですよ。拒否しても。わたし、無理強いは嫌いですから」


 紙箱から一つ、取り出してみる。


「パンもクリームもわたしにしか作れないもの。いえ、魔力がなければ作れないものでしたね。あー魔力が足りない。足りない足りない。足りなくてフルーツサンドが作れないわ~」


 チラ。チラチラ。


「止めーい! 鬱陶しいわ! 魔力をやればよいんだろう!」


 そうですよ。下手に抵抗するから悪いんですよ。では、いただきまーす。


「魔力魔力っと♥️」


 十割ゲット~! それでも元気にフルーツサンドを食べているんだから守護聖獣は信じられないのだ。絶対、魔力量を隠している。その量を察せれないようにしているから腹立たしいわ。


「美味い美味い。いいな、これ! もっと出せ! 魔力が欲しいんだろう?」


 立場逆転。ねだられる立場とやりました~。


 まっ、魔力回復してくれるならフルーツサンドくらいいくらでも食べてくださいだ。フルーツはゴズメ王国産。パンやクリームを作るなんて大した魔力は使わない。もらえる魔力と使う魔力なんて天と地ほどの差がある。いくら食べられても惜しくはないわ。


「一番下の引き出しに入ってますので好きなときに食べてください」


 わたしは普通にフルーツの盛り合わせをいただきます。自然のままでもゴズメ王国産のフルーツは美味しいのよ。


 あ、フルーツポンチもあったわね。テーブルに置いておけばいつでも食べられるわね。


 錬金の壺でガラスのボールを作り、アイテムボックスワールドに収めてあるフルーツをカットして入れ、蜂蜜をかけて炭酸水を投入。机の上に出した。


「なんか想像とは違うけど、まあ、こんなものかしらね」


 フルーツポンチなんて映像の中でしか知らない。なにが正解かわからないのだからこんなもんでいいでしょうよ。


「果物パンを食ってから出すな!」


「あとでも先でもタルル様は食べるでしょうに」


「当たり前だ!」


 じゃあ、わたしはなんで怒られたのよ? 理不尽でしょう。


 カップとお玉を出して注ぎ、スプーンで掬って食べてみる。まあ、悪くはないわね。


「冷えていたらもっと美味いかもな」


 あ、冷えてないからか。確かにインパクトが薄かったわ。


「冷えていても甘いだけだろう」


 いつの間にか戻って来た酒カスが味見をして鼻を鳴らした。


「炭酸水の代わりに炭酸葡萄酒を入れても美味しいかもですよ。暑い夏の日、水場で飲んだら美味しいのではないのでしょうか?」


 今年は海に行ってみたいものだわ。ビーチで飲んだらきっと美味しいでしょうよ。


「酒を入れるか。確かによいかもしれんな。なんの酒がいい?」


 答えを出すのは一人でやってください。


 わたしは一カップで満足したので、残りはタルル様に任せた。たくさん食べて魔力を回復してくださいな。

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