900 等価交換(笑) 下
バルコニーは十畳ほどしかないけど、そこはコノメノウ様の魔力で空間拡張の付与を施す。
「そなたはわたしを殺す気か」
「殺そうとしても死なないのですから殺す気になるわけありませんよ。ほら、魔王様からいただいた梅で作りし究極の梅酒ですよ~」
「きゅ、究極な!?」
ほら、死にそうな態度を見せてたくせに輝かんばかりの笑顔を見せているじゃないですか。絶対、魔力を隠してますよね?
「それを飲んだら通常の梅酒は飲めなくなりますからね。心して飲んでくださいませ」
それは本当にわたしの自信作だ。梅を厳選した氷砂糖とブランデーに浸けたもの。そこに付与魔法で熟成させた。わたしも試飲したけど、満足するできだったわ。
「……そんなにか……?」
「ウソと思うならその味を再現してみてください。わたしでしか作れないものですから。ラグラナ。一通り揃っていると思うけど、足りないものがあったら出してちょうだい」
「畏まりました」
「レイフ様。こちらに。使い方を説明致します」
お風呂がないのだから使い方もわからないでしょうから脱衣場から教えるとする。
「……ま、魔法でこんなことができるのですね……」
「特級魔力保持者が五人もいれば可能ですけどね。ここで服を脱ぎます。自分で脱げないのでしたらわたしが手伝います」
「え? あ、だ、大丈夫よ。一人で脱げますから」
レイフ様はそんなに身分が高いわけじゃないのかしら? 自分で脱げるなら男爵家なのかもしれないわね。
わたしの服は自分でも脱げる作りなのでパッパと脱いだ。
レイフ様はコルディーのご婦人が着る服なので手間はかかるけど、一人で脱いでいった。
「服はこちらの棚へ入れてください。自動的に洗浄してくれます。下着類はこちらです」
ブラジャーは少し前から流行っているようで、レイフ様も着けていた。あら、たわわ。
さすがに裸は恥ずかしいようで、湯着を羽織った。
「ここから浴場となります。魔力が切れない限り湯は沸いております。他の方々にも使ってもらってください」
十五人くらい入っても問題ないくらいの広さはあり、お湯玉を出せるようにしてあるので、狭くはないはずだ。
「この位置に立てば自動的にお湯の玉が下から出て来るので体を洗ってください」
わたしが試しにやってみて体を洗った。
「髪もこうして洗います」
お湯玉は体型に合わせて動いてくれるので、両手を頭に移動させるとお湯も動いてくれる。シャンプーはないけど、それはあと。湯船に入る前の作法だ。
「お湯玉から出れば自動的に排出されます。さあ、こちらへ」
湯着は薄いのでおっぱいがくっきり。四十を過ぎているでしょうに立派なものだ。どうやって重力と戦っているのかしらね?
「足元に気をつけて入ってくださいね」
滑らないよう付与は施してあるけど、大切なおっぱいを守ってくださいませ。
まずわたしが入り、続いてレイフ様が入ってきた。
 




