884 これはペンです 下
「……ペンですか……」
「はい。ペンです」
なんの語学シーンだよ? って突っ込みを受けそうになるけど、わたしは至って真面目にやってます。
「試しにわたしの顔を書いてみてください。目で顔の線を撫でるようにすればペンが自動的に動いてくれますので」
論より証拠と、ペンと紙を渡してやってもらった。
眉をしかめながらもわたしを見ながらペンを走らせると、あら不思議。可愛いわたしが描かれましたとさ。
「こうして自分の顔を見ると、思ったより幼いのですね」
どう見ても十四、いや、十二か? 本当に成長しているのかしら? 自分的には……変化を感じたことはないわね。胸もAはあると信じたい。なんか自分の目に自信がなくなってきたわ……。
「失敗かしら?」
「いえ、そっくりに描けすぎて驚いているわ」
つまり、わたしはこの姿なのね。自分の容姿に執着はないとは言え、十六歳に見られる容姿にはなりたいものだわ。
「わたし、呪いでも受けているのですかね?」
容姿、変わらなすぎでしょう。エルフだって一年もあれば「大きくなった?」って思われるくらいは成長するのに。ルーセル様のおっぱいも会った頃より一ミリは膨らんでいたわ。
「あなたはそのままでいいと思うわ。コノメノウ様と並ぶと姉妹に見えますよ」
「こやつと姉妹に見られるとか不本意でしかないな」
忽然と現れる酒泥棒。魔王様のところからお帰りですか?
「昔の姿から想像もつかないほどチェレミー嬢に似てきましたよ。特に性根が」
なんだよ、性根って? わたしは酒カスよりマシな性格してますけど。
「わたしはこやつほど鬼や悪魔ではないぞ」
誰が鬼や悪魔じゃ。じゃあ、聖女かと言われたら困るけどさ。
「わたしは普通です」
普通のおっぱい星人ですよ。
「あなたが普通ならわたしなど塵芥よ。この状況にあなただけが即座に対応し、先を制しているのだからね」
「それは平和にかまけて時代を見てこなかったからです。時代は常に変化しております。好き嫌いに関わらずに。乗り遅れる者はただ時代から消えていくだけです」
このおっぱい愛を続けるためにはコルディーという国が必要だ。この地位がわたしの理想を叶えてくれる。すべてはおっぱいのために。オールハイルおっぱいよ!
「わたしはコルディーを愛しております。時代について行けない無能はさっさと退いてもらうまでです」
そこにいたいのなら実力を示せ。わたしのおっぱい愛を邪魔する者は絶対に許さないわ。
「わたしの忠誠をお疑いがあるならいつでも断罪してもらって構いません。わたしは甘んじて受け入れましょう」
「……あなたの忠誠を疑ったことは一度もないわ。これからも王国を守る、いえ、築く一翼でいてください」
もちろんですと、胸に手を当てて一礼した。




