577 花姉妹 下
「……姉妹ですか……?」
「ええ。失礼でしたでしょうか?」
「とんでもありません! チェレミー様と姉妹になれるなんて嬉しいです!」
食い気味のルーセル様。そんなにか?
軽い気持ちで言っただけなんだけど、ルーセル様にはとても大事なことのようだ。
「わたしも嬉しいですよ」
「お姉様、わたしも姉妹になりたいです!」
「レアナはわたしの大切な妹よ。姉妹になりたいではなく、もう姉妹よ」
百合萌えでもなければ妹萌えでもないけど、こんなに懐いてくれる可愛い妹がいるのは嬉しいもの。この子を不幸にするアホがいるなら全力でちょん切ってやるわ。
「明日、姉妹になった証の髪飾りを作りましょうか」
「髪飾りですか?」
「形にして目に見えるものがあるというのは大切です」
「お姉様、わたしは?」
「もちろん、レアナのもよ」
「やったー!」
「いいなぁ……」
ナジェスがしゅんとしている。妹も可愛いものだけど、弟も可愛いものだ。
「ナジェスには髪飾りではなく耳飾りを作ってあげるわ」
「耳飾りですか?」
この世界にもイヤリングはあるけど、あまり貴族でつけている人はいないわね。体につけるって文化がないのかしら? 衣服を飾ったりペンダントってのはよく見るんだけど。
「もしくは眼帯がいいかしら? わたしの付与魔法で便利なものを施してあげるわ」
透視はダメよ。ロマンとは言え、男がやると犯罪だから。見たいのなら実力で脱がして見なさい。いや、女ったらしになったら困るけどさ。
「眼帯がいいです! カッコいいのをお願いします!」
あれ? ナジェス、中二的な病気が発症しちゃった? まあ、そんな年代を経験するのもいいものよ。人生豊かにしてくれるわ。
「お嬢様。お風呂は如何なさいますか?」
「入るわ。ルーセル様、レアナ、入りましょうか」
「はい!」
「ぼくは遠慮します」
誘おうとしたら先に断られてしまった。残念。最後に一緒に入りたかったわ。
「仕方がないか。では、三人で入りましょうか」
お風呂場に向かうと、立派なお風呂ができていた。
「いいお風呂ね」
「はい。毎日入れて気持ちいいです」
すっかりお風呂文化も根づいたものね。メイドも手慣れたようでわたしたちの服を脱がせてくれたわ。
「レアナ、育ったわね」
大きくなっているのはわかっていたけど、完全にわたしを超えているわ。わたしはなんの突然変異なのかしら?
「育つよりお姉様やルーセル様のように肌が綺麗になりたいです。美しすぎます」
「望むものはなかなか手に入らないものよ」
綺麗な肌ではなく、もう少し身長が欲しかったわ。顔がおっぱいに埋もれるのはグッドだけど。




