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492 奥の手 下

「タルル様。終わったら一度王都に戻ってください」


「死ぬ気か?」


「死ぬ気なんてさらさらありませんよ。奥の手を使うだけです」


 右手を掲げて隠していた指輪を現せた。


 万が一のときのために嵌めている十個の指輪。その一つに逃げるための転移の指輪を嵌めている。


 タルル様やミコノト、どこでも扉を考えたから使い道がなくてすっかり忘れていたもの。まさかここで使うとは思わなかったわ。


 だったらタルル様にやってもらえと言う方もいらっしゃるでしょう。うん。そうすらゃよかったと考えたときにはタルル様の魔力は八割もいただいてました。


 残り二割でも転移できるかもしれないけど、それこそ万が一のときのために残しておいてください、だ。他に渦が発生していたら困るからね。


「ジェン、アマリア、あとはタルル様に従いなさい」


 そう言って渦に向かって走り、抱きついた。


「悪いわね。付き合ってもらうわよ」


 転移の指輪を発動させた。


 ………………。


 …………。


 ……。


 で、転移した先は王都。神殿の広場がある場所だ。


「──うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


 わたしを突き飛ばして苦しみ悶える渦を宿した者。考えは間違っていなかったようね。


「……お、おのれ……」


「あら、さすがね。世界樹の領域でも耐えるなんて」


 それでも勢いよく闇が白い煙となって消えていっているわ。


「世界樹の領域内では渦は発生したことはないし、領域を侵食するには全方位を覆うくらいにならないといけない。じゃあ、まだ元気な世界樹の領域内に入れたらどうなる?」


 結果はこのとおり。勢いよく浄化されているわ。


 今度は左手を挙げて魔力の指輪を解放。魔力を満タンにした。


「ごめんなさいね。あなたの復讐を邪魔しちゃって」


 わたしがこの国にこなかったらその復讐も成就しただろうにね。


「運が悪かったのはあなたのほうだったみたいね」


 まあ、それに付き合わされたわたしも結構運が悪いと言えるけど。


「……な、なんで。おれはただ恨みを晴らしたかただけなのに……」


「やり方が間違っていただけ。ただそれだけよ」


 残念。ご愁傷様です。


「世界樹よ。少し、力をお借りしますね」


 辺りから世界樹の水分を集め、渦にぶっかけてやった。


「汚物は消毒よ」


 闇は完全に浄化され、渦を宿した男だけが残った。


 安心したら膝の力が抜け、地面に尻餅をついてしまった。


「ハァー! もう無理!」


 バタンと背中から倒れた。


 魔力を使い果たしたところに貯めていた魔力を補充する。強制的にやると体にかかる負担がハンパないわ~。

 

 意識を保つのが限界となり、深い闇を中に落ちていった。

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