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令嬢ではあるけれど、悪役でもなくヒロインでもない、モブなTSお嬢様のスローライフストーリー(建前)  作者: タカハシあん


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46 守護聖獣

 今生の別れと言うわけでもなく半日もかからない距離なので、用意が整ったら城を発つことにした。


 なぜか城の皆に見送られ、ナジェスとレアナに大泣きされてしまった。わたし、そんなに愛されるようなことしたかしら?


「領民まで集まっているわね」


 なにかのお祭りと勘違いしているのかしら? まぁ、手を振られたら返すけどね。


 レオに跨がりながら追いかけてくる子供たちを見る。うちの領民は元気ね~。


 領都を出たらわたしとランは先行させてもらう。馬車に合わせて半日もちんたらしてられないからね。


「マゴット。あなたたちはゆっくりきなさいね」


 そう告げてわたしたちはレオとラナを走らせた。


 時速にしたら六十キロは出るので、館には十時前に到着。すぐにローラ以下メイドたちとマクライが出てきた。


「お帰りなさいませ」


「留守をありがとう。なにかあった?」


 二泊三日だったけど、最近いろいろ問題ばかりやってくる。ちょっと離れた間に国家転覆してても驚かないわ。


「手紙がいくつか届いております」


 誰からの手紙かで決まってくるわね。


「わかったわ。レオとラナをお願いね。あなたたち、ご苦労様ね」


「グワァー!」


「クワァー!」


 嘴でわたしの顔にスリスリしてくる二匹。痛いから止めてちょうだい。


 二匹を兵士たちに任せて寝室へ向かった。


 いつものワンピースに着替え、部屋に移って一休み──って、椅子はマゴットが運んでいるんだった!


「予備を用意しておかなくちゃダメね」


 仕方がないから長椅子で一休み。だらしなく体を横にした。


「お嬢様。はしたないですよ」


 アマリアがお菓子を持ってきてくれた。


「館でしかしないから許してちょうだい」


 ここでは伯爵令嬢でなく、隠遁生活をするお嬢様。お堅いことは言いっこなしよ。


 クッキーをパクつきながら手紙の差出人を確認する。


 お父様に王宮にお妃様からか。あら、メイベルからとは珍しいこと。なにかしらね?


 メイベルとはわたしの友達だ。


 あちらも伯爵令嬢であり、お母様の親友の子である。小さい頃から知っているから幼馴染みと言ってもいいけど、そうちょくちょく会ってはいなかった。月に一回か二回、会っていたていどだ。


「メイベルは学園にいったのかしらね?」


 学園で会えたらいいね、と語り合ったけど、わたしは婚約破棄を狙って火傷を負って脱落した。メイベルとの約束を破ってしまったのよね。


 まずはメイベルからの手紙を読んだ。


 わたしの心配や近況のこと。学園での生活なんかが書かれていた。


「……楽しくやっていそうでなによりだわ……」


 中身おっぱい星人のわたしと仲良くしてくれたメイベル。貧乳同盟を組んでいた頃が懐かしいわ。


 昔の余韻に浸ってから父様からの手紙を読んだ。


指輪ライターを増産しろ? 相変わらず無茶を言ってくれるわね」


 わたしの魔力を無限だと思っているのかしら? もう限界だっちゅーの。


「魔力を寄越せと返事しておきましょう」


 それと魔力充填箱バッテリーもね。出すもの出してから言ってちょうだい。


 次は王宮からの手紙ね。なになに……。


「服飾のメイド八人とマラデア商会を置かして欲しい、ね」


 一月もしないで八人も送れるとかおかしいでしょう? 王宮はどこかにメイドの里でも囲っているのかしら?


「マラデア商会は聞いたことがないわね?」


 王宮と関わりのある商会でしょうけど、大きい商会は頭に入れてある。そこにないってことはダミー商会かしら?


「アマリア。マラデア商会って知っている?」


「はい。王宮に出入りしている商会の一つで、大きな工房をいくつも抱えるところです」


 つまり、王宮御用達か。仲はかなり深そうね……。


 気を取り直してお妃様の手紙を読んだ。


「……王族派が信じてないか……」


 王族には帝国からの血も入っており、帝国がそんなことをするはずがないと思っている大臣が何人かいるそうだ。


 まあ、無理もないわね。海を隔てた帝国が攻めてくるなど意識外でしょうからね。


 なのにお妃様(貴族派)と王宮はわたしの話を信じた。おそらく、お妃様の背後にいる人が信じてくれたのでしょうね。お妃様の判断ってより背後にいる人の考えっぽいわ。


「お嬢様。昼の用意ができました」


 長いこと考えていたようで、いつの間にか昼になっていたようだわ。


「マゴットたちは到着したかしら?」


「いえ、まだです」


 朝の八時過ぎくらいだったし、あと一時間はかかりそうね。


 とりあえず昼食をいただき、魔力を五割だけ籠めて昼寝についた。


 自然と目覚めるとラグラナの顔が目の前にあった。また、死んだように眠っていたのかしら?


「ご気分がよろしくないのですか?」


「……そうね。あまり気分はよくないわね……」


 ラグラナの顔を退かして長椅子から起き上がり、運んでくれた椅子に座った。


「……魔力が足りないわ……」


 わたしの魔力が特級ならもうちょっとやりようはあるんだけど、二級ではどうしようもないわ。アマリアがあと五人は欲しいよ……。


「王宮に求めては?」


「求めたら送ってくれるの?」


 それならとっくに求めているわ。


「もしかすると、特級以上の魔力を送ってくれるかと思います」


「……どういうことかしら?」


「我が国の紋章に描かれた聖獣をご存知ですか?」


 知らないほうがどうかしているわ。


「……まさか、聖獣を送ってくれると言うの……?」


 だって、この国の守護聖獣よ。そう簡単に送ってくれるものなの?


「もしかすると、もう送ったのかもしれません。引退したいと語っていたそうですから」


 引退したいと語っていた? 語っていたって、守護聖獣はしゃべれる存在ってことなの?

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