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令嬢ではあるけれど、悪役でもなくヒロインでもない、モブなTSお嬢様のスローライフストーリー(建前)  作者: タカハシあん


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45 水属性

 やっと終わったと思えば辺りはすっかり暗くなっていた。


「ラグラナ。明日帰る準備をしていてちょうだい」


 わたし、なにしにきたんだっけ? と思わなくはないけど、やることは大体終わった気はする。


「畏まりました」


「マゴットは?」


「マイロック商会に挨拶しにいっていると聞いております」


 カルディム領で一番の商会でありカルディム家のお抱え商会に挨拶しにいったのね。なら、そのうち接触してきそうね。


「今日は夕食を食べたら早く寝たいわ」


 まったく、魔力を籠めることもできなかったわ。夕食前に四割籠めて、寝る前に六割は籠めたいわね。今日の分を無駄にしたくないわ。


 夕食までゆっくり──。


「姉様!」


「お姉様!」


 うん。できるわけもなかったわね。ハイハイ、付き合いますよ。


 夕食まで元気な二人を相手をし、なんとか魔力を二割だけ籠められ、夕食で二割復活。寝る前までに体力を四割も消費してしまったわ……。


「お姉様、今日も一緒に寝たいです!」


「姉様、ぼくも!」


 ハイハイ。なんでもどうぞ。


 さすがに体を拭くのはメイドたちに任せ、寝巻きに着替えたらさっさとベッドに入った。


 昨日のように左右からホールドされて眠りへ落ちて……いかせてくれないのが子供なのよね。


 物語を聞かせてとねだられ、魔王退治やらガリバー記なんかを聞かせてあげた。


 なんとか二人が眠ってくれ、わたしも落ちるように眠りにつけた。そして、気づけば朝になっている不思議。わたし、本当に眠っていた?


「お嬢様。おはようございます」


「……おはよう。二人を外してちょうだい」


 ラグラナと城のメイドに二人を剥がしてもらい簡易トイレに。ハァー。疲れが取れてないわ~。


 やはり寝る前にお風呂に入らないとダメね。おっぱい成分が足りないわ。


 今日の夜はアマリアかラグラナ、いや、マゴットかしら? なんて考えていたらトイレを譲れと促されてしまった。ハイハイ。


「お姉様。わたしもこのトイレ欲しいです」


「姉様、ぼくも」


 この簡易トイレを知ったらおまるには戻れないわよね。前世の記憶がなくてもおまるは屈辱的だもの。


「帰ったらすぐ創るからそれまでこれを使いなさい。よろしくね」


 二人のメイドにお願いする。ケンカする未来しか見えないけどさ。


 グリムワールでお湯球を創り出して朝風呂とする。


「お姉様、これも毎日入れる?」


 すっかり朝風呂に目覚めたのか、レアナはお湯球の中で手足をばたつかせて泳いでいる。器用なものね。


「そうね。レアナの魔力なら四割の魔力を籠めればできるんじゃないかしらのね?」 


 まだ八歳だから四級の魔力しか出せないはず。なら、四割も籠めたらできると思うわ。


「姉様、ぼくは?」


 ナジェスもお湯球の中で手足をばたつかせて泳いでいた。もしかしてこの兄妹、水属性かしら?


 魔法にも相性と言うか、才能とかがあって発動しやすい属性があったりするらしいわ。わたしは、転生特典なのか付与魔法しか使えないけど、二人は水属性なのかもしれないわね。


「ナジェスなら問題ないと思うわ。魔力は三級に匹敵するから」


 あと一年もしたら二級の魔力持ちになるでしょう。わたしも十一、二歳の時に二級と判断されたからね。


「ほら。泳いでないで体を洗いなさい」


 お湯は魔力壁で覆っているから魔力のないメイドには手を突っ込ませることはできない。まあ、そうするように創ればできなくもないけど、二人には自分で体を洗えるようになって欲しい。手出しされないようにしておきましょう。


 二人の手本となるよう手で体を洗ってみせた。お湯にタオルは入れてはいけません。


 十五分くらいしたらお湯球から出て、あとはメイドたちにお任せ。あーさっぱりしたわ~。


「ナジェスとレアナは水属性が強いと思うから水の魔法を覚えたらいいと思うわ」


 ナジェスは十歳だし、そろそろ魔法の家庭教師がつけられるはず。叔父様に言って水属性が得意な家庭教師をつけてもらいましょう。


「昨日のように氷の剣、創れる?」


「ええ。練習すればね。がんばりなさい」


「うん! ぼくがんばる!」


「お姉様、わたしは?」


「レアナは女の子だから水の龍なんかがいいわね」


 グリムワールを振って水の龍を創ってみせた。あ、部屋の中だから小さいのね。


「部屋の中でやっちゃダメよ。水浸しになっちゃうから」


 そんなことになったら教えたわたしが叔母様から怒られちゃうわ。


「うん。外か修練場でやります!」


「ぼくも!」


 偉い偉いと二人を抱き締めてあげた。可愛いヤツらめ。


「──おはようございます。準備はできましたか?」


 と、メアリアが部屋に入ってきた。


 危なかった~。メアリアに見つかっても怒られていたわ。侍女は子供たちをしつける立場でもある。悪いことしたら容赦なく叱るのよ。


 メアリアのお叱りを受けている二人はすぐに真面目な顔になり、メアリアに返事をした。


「二人は先にいってなさい。わたしは片付けていくから」


 お湯球をそのままにはできないので、トイレの壺に流した。


 ちなみにこの壺は乾燥の付与を施してあり、城の排泄物捨て場に現れるようにしてあります。


 はい、終了。朝食を食べたら帰る用意をしなくちゃね。

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