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425 学問 上

 植物園もおもしろいものね。


 情報収集のために見たいとは思っていたけど、こうして毎日きてしまうくらい驚きと発見の繰り返しだった。


「見る度にゴズメ王国の偉大さがわかりますね」


 その凄さを政治にも発揮しろと言いたいくらい。力の入れようが違いすぎるわ。


「チェレミー様なら植物園の大切さを理解してくださると思いました」


 勝手に見学させてくれるだけでよかったのに、わざわざ案内してくれるラーダニア様。名のある家の方なのに現場主義なせいか、植物やどこで手に入れたかを語ってくれた。


「ここは千年先まで残す価値がある場所ですね。できることなら天変地異が起きても種を残せる施設を造って欲しいものです」


「チェレミー様はたまに大袈裟なことを言いますよね。まるで未来に天変地異が起こるような言い方です」


「いつ起こるかはわかりませんけど、天変地異は必ずやってくるものですよ。空や大地、海は不変なものではありません。歴史を見れば自然災害、戦争、欲望のために滅びた種があります。ゴズメ王国だって渦に苦しめられた過去があるはずです」


 記録では渦は植物を枯らし、変異させたと記してあった。そのときに滅びた植物があっても不思議ではないわ。


「植物は強いようで弱い。気温が少し変わっただけで生らなくなる。一度滅んでしまったら二度と復活はできない。それをゴズメ王国が行っていることは世界を守っているのも同じです。それはきっとエルフという種だからできることでしょうね」


 エルフは精霊種とも呼ばれている。自然に近い種なんでしょうね。


「守ってください。それは必ずゴズメ王国の宝となり力となります。このまま続けてくださることを切に願います」


 国としてやってくれるなら国として仲良くやっていける理由ともなる。そんな国と友好を築けるならコルディーの国益ともなるわ。


「あら、これは野苺ですか?」


 水耕栽培で爪先くらいの赤い苺が育てられていた。


「それは北部に自生していたクヌキ苺ですね。クヌキという小動物が食べていたことから命名されました」


「学術名とかはないのですか?」


「学術名、ですか?」


「クヌキ苺とは地元の方が言っていた名前ですよね? 他の地では違った名で呼ばれているかもしれません。その違いをなくすために学術的な名前をつけたほうがいいと思うのですが。ゴズメ王国が基準を作っていただければ学問として広めやすいと思いますよ」


 今の時代じゃ場所がちがえば呼び名も違う。一つに纏めてくれたほうが楽でいいわ。


「まあ、わたしの我が儘なので気にしないでください」


 モノクルでクヌキ苺を記録させた。

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