407 検証 上
時間ができてしまったのならやりたかったことを試してみましょうかね。
「コノメノウ様、タルル様、魔力をいただきますね」
「もう強制だな」
「否定はしません。渦を理解するためですので」
皆がいる前で拒否できるのなら是非やってみて欲しいものだわ。
「わかったよ」
くる途中にもらった魔力を合わせたらかなりの検証ができそうだわ。
「ライルス様。精霊術はなにが得意でしょうか?」
「精霊術?」
エルフは魔力ではなく精霊力を持つ。魔力とは形態が少し違うようで、発動法も違うのよ。まあ、わたしの付与魔法の前では気にならないものだけどね。ただ、妖精のタルル様は魔力を持つのよね。謎でしかないわ。
「はい。得意な技でも構いません。精霊術はなにが使いやすいですか?」
「そうだな。風を吹かすのは得意だな。少しの間なら空も飛べる」
へー。そんなこともできるんだ。今度、空飛ぶ箒でも作ってみようかしら?
「剣をお貸しください」
「わかった」
命を預ける剣を他人に貸すのを嫌うと聞くけど、ライルス様はそうでないのかあっさり貸してくれた。
エルフは細身の人が多いけど、やはり戦いに生きるだけはあり、わたしでは振るうのも大変な重さの剣を使っていた。
「ライルス様。わたしに弱めの風を吹かしてください。弱めのですよ」
わたしはお嬢様なの。グリムワール以上の重いものは持ったことがないのよ。重いものは極力軽くする付与を施しているしね。
「わかった。弱めだな」
手のひらをわたしに向け、微風くらいの風を吹かした。
効果は風ね。でも、発動させたのは精霊術。精霊力が宿っているはず。なら、問題はないわ。
ライルス様の剣に精霊力倍増、疾風迅雷、風刃の付与を施した。
「この剣に付与を施しました。どんな付与か握った者だけに限定したので、ライルス様だけしかしらない合言葉を心の中で呟いてください。その合言葉を心の中で呟かない限り、ただの剣ですので」
剣を返し、訝しげなライルス様が心の中で合言葉を呟くと、ハッとした顔をした。ちゃんと発動したようね。
「わかりましたか?」
「あ、ああ。本当に使えるか?」
「それをあの渦で試してください。精霊術が渦に効果があるか、相対する属性があるのか、それとも増大するのか、まあ、どうなろうとわたしが対処するので思いっ切りやってください。皆様は下がってください」
なんだか大技を放ちそうな予感がしたので皆を下がらせた。
「ライルス様、どうぞ」
充分離れたらライルス様に許可を出した。
「うむ。では、疾風迅雷!」
うん。やっぱり大技を放っちゃったよ、この人は。
加速して風を纏った剣で渦を斬った。




