395 契りと千切り 上
「国王陛下。違う部屋でわたしと巫女五人とでお話させてください」
「わたしもダメかしら?」
王妃様が即座に声を上げた。
「不可能であるのなら構いません」
許されないのなら無理にとは言わないわ。
「いや、許そう。ラエルス。部屋を用意してくれ」
鶴の一声で部屋を用意され、巫女たちと対面できることができた。
わたしたちだけとなったら部屋全体に結界を付与した。
守護聖獣様方にどこまで通じるかはわからないけど、コノメノウ様ならあえてなにもしないでしょうし、していてもしゃべることはない。タルル様も牽制してくれるでしょう。そのくらいの信頼を寄せているわ。
「初めまして。わたしは、コルディアム・ライダルス王国、カルディム伯爵の娘でチェレミーと申します。他国の者がなぜと思われるでしょうけど、今は横に置いといてください」
教育をしっかりと受けているようで口を挟む者はなし。逆に聞き分けがよすぎるわね。
「ここでの会話は一切外には伝わりません。まずこれを腕にしてください」
リリヤンで編んだ輪を巫女たちに渡して腕に嵌めさせた。
「それは契りの輪。それを外せばここでの問答は貴女方から一切消え去ります。わたしだけの記憶になります」
静かに、理解できるようゆっくりと話す。
「意味がわからないと戸惑っているでしょう。なぜ集められたかもわからないですからね」
いや、渦関連で集められたことぐらいは察しているかもしれないわね。二人ほど察したような顔をしているもの。
「一度しか問いません。巫女を辞めたい者はいますか? いたら挙手してください」
と問うたら察したような顔を見せた二人が迷うことなく手を挙げた。
「わかりました。貴女たちは聖女候補から外して、わたしの下にきてもらいます。この約束を貴女方は忘れるでしょう。ですが、わたしの顔を見たときに約束という思いが心に燃え上がるでしょう。それを強く思って聖女候補として過ごしてください」
渦が世界全体で起こることなら聖女の血は是非とも欲しい。わたしは、隠遁したとは言え、コルディアム・ライダルス王国の貴族。王国の貴族として王国の利のために働かなくてはならないのよ。民の血税で生かしてもらっているのだからね。
「他の三人も悪いようにはしません。今よりよい環境にしてあげます。国に利用されるだけの人生にはさせません」
三人がそれを望んでいるとか関係ないのよ。この世のおっぱいが不幸になることはわたしが許さない。おっぱいはこの世の宝なんだからね。
「では、輪を千切り取ってください」
そう告げて、巫女たちに契りの輪を千切り取らせた。




