391 事のあらまし 上
物語がシフトしたならこれは他人事でなく、我が身の問題となった。
なんでこう、いろんなことに巻き込まれるのかしらね? 日頃からよいことしかしてないのに。あれで行いが悪いと言うなら世の中間違っているわ。
……いや、矛盾に満ちているからこそ世界だったわね……。
どこから流れたのか考えたくもないけど、次の日には国王陛下や王妃様に伝わっているという筒抜け具合よ。この世界にも盗聴器ってあるのかしらね? いや、タルル様っていう人外がいたっけね。アハハハー。ハァー……。
朝食をいただき、目覚め一発に面会を求めてきたお二方が部屋にやってきた。
「お呼びいただければこちらから参りましたのに」
客の身分とは言え、国王夫妻にきてもらうなど恐れ多いわ。わざわざくる人物だとも思われなくないしね。
「そうもいかん。これは他に聞かせれれないことだからな」
「貴女に会いにいくならうるさい者を排除できるからね」
お城にも内通者がいるってことか。まあ、壁に耳あり障子に目あり。人の口には戸は立てられぬ、だしね。漏れるのは仕方がないことか。
これ以上、なにを言っても無駄と、客間に移ってもらった。
「マリアナ。よろしくね」
「畏まりました。カエラは外を。マニエリは扉へ。いいわね?」
マリアナの指示に二人が頷いてそれぞれの場所に向かった。
「ラン。コノメノウ様を呼んできてちょうだい」
まずは国王夫妻がわたしの部屋を訪れる理由づけを築いていき、王妃様の侍女は二人だけ残ってもらい、国王陛下の護衛騎士は扉の外を守ってもらうようお願いした。
「タルル様。部屋に結界を張ります。覗いているなら下がるかくるかにしてください。どうなっても知りません」
覗いていましたと証明するようにタルル様が現れた。
「わかっていたか」
「国王陛下の耳に入れられる者は限られてきますからね」
元々、傍聴対策はしてあるのに国王夫妻に伝えるとか人外の域でないと無理だ。と言うか、これでもダメか。ほんと、人外対策は面倒で仕方がないわ。
「ラグラナ。お茶の用意はすべてあなたがやりなさい。王妃様。申し訳ありませんけど、侍女の方々は国王夫妻の世話だけさせてください。それと、これを腕に嵌めてください。お二方に纏っている魔法を無力化させます」
国王ともなると身を守るために魔法具をつけるのも仕方がないこと。でも、それが裏目に出ることもある。なにか別の魔法具をつけられていても不思議ではないわ。
「コノメノウ様。よろしいですか?」
「できる限りのことはする」
わたしの言いたいことを理解しているコノメノウ様。ここに仕掛けてくる者がいたら逆に見てみたいものだわ。
ラグラナが淹れてくれたお茶を飲んで、国王陛下から事のあらましを聞かせてもらった。




