382 王都へ 下
用意の準備を始めて二日。お城から手紙が届いたと王妃様から連絡を受けた。
「いつでも歓迎するそうよ」
それは誰からの歓迎するなんでしょうね? 考えるのが嫌だから流させていただきます。
「では、明日の朝にでも出発致しましょうか。用意はできておりますし」
「ええ、そうしましょう」
王妃様の移動となればかなりの準備期間が必要なのに、アクティブな王妃様はここにきたときと同じように体一つで帰ることに。わたしと同乗することになった。
「まったく揺れないのね」
「衝撃吸収の付与を施しておりますので」
「付与魔法がここまで便利なものだと思わなかったわ」
「何事も極めればこそですね。試行錯誤を繰り返して暮らしに使える魔法を生み出しました」
「そうね。わたしも付与魔法を使える者を探すとしましょう」
エルフにも天能があるのかしら? いや、守護聖獣にもあるんだからエルフにだけないってことはないか。
「能力にも個性があり、向き不向きがあるもの。無理させないでくださいね」
わたしの付与魔法はチートだ。他の付与魔法とは絶対に違うでしょう。わたしのようなことを求められたら人生最悪になるでしょうね。
「つまり、チェレミー嬢は特別ということなのね」
「そうですね。特別だと思います。それ故に自分の命は自分で守らなければいけません」
付与魔法がチートだからこそ自分を守るために備えなければならない。どんな状況に陥ろうと、今の地位と自由を失わないために、ね。
「その歳で凄い覚悟を持っているのね」
「王妃様ほどではありませんよ。王国の未来を背負っているのですから」
わたしが背負っているものなんて自分の未来と周りにいる者の幸せ。国の未来からしたら軽いものだわ。
「今ほど種族の壁を感じたことはないわ」
王妃様としてはわたしを取り込みたいところでしょうけど、別種のわたしを王室に入れることはできない。王家というものは血を大切にする。まだ国内の者ならチャンスはあるけど、種族が違っては貴族も民も許さないでしょう。
「壁があるなら扉をつければよろしいだけ。こちら側はいつでも開いていますよ」
友としてなら種族は関係ない。友としての関係性を築いていけばいいのよ。
「そういう政治的な考えもできるから惜しいわ」
政治的なこと考えているわけじゃないんだけどね。こちらの利を差し出すならそちらの利も差し出してもらいます、って考えなだけよ。
「わたしは、自由に、思うままに生きれるよう行動するまでです」
それには面倒なこともしなくちゃならないのが辛いところだわ。ハァー。




