347 立場 上
館に帰り、すぐ叔父様に手紙を書いて出したらすぐにやってきた。
……フットワークが軽いこと……。
「そんなに急がなくてもよかったのに」
別に急を要することでもない。優先順位は低い。ゴズメ王国にいく準備をするほうが重要性は高いわ。
「そうもいくか。コノメノウ様に関わることなんだからな」
「だとしてもそう急ぐほどではありませんよ。ですけど、叔父様がきたのならさっさと片付けるとしましょうか」
急でないから帰ってくださいは可哀想だしね。進められるなら進めておきましょうか。
「何日くらい滞在できますか?」
「明日には戻らねばならん。食糧不足があちらこちらで起こっている。その対処があるからな」
あー。そんな話もありましたね。わたしの中では解決したことだから完全に頭から抜けていたわ。
「酷いのですか?」
「酷いところもあるようだ。カルディムや周辺の家はそう問題になってないが、食糧があることが知られれば集まってくるだろう。兄上からも余分はないかと手紙が届いているよ」
「お父様か。そちらのことは抜けてましたね」
王都なら食糧不足になってもそう被害は出ないと思ってたけど、意外と自治領の内情を気にしている貴族はいるものなのね。変な偏見があったわ。
「どのくらいあるかお父様も把握しているのですか?」
「食糧に問題はないとだけ報告している。下手にあることを伝えると、兄上のことだから他所に渡してしまいそうだからな」
「さすが兄弟ですね。お父様のことをよくわかってらっしゃる」
「兄上は優しすぎるのが欠点だから」
人としては素晴らしいけど、貴族としては甘すぎる。もっと損得を考えられ、冷徹に決断できるようになってもらいたいものだわ。
「まあ、その分、叔父様が現実的で助かりますわ。苦労も多いでしょうけど」
「その苦労の半分にはお前も入っているがな」
「邪魔なら切ってくれても構いませんよ。カルディムの名がなくともわたし一人ならなんとか生きていけますからね」
今なら一生分の資金がある。ちょっとした家を買って老衰まで幸せに暮らせるでしょうよ。
「その思い切りがお前のよいところでもあり悪いところだ。もっと自分の立場を理解しろ」
理解しているから切ってくれても構わないのよ。どこで暮らそうと面倒事はやってくるでしょうからね。
「立場くらい理解しておりますよ。だからこうして家のために動いているじゃないですか」
「それなら、どうするかも考えているわけだ」
「お父様にわたしのところに余分の麦があることを教えてください。それで、問題はこちらに回されるでしょう」
「それではお前が大変になるのでは?」
「その辺はアマデア商会やマーリング商会に任せております。あとは、食糧が切れるまで売るだけですね」
王国中の問題をカルディムだけで解決はできない。持っている分を交流のある方に売るだけよ。
「領内の食糧だけは守ってくださいね」
「その辺はわかっている。臨時に雇い入れて倉庫を見張らせているよ」
さすが叔父様。仕事が早いわ。




