313 マルビオ大福 上
結局、食料の補給や準備はラグラナに任せ、わたしは部屋で寝て曜日を過ごさせてもらった。
「……なにもしないってのも暇ね……」
忙しいのも困りものだけど、なにもすることがないのも辛いものだわ。
「意外と娯楽小説って少ないものなのね」
さすがに暇なので城の書庫に入る許可を得たのだけれど、気軽に読めるようなものはほんのちょっとの一角だけ。あとはよくわからない内容のものばかりだったわ。
「漫画とは言わないから楽しい小説を読みたいものだわ」
この時代の感覚と違うから楽しいと思うものが数冊しかない。拙いメイベルの小説でも構わないから読みたいものだわ。
下剋上を起こすほど本が好きってわけじゃないけど、ちょっと革命を起こさないと小説家を増やすことはできないでしょうね……。
そんなことをのんびり考えていると人に化けたミコノトがやってきた。
「久しぶりね。どこにいってたの?」
お祭りの前から姿を見せなくなったミコノトちゃん。どこで悪さをしていたのかしら?
「買い物よ。ほら」
と、収納指輪からいろんなものをテーブルに出した。
「可愛い小物ね。ミコノトにこんな趣味があったとは知らなかったわ」
もっと派手なものが好きなのと思ってたわ。
「お土産よ。館の子供たちにね」
館と言っても館の周りに住んでいる子供たちのことでしょう。職人や商人の子供がいるからね。
「ミコノト、子供に好かれていたのね」
わたしはつるペタになんも興味ないから関わろうとは思わなかったのよね。教育もなんとかしなくちゃならないわね。事務系の人も増やしたいし。
「この尻尾に集まってくるのよ」
「子供はモフモフなものが好きだからね」
わたしはパインパインが好きな子供だったっけ。
「そうか。館の皆にお土産を買わないといけないわね」
マルビオ饅頭とか売ってないかしら? ない? なら作るしかないじゃない。とか創ったら大福になってしまった。
「あれ? どこで間違えたかしら?」
饅頭がなぜ大福に化けた? まあ、なんでもいいや。饅頭でも大福でも美味しいんだからね。
「緑茶が欲しいところだけど、ブラックコーヒーでもいけるでしょう。うん、美味しい」
これがマルビオのお土産になるかわからないけど、人数分買うのも大変。皆が食べられるものがいいでしょうよ。
「美味しい!」
恐る恐る食べたミコノトが歓喜している。あなた、甘党だったの?
「たくさん食べると太るわよ」
おっぱいが育つならどんどん食べてもらっても構わないけどさ。
「もっと食べたいわ!」
試しに創った大福を食べ尽くしてしまった。
「せっかくだからマルビオ家の方々にも食べてもらいましょうか。午後のお茶受けにちょうどいいでしょうからね」
なにもしてないとは言え、お茶の時間には呼ばれたりもする。出されるお茶受けにも飽きたし、大福を出してあげましょう。




